サクっとあらすじ

映画・ドラマ・小説のあらすじを簡潔にまとめて紹介します。

三浦しをん 原作「光」あらすじ・ネタバレ

   

簡単なあらすじ

1) 美浜島に住む中学生の信之は、同級生の美花と付き合っていた。閉塞感を感じつつも、穏やかだった島は、地震による津波で一変する。信之と美花の家族は、自分たち以外全員が亡くなった。

2) 夜、避難所で信之が目を覚ますと、美花が山中というカメラマンに乱暴されているのを発見する。山中は合意の上であるというが、美花は「そんなわけない。そいつを殺して」と言う。信之は、山中を扼殺して、遺体を捨てる。

3) 美浜島を出て時が経ち、信之は市役所職員、美花は女優となった。そんなある日、美浜島で信之を慕っていた輔(たすく)が現れる。輔は、幼い頃から父親に虐待されて育った。輔は、父・洋一による暴力から逃れたいがため、信之と美花の山中殺害をネタに、彼らを脅す。

4) 美花から相談を受けた信之は、輔に近づき、「親父を殺してやる」と提案する。だが、洋一はアルコール過剰摂取がたたって死亡する。その後、信之は輔を殺害して埋める。彼は、美花と暮らすことを夢想するも、美花はそのつもりがなかった。信之は、妻・南海子のもとに戻るが、彼女に輔は信之の罪を告発する手紙と証拠を、自分が死んだら送るようにしていた。

5) 南海子は、夫・信之の罪を知りながら、幼い娘との生活を守るため、信之にも輔からの手紙などについて、話をせずに秘密を抱えるのだった。

詳細なあらすじ

美浜島に住む中学生の信之は、同級生の美花と付き合っていた。美花の実家は「民宿 中井」を経営しており、バンガローも所有していた。客がいないときは、そこで信之は美花を抱いていた。

信之は、ある晩、美花に呼び出されて神社に行く。美花を抱くことができるかもしれない、と淡い期待を抱きつつも、信之のことを「ゆき兄」と慕う黒川輔(たすく)が付いてきてしまう。輔は、父・洋一に虐待されており、信之は輔のことを疎ましく思いつつも、傷ついた輔のことを慰めていた。

地震が起こり、美浜島は津波に襲われる。神社にいた3人は難を逃れるが、島民のほとんどが死亡してしまう。輔は、父から解放されたいと願っており、「お願いしたとおりに津波が来てみんな死んだ!神様が、俺のお願いを聞いてくれたんだ」と喜ぶ。

だが、洋一は生き残っていた。ほかにも、、そこには灯台守の老人、美花のことをじろじろ見ていたバンガローの客・山中らが生存していた。

信之は、自分の家族が死亡しているのを確認する。自衛隊の救助ヘリがやってきて、避難するよう言われるが、美花が家族の安否を知るまで島に残ると決めたため、信之も残ることにした。

信之が避難所で夜中に目を覚ますと、美花が山中に抱かれているのを発見する。「たすけて」と美花が言っているように思い、信之はすぐに山中を引き剥がす。

山中は、「合意の上だ。そうでなければ、彼女がここに来るわけないじゃないか」と言う。だが、美花は否定する。美花は「そいつを殺して」と言い、信之は山中を扼殺する。2人は、山中の遺体を大岩めがけて、斜面から転がす。

翌日、輔は山中の足跡と靴を発見する。だが、その場所は遺体を捨てた場所とは異なっていた。山中は、バンガローに行く途中で足を滑らせて転落した可能性が高いと結論づけられた。信之は、何者かが隠蔽工作をしたのかと考えていた。信之は、美花と輔とともに自衛隊の大型ヘリに乗って島を離れた。

信之はその後、島を出た。養護施設で育ち、川崎市の市役所に勤務するようになった。一方、美花は叔父夫婦の家に引き取られ、後に女優・篠浦未喜となった。信之は、15年前に美花に会ったきり、そこから会うことはなかった。

信之は、妻・南海子と結婚し、娘・椿をもうけた。そんな信之のことを輔は探し続け、ついに川崎にいることを突き止め、彼は川崎で金属プレス工場で働くようになる。信之の関心を引きたい輔は、まず南海子に接触し、不倫する。

輔は南海子の夫である信之に、「娘は、私立小学校を受けるんだろう。不倫をバラされたくなかったら、カネを払え」と要求するのだった。だが、信之は「どうでもいい」と要求を無視し、南海子も、娘・椿が変質者にいたずらされてからは、輔と会うことをやめた。

