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「破獄(2017年 ビートたけし版)」あらすじ・ネタバレ

   

簡単なあらすじ

1) 太平洋戦争が勃発した翌年、秋田刑務所で深夜、佐久間清太郎(山田孝之)が脱走する
。小菅刑務所・浦田進(ビートたけし)看守部長は、そのことを所長から聞かされる。脱走した佐久間は、浦田の家を訪れ、「秋田刑務所では囚人を殴るんです。寒いし、人間扱いしていなんです。だから、偉い人に訴えてもらおうと思って」と話をしにくるのだった。

2) 再び逮捕された佐久間は、網走刑務所へと収監される。佐久間が小菅刑務所にいた時、「佐久間を手なづけた」と見られていた浦田は、網走刑務所へと転任となる。後ろ手錠に加え、足錠まで行われ、浦田は佐久間を逃がすまいとする。だが、佐久間は味噌汁を塗って扉の錠を腐食させるという手口で脱走する。

3) 山中に隠れ住んでいた佐久間は、里に下りて畑を荒らし、咎められた末に人を刺して殺害してしまう。逮捕された佐久間には、地裁で死刑判決が下った。札幌刑務所から佐久間は脱走し、その後再び佐久間は逮捕される。高裁では「掴みかかられ、揉み合いの中で刺してしまった」という佐久間の主張が認められ、懲役20年の判決が下る。

4) 浦田は、佐久間が寒さに弱く、耐えかねるかのように脱獄していたことから、「佐久間を暖かい場所へと移送するべきです」と提案する。移送する汽車の中で、佐久間は生まれ育った家のある場所を見る。浦田は「お前には帰る場所があるんだ」と言って諭す。佐久間は府中刑務所に収監された後、仮出所となるまで脱走することはなかった。

詳細なあらすじ

太平洋戦争が勃発した翌年、秋田刑務所で深夜、佐久間清太郎(山田孝之)が脱走を企てていた。土砂降りの中、佐久間は独房の天窓から塀の外へと出ていた。時折振り向きながら、佐久間は線路上を走る。

小菅刑務所・浦田進(ビートたけし)看守部長は、所長の大田坂洋(松重豊)から佐久間が「破獄をした」と告げられる。浦田は佐久間をよく知っていたため、「問い合わせがあるかもしれない」と大田坂は言う。

佐久間は、浦田の家を訪れる。彼は、浦田に会いたくて家を探してきたのだと話す。佐久間は、「秋田の看守は殴りやがる。おまけに冬は寒い…人間扱いじゃないです」と愚痴をこぼす。浦田は、佐久間のことを一度も殴らなかったのだった。

浦田は、佐久間に「風呂場で足を洗ってこい」と言う。その隙に、浦田は通報する。背後に立っていた佐久間に、「3mもある天窓まで、どうやって登ったんだ?」と訊く浦田に、佐久間は「ヤモリのように」と言う。

佐久間は、東京の刑務所を希望するが、アメリカ軍による空襲が予想され、網走刑務所へと送られることとなった。だが、それが佐久間と浦田の長い闘いの始まりだった。

日本の戦況が悪化している最中、佐久間は網走刑務所に看守長として転任することとなった。そのため、娘の美代子(吉田羊)に「転任する」とだけ伝えに行く。父と娘には、家族が亡くなってから溝ができていた。

佐久間には、専任の看守が2人ついていた。所長の貫井千吉(橋爪功)は、「佐久間を手なづけた手腕を、ここでも発揮してもらいたい」と言う。そして、関東大震災の折、1,000人もの囚人を逃がすことなく避難させた手腕を買っている、と言うのだった。その際、妻と息子が火事でなくなっていたのだった。

網走刑務所では脱走者はなく、「私の代でその記録が破られるわけにはいかない」と貫井は言う。そこでまず浦田は、「独房での監視は、佐久間に反抗心をもたせるだけです」と提案する。その上で、足音の立たない草履で佐久間を油断させ、監視しに向かうよう指示する。

