横山秀夫「影踏み 抱擁」あらすじ・ネタバレ

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真壁修一は、窃盗からの帰り道、パトカーに乗った警官2人に職務質問される。真壁は「啓二」と弟の名前を名乗り、身分証明書は提示しなかった。

15年も前の啓二の前科はすでに消去されており、真壁は前歴がないと判断される。だが、自転車の防犯ナンバーが確認され、久子のものであると判明したため、確認のため真壁は交番に連れて行かれそうになってしまい、仕方なく「内縁の妻・久子に電話しろ」と言う。

真壁のことを探していた久子は、電話を代わって欲しい、と警察官に頼む。真壁は仕方なく電話に出て、「話したいことがあるの。寄って」と言われる。

真壁は「旅館いたみ」に逗留しており、そこで女将に「刑事らしき人物がやってきた」と言われる。だが、顎鬚を生やしている、とのことから、真壁は「退職した刑事ではないか」と考える。真壁は旅館を出て、刑事崩れの探偵を見つける。男は、真壁の幼馴染・三沢玲子から依頼され、「連絡して欲しい」と伝言を伝える。

真壁は、玲子が警察官に娘ということもあり、会いに行く。そこで、久子の保育園で慰安旅行の積立金25万円が紛失し、久子が盗んだと疑われていると明かされる。三郷署に届け出ると、久子だけ念入りに聴取されたため、久子が犯人という噂が立ってしまったのだという。そして、玲子は「久子を放すな」と言うのだった。

真壁は、「割らずの清太郎」との異名を持つ男を訪ねる。真壁は清太郎に、「先週の木曜、三郷のうぐいす保育園に入ったか?」と訊ね、清太郎は認める。だが、「俺がやった。だが、ムショに行くきはねぇ。俺を縛りたけりゃ証拠を持ってこい」と言われる。

真壁は、清太郎が犯人ではなく、見栄を張っただけ、と考える。清太郎は、3度下見を繰り返すことで有名だった。だが、久子に確認すると、清太郎らしき人物を目撃してはいなかったという。電話で久子に話をすると、園長の息子で事務長に「プロポーズされている」と彼女は明かす。

真壁は、深夜に保育園へと侵入する。犯人が侵入したと考えられたトイレの窓につづく外壁には、汚れや傷が見当たらなかった。清太郎がそこに足をつかずして壁を登れるとは考えられなかった。

真壁は、三沢睦夫署長の官舎に侵入した後、電話をかける。玲子の預金通帳を調べたところ、3万円以上の金が引き出された記録はなかった。そのことから、真壁は「保育園の事務室から盗んだ金で探偵の報酬を払ったんだ」と告げる。

さらに、「事務室のドアの窓ガラスに付着しているファンデーションと、玲子の持ち物を照合してみろ」と言う。牛乳の配達で毎日のように園に出入りしていた玲子は、経理の人間が机の引き出しに大金を入れていることを知っていたのだった。

真壁は、「娘が可愛いなら、園にカネの紛失は外部の犯行と断定したと言え。刑事たちには、二度と久子には近づけさせるな」と言う。電話を代わった玲子には、「園長の息子・熊川満彦と温泉宿で抱き合ってる写真があった」と告げる。

満彦が久子に好意を持つようになったため、玲子は「久子を放すな」と言いに言ったのだった。さらに、「満彦の子がお腹にいる」と告げるのだった。

真壁は久子に会いに行き、「園長の息子は断れ。玲子とも縁を切れ」と言うのだった。久子は、「お母さんはね、お見合いしろって言うの。してみようかなぁ」と試すように言い、真壁は、「したいならしろ」と言う。

真壁は、弟・啓二とともに久子に好意をもっていたのだった。そのこともあり、久子は「二人とも愛せば良かった?そんなことでいないよ。心を二つに割るなんて」と言う。真壁は久子のもとを去り、啓二は真壁のもとに現れなくなってしまう。

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