簡単なあらすじ
1) 地球の天然資源が枯渇した後、月に眠っていたエネルギー資源「ヘリウム3」が採掘されるようになった。ルナ産業と契約する宇宙飛行士サム・ベルは3年間、月で過ごしながらヘリウム3の採掘を行っていた。
2) サムは、月面探査車を運転している最中、ダンプカーに突っ込んで大事故を起こしてしまう。サムが目を覚ますと、そこはガーティのいる基地だった。だが、基地で目覚めたサムと、事故を起こしたサムは別人であり、彼らは地球にいるオリジナルのサムから作られ、記憶を移植されたクローンだったのだ。
3) ルナ産業は、サムのクローンを使用し、ヘリウム3採掘を続けていたのだった。そのことに気づいた、事故を起こしたサムと、新たに目覚めたサムは協力し、事故を起こしたサムは死期が近づいていたため、事故現場に戻る。一方、新たに目覚めたサムはヘリウム輸送船に乗り込み、地球へと向かうのだった。
4) クローンのサムは地球に到着し、ルナ産業がクローンを使用していたことは明るみに出るのだった。結果、同社は社会的な非難を受け、クローンのサムが裁判所に出廷して証言を行うとニュースで報じられていた。
詳細なあらすじ
地球の天然資源が枯渇した後、月に眠っていたエネルギー資源「ヘリウム3」が採掘されるようになった。ルナ産業と契約する宇宙飛行士サム・ベルは3年間、月で過ごしながらヘリウム3の採掘を行っていた。
サムは、妻のテスと3歳の娘イヴを地球に残し、彼女たちのビデオメッセージを見て孤独に耐えていた。通信機能を持つ機器が故障してしまい、地球とリアルタイムでの通信はできなくなっていたのだった。
彼の相棒は、人工知能「ガーティ」であり、ガーティは親身になってサムの身の回りの世話も行っていた。
地球に戻るまでの期間が数週間となり、サムは戻れることを心待ちにしていた。だが、サムは幻覚を見るようになり、体調に異常をきたし始めていた。そんな彼は、月面探査車を運転している最中、ダンプカーに突っ込んで大事故を起こしてしまう。
サムが目を覚ますと、そこはガーティのいる基地だった。サムはしばらくの間眠っていたようであり、記憶がおぼろげだった。さらに、立ち上がると歩行もままならなかった。
そんなサムは、基地の外に異変が起きているのではないかと考え、止めるガーティを騙して月面探査車で外に出る。そんな中、ダンプカーに突っ込んで事故を起こしている月面探査車を発見し、中には自分そっくりなもう一人の人物がいることが判明するのだった。
2人の「サム」は、姿形がそっくりであり、なおかつ妻子の記憶までまるっきり同じであった。当初は反発し、いがみ合うのだったが、彼らは次第にルナ産業が何を行っているのか、基地には何が秘密として隠されているのかを探り始める。
事故を起こしたサムは、ガーティがルナ産業の社員とリアルタイムでやりとりをしていることを知ってしまう。そのため、妨害電波が出されている電波塔が存在し、ルナ産業がサムに地球とやりとりさせないようにしているのでは、と考える。
そこでサムは、小型通信機をもって妨害電波が出ていない場所まで出て、そこで地球と通信しようと試みる。結果、娘のイヴは10代となっており、妻のテスは亡くなっていることが判明する。そして、「オリジナルのサム」はイヴと地球で暮らしていた。
自分が単に記憶を移植されたクローンであると気付いたサム(事故を起こしたサムであり、「クローンサム1」とする)は、基地に戻って過去の映像データを見ようとする。ログインできなかったのだが、ガーティがパスワードを教えてくれて見ると、そこには自分と同じような何人ものクローンが月でヘリウム3採掘の業務を行っており、用済みになると「地球に戻す」と騙されて処分されることを知るのだった。
基地で目覚めたもう一人のクローンのサム(「クローンサム2」とする)は、クローンサム1が娘と行っていたやりとり映像を観て、さらには自分もクローンであるということをクローンサム1から知らされる。
クローンサム1とクローンサム2は、まだ目覚めていないクローンが眠っている地下室を発見し、2人は自分たちの正体を確信する。ルナ産業は、サムのクローンを使用し、ヘリウム3採掘を続けていたのだった。
クローンサム1は急速に老化し、死期が近づいていた。クローンは3年という短い時間しか活動することができなかったのだった。そんな中、クローンサム1が事故を起こしたことから、ルナ産業の社員がトラブル処理を行うために月へと向かっていた。
そこでクローンサム2は、もう1人のクローンをガーティに目覚めさせるよう指示する。彼は、そのクローンを殺害し、事故現場に置くことでルナ産業社員を欺こうと
したのだった。そして、クローンサム1をヘリウム輸送船に乗せ、地球へと行かせてやろうと考えた。
だが、クローンサム1は「俺たちに殺すことはできない」と言い、その計画を中止させようとする。そして、クローンサム1は死期が近づいており、クローンサム2に対し「俺を事故現場に戻せ。そして、お前が代わりに地球に行け」と言うのだった。
クローンサム2はその提案を受け入れ、ルナ産業の社員が到着する前にクローンサム1を事故現場に戻し、さらにはガーティに残ったデータを消して偽装工作を行う。ヘリウム輸送船に一度は入ったクローンサム2だったが、採掘トラックを遠隔操作し、妨害電波を出す電波塔を破壊してから再びヘリウム輸送船戻った。
ルナ産業の社員が事故現場にいるクローンサム1を確認し、「死体を回収する」と言っている中、クローンサム2は地球へと向かっていた。その輸送船をクローンサム1は死の間際で見ていた。
クローンサム2は地球に到着し、ルナ産業がクローンを使用していたことは明るみに出るのだった。結果、同社は社会的な非難を受け、クローンサム2が裁判所に出廷して証言を行うとニュースで報じられていた。