「一本足りない」(世にも奇妙な物語 第512話)あらすじ・ネタバレ

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主婦の風見綾子(永作博美)は、家の中で「ここは、私が人生をかけて作り上げた完璧なお城」と思う。子供の頃から完璧主義の綾子は、その「完璧さ」を保つため、「決して目を離さず、いつもそばで見守る」ことにしていた。

そんな中、台所で包丁が一本足りないことに気づく。一方、せっかく作った朝食を夫の風見郁久(神尾佑)、娘の風見杏奈(北香那)、息子の風見和哉(今井悠貴)は食べずに出て行ってしまい、綾子は「私は完璧にやってるじゃない」などと苛立ちまぎれに苛立つ。

綾子が包丁を探していると、息子のクローゼットの中から数万円の現金、血だらけのTシャツを発見発見してしまう。娘の部屋を探すと、そこで海外留学のパンフレットを発見してしまう。自分にかけられた生命保険を見ると、ちょうど留学資金と同じであることに気づいてしまう。さらに、夫のPCを無断で見ると、浮気していることが明らかとなる。

綾子は、それらの証拠を家族に突きつけ、「包丁はどうしたの!一本足りないの…殺す気でしょ?私は許さないから。あなたの留学も、あなたが犯罪者になるのも、あなたの浮気で離婚するのも!」と叫ぶ。

「壊さないで。私、必死で守ってきたの」と泣く綾子に、娘の杏奈は「もうすこしで、銀婚式でしょ?」と言う。子供たちはバイトでフィンランド旅行の資金を貯め、夫は有給をとるために必死に残業していたのだった。海外留学のパンフレットは、「間違って持ってきてしまっただけ」なのだという。そして、血だらけのTシャツは、息子が「工事現場ではたらいていて、鼻血をつけてしまった」のだという。

夫の郁久は、「お母さんは我が家の太陽。悲しませるわけない」と言って笑う。安心した綾子は、夕飯を作ろうと台所に立つ。そこで、包丁を発見するのだった。包丁は血まみれであり、その直後、リビングで3人の遺体を発見する。

「あ、そうだ。私、昨日、みんなを殺しちゃったんだ」と思う。「だから、朝ごはんも食べられなかったし、お弁当も持って行けなかったのか」と笑顔でつぶやくのだった。

直後、旅行代理店から電話がかかってくる。「ご予約のフィンランド旅行の件ですが…」という電話の声を聞いて、「妄想じゃなかったの?」と思う。

綾子が目を覚ますと、リビングで居眠りしていた。「私は結局、なかったことにした」ことを思い出したのだった。綾子は、家族の「秘密」を見なかったことにして、「お城」を守り続けることにしたのだった。ところが、夫は浮気の証拠であるメールのコピーを発見していた。

綾子は、家族に「みんな、絶対に壊さないでね。いつまでも、いつまでも、一緒に暮らしてね。この完璧な完璧な城で。お母さんがずっと守ってあげるから」と言う。

綾子は、包丁が3本足りないことに気づく。夫、そして子供たちは包丁を手にしていた。

子供の頃、綾子は「砂のお城」を雨で守ることはできなかった。その時、気づいたのだった。「大切な物を壊されない、もう一つの方法…それは、自分の手でぶっ壊すこと」…それを思いだすと、綾子は包丁を手に、家族へと立ち向かう。

リビングに飾られた写真立てや壁に、鮮血が飛び散るのだった。

世にも奇妙な物語 ’17春の特別編(2017年4月29日放送)
脚本:蛭田直美

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