やはり佐久間は手錠を外していた。桶のたがを外し、金具を手に入れて佐久間は手錠を外していた。佐久間は、浦田が現れたことに驚く。泉吾郎(勝村政信)は、「俺の顔に泥を塗りやがって」と怒り、暴行する。浦田は、泉を制する一方で、「俺の前で手錠を外すな」と言う。

佐久間には、足錠をつけられ、継ぎ目を潰された。佐久間は、商店から物品を盗んだ際、店主に捕まった仲間を救うため、店主を刀で斬りつけたのだった

浦田は、青森にある佐久間の妻・光(満島ひかり)の家を訪れる。浦田は光に、「彼に面会に来てやってくれませんか?それがダメなら、手紙でも…」と願うが、光は「脱獄しないで、刑期を真っ当しないでくれって書いて欲しいんですか?…それで何年で出てこれるんですか?15年?20年?あの人は寒さに弱いんです。死ぬかもしれない、そんなところにずっといろなんて私は言えません…あったら言ってしまいます。『そんなところにいないで、早く帰ってこい』って。『あんたは、私の神様だから』って」と言う。

光は、父の借金のカタに15で函館の遊郭に売られた。将来に絶望する中、佐久間に出会った。なじみ客だった佐久間は、蟹工船に乗っており、船会社の給料2年を前借りして見受けしたのだった。

そのときに、光は「この人は神様だ」と思ったのだという。だが、その借金が尾を引き、さらには賭博に手を出すようになった。結果、犯罪に手を染めたのだった。

光は、「逃げてくればいい。脱獄すればいい。早く出てきて欲しい」と願っていると口にする。その言葉は、「早く帰ってきてほしかった…お母さんも洋も死んじゃった。お父さんが早く帰ってきてくれなかったから」という、娘・美代子の言葉と重なった。

佐久間は、他の囚人のように労働はさせられず、常に監視下に置かれていた。風呂にも入れず、佐久間は不満を叫び続ける。足錠の傷に、ウジが沸いていた。浦田は、「もう終わりにしようじゃないか」と言い、「強情を張らず、脱獄しないと言えばいい。そうすれば楽になる」と提案する。

佐久間は、「おやじさんには、当直の日はあるのですか?」と訊く。「教えられない」と言う浦田に、佐久間は「その日に脱獄してやるんだけどな。おやじさんは、俺をがっかりさせた」と宣言する。

佐久間は、「凄い人だって聞いた。大震災の時に囚人を救った。でも、家族を見殺しにしたって…おやじさんも、泉と同じだ。おやじさんの当直の日を知るのは簡単だ。雑用係が喋る」と言う。

野本金之助(中村蒼)は、浦田に「佐久間の専任を外してはもらえませんか?」と言う。緊張し続け、息が詰まるような日々に耐えきれなくなり、「いっそ絞め殺してやりたい」とすら思うようになってしまったのだという。

そんな野本に、浦田はキャラメルを渡し、「アイツは看守を追い詰める。厳しい監視を放棄したところで、アイツは脱獄するんだ。お前は正しい。正しい者が負けてどうするんだ」と言う。そして、「冬になればアイツは弱音を吐く」と言うのだった。

佐久間の入浴中は、足錠が外され、徹底的に独房内が捜査された。浦田は、懲罰期間が過ぎても足錠を続けた。

網走では冬が訪れた。独房内の温度は氷点下となり、そんな寒さの中で佐久間への検査は毎日のように続けられた。佐久間は、凍てつくような寒さに耐えながら日々を過ごしていた。

浦田は、塩湯を用意して「凍傷を治そう」と佐久間に言う。だが、浦田は蓋を途中で閉めて「逃げないと約束しろ。刑期を真っ当しろ。真面目に勤めれば、刑期も短くなる。これ以上意地を張れば死ぬぞ」と言うのだった。

