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湊かなえ「花の鎖」あらすじ・ネタバレ

   

簡単なあらすじ

1) 前田梨花は、両親を亡くし、祖母・高野美雪と暮らしていた。祖母は、胃癌で入院しており、手術代を捻出しなければならなかった。ところが、梨花は失業中であり金銭的に困っていた。そこで、毎年母に花を贈り、自分に対しても経済的援助を申し出てきた人物「K」に頼ることにした。

2) 正体は分からず、梨花は花屋をたどって「K」に連絡をとる。だが、現れたのは「Kの秘書」を名乗る人物だった。Kは母・高野紗月の元恋人であることが判明する。そして、紗月はKこと北神浩一が急性骨髄性白血病になった際、ドナーとなって助けていたのだった。

3) 紗月と浩一は、はとこ同士だった。恋人になるのだが、紗月の母・高野美雪と、浩一の父・北神陽介の確執により、別れることとなったのだった。美雪は、夫・和弥の「香西路夫美術館」の設計図を陽介が横取りしたと思っており、関係を断絶していたのだった。

4) 梨花は、Kや祖母・美雪や陽介たちの関係を知り、手術代を受け取ることは拒否する。その代わり、祖母・美雪が落札を望んだ、夫・和弥との思い出深い香西路夫が描いた『未明の月』の絵を代わりに北神設計事務所で落札して欲しい、と依頼する。その落札された絵は、和弥が設計した「香西路夫美術館」に寄贈され、飾られることとなったのだった。

ここがポイント

美雪・紗月・梨花、親子三代にわたる出来事が互いにカットインしつつ、ストーリーが展開していく。Kの正体、花を贈る理由、そして和弥の死の真相などが明かされ、全ては確執を生む発端となった「香西路夫美術館」に収束していくのだった。

高野美雪

美雪は、伯父が役員を務める建設会社に事務員として就職した。そこで、同僚の高野和弥と見合い結婚することになった。和弥は、設計の仕事をしたかったのだが、営業職をしていた美雪の従兄・陽介が独立することとなり、和弥は「設計の仕事ができる」と思い、陽介に誘われてその会社に入る。だが、そこでも営業の仕事をさせられていた。

そこで和弥は、「香西路夫美術館」のコンペティションに参加することを決意し、睡眠時間を削って設計図を引き始める。ついに完成し、和弥は応募を行う。和弥の設計は最終候補にまで残り、美雪は喜ぶ。ところが、和弥は浮かぬ顔をしていた。和弥の応募した設計図を、陽介が勝手に事務所の名前で応募しなおしていたからだった。

美雪は、陽介に抗議を行う。だが、陽介は「あのままでは残らなかった。建築予定地は雨が多くて地盤が緩い。だから、手直しが必要だった」と言う。和弥は、「もういいんだ」と美雪をなだめる。

その後、美雪は和弥が設計を行っていることを陽介の妻・夏美に話したことを思い出す。美雪は、夏美が陽介の耳に入れたのだと考え、自分がしてしまった行動がきっかけで、和弥の設計図が横取りされてしまったのだ、と悔やむ。

まもなくして、和弥は「雨降り渓谷」から滑落して、川で溺死してしまうのだった。一緒に山に登っていたのは、陽介、森山清志だった。美雪は、陽介が和弥を殺害したのではないか、と疑う。だが、森山は「和弥さんが山に登ろうといいだした。写真を自ら撮ろうと、滑落してしまった」と証言したため、警察は事件性はないと判断した。

陽介の建築事務所は、「香西路夫美術館」の設計をきっかけに有名になり、仕事が舞い込むようになっていた。美雪は、夫の設計図を横取りした、と陽介のことを恨み、北神家と関係を断絶する。

美雪は、和弥のことを追って「雨降り渓谷」で自殺を図る。川へと落ちるのだが、一命を取り留める。そこで、彼女を診た医師に、陽介の子供を身ごもっていると明かされるのだった。

高野紗月

和弥は、美雪が身ごもっていると気付いており、名前の候補として「紗月」を挙げてメモを残していた。妻が「美雪」であることから、「雪月花」となるように「月」がついている名前で、「紗月」としたのだった。