南海子は、「忘れることなんてできない!」と、椿が変質者から受けた行為のことを思い、感情を爆発させる。そんな彼女に、夫は「犯人を殺してやろうか?」という。その夫の様子に、彼女は「この人は誰なんだろうか?」と思う。そこでようやく、信之の異常性に気づく。

信之は、美花しか愛することができなかった。南海子や椿に関しては、情はあっても、「愛そうとする」よう努力しているのだった。

輔は、信之が山中を殺害したのを目撃しており、今度はそのことをネタに信之を脅迫する。だが、そんな折、自分の居場所を突き止めた父・洋一が現れる。洋一は輔に暴力を振るい、輔の部屋に居座り、カネをせびるようになる。さらには、灯台守の老人が遺書に「輔が山中を殺害した」と書いていたと言い、輔を脅迫する。

輔は「信之と美花が殺したんだ。俺じゃない。俺は、山中の靴を脱がせて移動させただけだ」と否定し、「証拠もある」と言う。山中の遺体を撮影しており、その首の部分には、扼殺痕があった。さらに、美花が女優・篠浦未喜となっていることを明かし、美花を脅したほうがカネになる、と言いだすのだった。

輔は、美花の個人事務所に2枚ある内の1枚の写真を送りつけ、現金を要求する。美花は、信之を呼び出し、相談する。「お願いね」と言われ、信之は輔殺害を決意する。

信之は、輔に接触し、彼が父・洋一がやってきて大変な状況であると知る。そこで信之は、「俺がお前の親父を殺してやる」と言い、交換条件に写真を引き渡すように言う。だが、残る1枚の写真は洋一が、どこに隠しているか分からないのだという。

信之は、輔に写真の場所を探らせる一方、現金を渡して洋一に酒を飲ませ、時折、睡眠薬を飲ませるよう指示する。一方、信之は輔のアパートの階下の部屋に侵入し、輔を埋めるための穴を掘り始める。

洋一は、アルコールの過剰摂取が続いて死亡する。医師からは、心不全による死亡と判断された。洋一から解放され、輔は喜ぶ。その一方、信之が脅迫者である自分のことを亡き者にしたときのため、交際している女性に「俺が1週間現れなかったら、この封筒を郵送してくれ」と言う。中には、信之の罪、そして証拠となる写真を撮ったネガを入れておいた。

信之は、輔が解放されたことを祝うため、ともに飲む。翌朝、信之は「親父を入れるつもりで掘った」と言い、階下の部屋に掘った穴を見せる。信之は、輔の頭部にスコップを打ち下ろし、殺害する。遺体をスーツケースに入れ、さらには腐敗して臭気が漏れぬよう、石灰を入れて穴に埋めた。

信之は、全てが終わったと、美花に報告する。現金を渡そうとする美花に、「そんなつもりはない」と言い、受け取りを拒否する。その代わりに、信之は美花を抱くのだった。そこから、会うために用意されたホテルの部屋に、信之は居続けた。

会社も無断欠勤しており、上司から南海子に連絡が入った。南海子は、「体調が良くなくて、お休みさせて欲しい」とウソをつく。そこから、南海子は夫が戻らず、浮気相手のもとへ行ってしまったのだと想像する。幼い娘を抱え、どのように暮らしていけばいいのだろう、と南海子は絶望的な気分になる。

そんな中、信之は美花に「あなたは、私を抱く。過去を秘密にするかわりに」と、本音を言われる。美花は、「見返りをちらつかせて私を抱いてきた。ほかの大勢の男と同じ!」と言う。そして、信之が殺した山中とは、「芸能プロダクションに紹介してやる」と言われて見返りに抱かれたのだと明かすのだった。

信之は、美花に「私に何かを求めるのはやめて。あの夜から、求められてもなにも感じないんだから」と言われ、帰るように言われる。信之は、どうするか迷った後、妻の待つ家へと戻る。

一方、南海子は輔からの封筒を受け取っていた。その中の手紙とネガから、夫である信之が何を行ったのか知るのだった。だが、その証拠を隠し持ち、帰ってきた夫にも輔の手紙やネガのことは告げなかった。そして、元の日常に戻るのだった。

南海子は、信之とともに、昭島にある信之の家族の墓参りに行く。その後、美浜島への特別航路が運行されることを知り、「行ってみたい」と南海子は信之に言う。

船から見浜島を見ながら、南海子は信之の隣で「暴力はやってくるのではなく、帰ってくるのだ。自らを生み出した場所、日常のなかへ」と思う。近づいていた島は、次第にかなたへと消えていく。それを南海子は見ていた。

 - 小説