浦田は、「もっと素直になれ。この寒さで外へ出れば、半日ともたない」と言い、塩湯に手を浸ける。そして、「これから、毎日持ってきてやる」と言って立ち去る。

浦田は、「足錠を外し、前手錠でいいのでは?」と提案する。佐久間は、6月に脱獄しており、「3月まではいいのでは?」と言う。浦田は、佐久間と看守の溝を埋めるべきではないか、と言うのだった。だが、泉は「骨の髄まで寒さを思い知らせてやればいい」と反対する。

浦田は、「徹底してやる時期は終わった。佐久間は、白旗を上げているように見える。殺そうというのならこのままでいいが、我々は法の番人です」と言うのだった。

ついに佐久間の足錠は外される。年が明け、日本は南方だけでも戦死者13万人を数えていた。看守たちも次々に戦地へと送られていった。

野本は、佐久間の独房を確認する。「布団から顔を出せ」と命じるのだが、佐久間は返事をしなかった。掴みかかる野本を、佐久間は軽くいなす。野本は、「昼も夜も貴様のことにかかりきりになって…」と不満を口にするが、佐久間は「だからどうした?」と言う。野本は、「赤紙がきた。出征するんだ。だから、頼んでいるんだ…最後の頼みだ。俺の言うことを聞いてくれ。布団をかぶって寝ないでくれ」と頼むのだった。

だが、佐久間は「イヤだ」と言う。野本は、佐久間の首を絞める。野本が連れ出された後、隙を見計らった佐久間は、味噌汁を取り出して独房の錠に塗りつけるのだった。

4月になり、空襲に備えた避難訓練が行われる。佐久間もまた、独房から出されることになる。佐久間が脱獄の素振りを見せた時には、射殺してもよいとの所長命令が出ていた。

浦田は佐久間に話しかけ、鳥好きであることが分かり、「鳥を飼う許可を出してやろうか?」と言うのだが、佐久間は「可哀想です。鳥も自由がいいでしょう」と断る。そんな中、野本が戦死したとの一報が入るのだった。

空襲訓練は無事に終了した。浦田は、「手錠をもっと頑丈なものに変えよう。足錠もしよう…鳥を飼うかと言ったら、断った」と言う。

佐久間は、夜な夜な起きては、扉の錠に味噌汁を塗り続けた。7月になり、佐久間の奇妙な行動が目立つようになる。佐久間は、ふんどしの縫い目に釘を隠し持っていた。釘で床板を抜こうとしていたのだった。だが、床下はコンクリートで固めてあった。だが、浦田は、「本当にこんな釘で、床を破ろうと思ったのだろうか?」と疑問に思う。

夜中になり、藤原吉太(池内博之)は物音を聞いて、佐久間の独房へと向かう。佐久間は、布団や着物を畳み、手錠を置いて去っていた。佐久間の足錠は、継ぎ目が潰してなかったことに浦田は気づく。

担当していた囚人の丸蔵之助(ダンカン)は、佐久間の風呂ごとに2時間かけて足錠を切断することに嫌気がさしていたのだった。独房を調べると、扉の錠に味噌汁が塗りつけてあり、腐食させてボルトを外していた。

光の家を、浦田が訪れる。浦田は、光に「佐久間が来たら伝えてください。『お前は愚かだ』と。『日本にいる限り、お前に自由はない』」と言う。だが、光は「日本が負けてしまい、めちゃくちゃになればあの人のことを忘れてしまうでしょ…日本が負ければいい」と言う。

1年後、札幌刑務所に米兵が訪れ、「基本的人権が守られず、人間性が無視されている」と指摘する。

浦田は佐久間の脱走を許したため、辞職しようとしていた。だが、多くの看守が戦死したことを受け、浦田は最後のお勤めとして札幌刑務所に請われて勤務することになった。

滝川警察署管内で、畑の農作物を荒らしているところを咎められ、人を刺して逃げた男が逮捕された。その男こそ佐久間であり、札幌刑務所に収監されることになるのだった。

佐久間は、浦田と再会して笑い出す。佐久間は、逃走してから山の中にずっといたことを明かす。だが、日本が敗戦したことを知り、山中にいても仕方がないと思い、里へと下りたのだという。