美雪は、女手一つで紗月を育てた。紗月は大学に進学し、山岳部に入部する。そこで、開口一番「お父さん」と呼び掛けてしまった北神浩一と交際するようになる。同じ部の小川希美子も浩一に好意をもっていたが、紗月は浩一と付き合うことをあきらめなかったのだった。

だが、浩一と紗月は、互いに「はとこ同士」であることに気づく。紗月の母・美雪と、北神陽介たちは関係が断絶しており、美雪は浩一との交際を快く思わなかった。結局、紗月は浩一と別れることになった。

浩一は、卒業後に小川希美子と再会して結婚することになった。ところが、浩一は急性骨髄性白血病になってしまう。そこで、希美子は紗月がドナーとなりうると思い出すのだった。大学時代、同じ病気になっていた倉田遥のため、彼らは白血球の型を調べていたのだった。そこで、浩一と紗月が同じ型であると判明したのだった。

希美子は、紗月に浩一のドナーとなるよう頼む。紗月は、陽介と母・美雪の確執のこともあり、悩んでいたのだが、ドナーとなることを引き受けるのだった。

その後、紗月は前田明生と結婚し、梨花を産む。紗月は、ドナーとなったことを浩一に伏せてもらっていたのだが、彼はそのことに気づいていた。そこで、毎年「K」とイニシャルを添えて、手紙と花を贈り続けていたのだった。

前田梨花

梨花の祖母・美雪は、胃癌となって入院していた。梨花は、両親をすでに亡くしており、なおかつ勤務していた英会話教室「JAVA」が倒産してしまっており、手術代をどう捻出するか悩んでいた。

そんな中、「あしながおじさん」のような「K」なる人物が、援助を申し出ていたことを思い出し、花を届けていた花屋経由でコンタクトをとり、「K」にお金を借りようとする。

ところが、「Kの秘書」と名乗る人物が現れ、「このお金は払うが、これ以降、連絡はとらないでくれ」と言う。Kの秘書なる人物は、Kの息子であった。だが、Kの正体は分からずじまいだった。

Kの正体を探ろうとする中、祖母の病室を見舞っていた人物に出会う。彼は、森山清志であり、陽介の建築事務所で専務を行っていた。森山は、手術代について自分が出すと言う。

そんな森山に、梨花は母親とK、そして祖母と陽介の関係性について話を聞く。森山はそこで、浩一が急性骨髄性白血病になったこと、陽介と夏美は、紗月にドナーになってほしいと頼み込み、経済的援助や「事務所の経歴から美術館を消す」ことも条件として出したものの、美雪に拒否されたことを明かす。だが、紗月は倉田先輩との思い出をたどりながら、前田と登山してドナーとなることを選んだのだった。

また、和弥が亡くなった事故についても、真相を語る。和弥が登山に行こうと誘ったのではなく、誘ったのは陽介だった。そして、陽介は革靴でやってきていたため、仕方なく和弥が写真を撮ることになったのだった。結果、和弥は足を滑らせて川に落ちてしまった。

自分が殺したと疑われかねない、ということで陽介は警察に「和弥が登山に誘った」とうそをついたのだった。また、森山は自分が陽介に和弥が美術館の設計図を描いていることを教えてしまったということで、陽介の提案を飲むしかなかった。

森山は、香西路夫『未明の月』の解釈について、母が話していたことを和弥に伝えた。その話がインスピレーションのもとになって設計に活かされていたため、「自分の名前もクレジットしてくれるかもしれない」と淡い期待を抱いていた。だが、そうされていなかったため、陽介に話したのだった。

話を聞いて、梨花は手術代を出してもらうことを断る。そして、代わりに『未明の月』を落札し、購入してくれることを依頼するのだった。北神建設事務所は、落札された絵は、香西路夫美術館に寄贈されることになったのだった。

その絵を見に行ったところ、梨花は結婚式を挙げるカップルを見かける。そこで美雪に「梨花ちゃんがお嫁さんだったらよかったのにね」などと言われるのだった。

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