高橋弘希「送り火」あらすじ・ネタバレ・結末

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商社勤務の父親の青森県津軽市平川への転勤により、中学三年生の歩も転校することになった。親戚の所有する一軒家に、歩は両親とともに引っ越す。歩は市立第三中学校に転校し、そこで歩は晃、稔と知り合う。

同級生から、歩は晃が稔の頭部を鉄鋼で殴りつけ、重傷を負わせたことを知らされる。転校して一週間、歩は、晃が同級生の稔や藤間、近野、内田と花札を使った「燕雀」というゲームをしているのを見かける。

そのゲームにより、アウトドア用品店でナイフを万引きしてくる人物を決めるのだという。その罰ゲームを提案したのは晃だった。負けたのは稔であり、ナイフを万引きするのだった。

そのナイフを誰が預かるかということになり、今度は歩も参加して燕雀が行われる。勝者は歩であり、彼がナイフを預かることとなった。この一件をきっかけに、歩はクラスに溶け込むようになった。

だが、晃はその後も燕雀により、「負けたら硫酸をかける」(実際は、硫酸ではなく炭酸水にすり替えたものだったが)「負けたら缶ジュース、スナック菓子を買ってくる」といったゲームを提案する。歩は、晃がイカサマをしており、毎回、稔を負けさせていたことに気づいていた。

さらに、晃は「彼岸様」なる罰ゲームも提案する。毎度のように、稔が負けて失神寸前まで首をビニール縄で絞められ、藤間によって晃は止められていた。間もなくして藤間は給食を食べた後に嘔吐、痙攣する。歩は、晃が止められた腹いせに藤間の給食に硫酸を入れたのではないかと疑う。

歩は、理髪店で稔と偶然出会う。そこで歩は、稔から「ナイフは自分が盗んだのだから、自分に残り半年は所有させて欲しい」と願い出る。だが、歩は燕雀に勝ったのは自分であるし、厄介事に巻き込まれたくないと断る。

その後、歩は晃から「カラオケに行こう」と電話で誘われる。歩は待ち合わせ場所に行くと、そこには晃、稔、藤間、近野、内田だけでなく、市立第三中学校の卒業生である仁村、横井たちがいた。

仁村と横井たちは、晃や稔をたびたび暴行していた。晃はすでに顔を殴られた形跡があった。さらに、仁村は晃たちに燕雀をやらせ、そこで敗者となった稔に「マストン」という罰ゲームを行わせる。稔は玉乗りをさせられ、幾度となく仁村に暴行され続けた。

そんな中、稔は持参していた食肉裁断用の刃物(稔の実家は精肉店である)を取り出し、仁村の首を斬りつける。晃は稔に恐れおののき、その場から逃げ出す。歩も逃げ出そうとするが、稔に掴まってしまう。暴行により目が腫れて見えていない稔に、歩は「僕は晃じゃない」と叫ぶのだが、稔は「最初っからお前が一番ムカついていた」と言われ、手と脚を斬りつけられてしまうのだった。

上手く走ることができないなか、歩は稔から逃げ出そうとする。深い森の中を進み、後方から再び何者かに掴まれ、歩は振りほどこうとした拍子に崖から落ちてしまう。目を冷ますお目が開けられず、流水の音だけがしていた。

どこか分からぬ場所で歩は這い、そこでその地方の「習わし」を見かける。三体の巨大な藁人形に火がつけられる様子を見ると、歩は灯籠流しではなく、「三人のうちの最初の一人の人間を、手始めに焼き殺しているようだ」と思うのだった。

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