佐久間は、「棒を持った男がやってきて、持ってた包丁で脅したら、組み付いてきた。あれは正当防衛です」と言う。だが、浦田は「言いたいことがそれだけか?今度は逃がさないぞ」と言う。

浦田は、頭も通らないような小窓の特別房を用意する。だが、そこで浦田は、アメリカ軍政部のオックスフォード大尉から呼び出しを受ける。看守もまた、戦犯として処分される可能性があるのだという。オックスフォード大尉は、「囚人たちを家畜のように扱っている。皆、痩せ細っている」と指摘する。だが、浦田は「私の部下に落ち度はない。だが、日本全体が食糧不足に陥っている。囚人だけでなく、看守も痩せているんだ」と反論する。

浦田は、囚人の手錠を外すように言われるが、拒否する。拳銃を向けられながらも、浦田は「撃ちたければ、撃てばいい。私は、囚人の自由を奪い、あなたも私の自由を奪う。違いは、あなた方が戦争に勝ったということだ」と言う。

浦田に、地裁で死刑判決が下された。佐久間は浦田を呼び、「足錠をしないのは、おやじさんの配慮ですか?」と言う。だが、浦田は「アメリカさんがうるさいからだ」と言う。
浦田は、高裁では死刑判決にならないのではないか、と言う。そして、「お前のカミさんに会った。お前には帰る巣がある。俺にはない。お前の方が幸せな鳥だ」と諭す。「お前は、俺の息子と同じ年に生まれたんだな」「…ちゃんと規則は守れ」と言うのだった。

佐久間は、床下に潜って器で土を掘り、再び脱走するのだった。佐久間は初めて冬に脱獄する。死刑を恐れたためと思われていた。

佐久間は、翌年1月に逮捕された。高裁で、佐久間は死刑を免れる。世間では、佐久間のことを「脱獄王」としてヒーローのようにもてはやしていた。

浦田は、定年を迎えるため、退職しようと考えていた。そんな父親に、美代子は佐久間のことを「どんな人?」と訊ねる。浦田は、「子供の頃、羽もないのに飛べると思っていたそうだ…洋(長男)もそんなことを言っていた」と言う。そんな浦田に、美代子は「帰ってきたら?…私も、ずっと帰って来てほしかった」と言う。去り際、美代子は「長い間、お勤めご苦労様でした」と声をかける。

浦田は、佐久間を暖かい土地へ移すことを提案する。「一緒に旅をする」と言われ、佐久間は不思議そうな表情を浮かべる。浦田は、府中刑務所へと移送されることとなった。

移送中、7月31日を迎える。「今日は、俺の誕生日です」と言う佐久間に、浦田は「さっき、青森駅でもらったんだ。今時、貴重品だぞ」と、りんごを渡す。佐久間はりんごを受け取り、「少し疲れたかなって…捕まった時、逃げようと思えば逃げられたんですけど、もういいのかなって…」とつぶやく。

「逃げたって、山の中に1人で帰れず…これなら、なんのために脱走したのかなって。それなら、人のいる町に下りてみようと思った。そこで警官に『佐久間清太郎だ』って言ったら、ホッとして…嬉しいなぁ。りんごもらって、暖かいところさ旅をして。おやじさんを、ずっと裏切ったのに」と言う。

移送される汽車に乗り、佐久間は「俺の家が、あのへんにあるんだ」と言う。そんな佐久間に、浦田は「帰ってこれるよ」と言い、佐久間は涙を流す。その後、府中刑務所に移送された佐久間は、仮出所する昭和36年まで脱獄をすることはなかったという。

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