「羊と鋼の森」あらすじ・ネタバレ

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高校二年生の外村は、職員会議の時間が迫った教師に頼まれ、調律師・板鳥宗一郎を体育館に案内するように言われる。外村はそこで、ピアノの調律を行う板鳥に魅了され、「弟子にしてください」と申し出る。

板鳥は、弟子をとることは断ったが、調律師になるための方法を教える。外村は専門学校に進み、2年後の卒業とともに板鳥の勤務する江藤楽器に就職する。採用の際、板鳥の推薦があったという。

外村は先輩調律師である柳に同行し、仕事を覚えていく。その中で、外村は双子である佐倉和音(姉)・由仁(妹)に出会う。外村は、特に和音の弾くピアノの音に強く惹かれたのだった。柳が調律を終えた後、外村は由仁に「少し音程があがっている気がする」と相談される。

柳は、その晩に彼女へプロポーズする予定であり、すでに退社しており、外村が対応することになる。由仁を乗せ、車で佐倉家まで行こうとすると、その車内で柳の婚約指輪を発見する。外村は、ピアノを調律し、かえって音を外してしまう。そのことを柳に詫び、再度、調律を行ってもらうよう電話連絡する。柳もまた、指輪を紛失していたことに気づき、プロポーズは延期することになっていた。

外村は、柳だけでなく、板鳥、秋野ら先輩の調律を目の当たりにし、次第に調律師としての修練を積んでいく。そんな中、板鳥が目指しているという理想の音についての話を聞く。作家・原民喜の理想と掲げる文体は、「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」であり、そんな音を板鳥は探しているのであるという。

勤務を始めて3年が経ち、外村はついに、1人で客のもとへと向かうようになっていた。だが、嘘をつくことができず、真面目に返答することしかできない外村は、どこか自信なさげに見えて、別の調律師を指名されるようなこともあり、悩む。

そんな中、佐倉家がピアノの調律をキャンセルしたことを外村は心配する。由仁がピアノを弾こうとすると、指が止まってしまい、和音もそれにあわせてピアノを弾かなくなってしまったのだった。

ところが、しばらくして再び佐倉家のピアノの調律を依頼される。由仁の説得もあり、和音はピアノを弾くようになったのだった。そして、和音はピアニストを目指していることを明かし、そして、由仁は調律師を目指しているという夢を語る。由仁は、和音の弾くピアノを調律したい、と希望を口にする。

柳は、ついに彼女にプロポーズし、ようやく結婚式が行われることになった。そこでピアノ演奏が行われるのだが、ピアノを弾くのは和音であり、その調律を外村に頼みたい、と依頼される。和音の弾くピアノの調律ということもあり、外村は調律を二つ返事で行う。

当初、家庭用のピアノのように調律を行い、会場の広さやテーブルセッティングなども考慮せずに調律を行ってしまい、和音のリハーサルの音を聴いて、急遽、外村は再調整する。板鳥のアドバイスを受けつつ、外村は調律を行うのだった。

和音の美しい音色の演奏が行われる中、外村は社長に「どうして板鳥君が、君みたいにまっとうで素直に生きてきた人を、推薦したのか、今ならよく分かる。でも、今は思うよ。外村君みたいな人が、根気よく、一歩一歩、羊(羊毛でできたピアノハンマー)と鋼(弦)の森を歩き続けるのかもしれない」と評価されるのだった。

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