女子大生のミドリ(中条あやみ)は毎晩、悪夢にうなされていた。母(筒井真理子)にも「顔色が悪いわよ」と心配される。
そんな彼女は、大学の講義で「なぜ、悪夢を見るのでしょうか…それは、人間が恐怖を潜在的に欲しているからです」と教わる。教授(村上新悟)は、「人間は、恐怖を求めてしまう生き物なのかもしれない…故に、夢にはメッセージが隠されている可能性がある」と言うのだった。
ミドリは、夢の中に出てくる男の顔を、イラストソフトを使ってモンタージュで再現する。そして、その画像をツイッターにアップし、「この男が夢に出てきます。助けてください」とメッセージを投稿する。
すると翌朝、その投稿が大反響となる。多くのリツイートがなされ、「この男を夢で見た」というコメントがいくつも投稿されていた。さらに、「その夢を見ると、赤いものを手首に巻きたくなる」とツイートする人が多かった。
ミドリは、自分のツイートが話題となったことで、満足感を覚えていた。マスコミに取材を受けたミドリは、「人間というのは、恐怖を求める存在なのかもしれません。だからこそ、あの男性は何かを伝えようとしているのかもしれません」と言う。
同じゼミ生のマナブ(広田亮平)は、「デマやパニックは、人々を動かしてしまうんだ。あまり騒ぎ立てるべきじゃない」と忠告するが、ミドリは聞く耳を持たない。
ニュースでは、アメリカ大統領補佐官が「夢男」について調査を始めると報じられていた。そんな中、街では「夢男が襲ってくる」と人々がパニックになる。バスから飛び降りたミドリを、教授は連れ出す。
教授は、「人類が滅亡する前触れかもしれません。生物が絶滅する時、同一の意識を持つといいます」という。ミドリは「夢男なんか見てないんです。イタズラしただけなんです」と告白する。だが、教授は「そのことを誰にも言ってはいけない」と言う。
夢男の都市伝説は、様々な尾ひれがついて噂が広まっていった。人々は暴徒化し、街はパニックに陥っていた。そんな中、ユカリ(唐田えりか)は腕の傷を見せ、「私、襲われたの」と言う。そして、ユカリは夢男を見かけてパニックに陥り、飛び降り自殺してしまう。
ショックを受けたミドリに、教授は「僕がなんとかします。だから、変な気は起こさないで」と言う。ミドリは、イタズラであると母親に打ち明けようとしていたが、母親も腕に赤いヒモをつけており、言い出せなかった。
街中では、夢男の手配書が貼られていた。ミドリはユカリの葬儀に出て、そこで「みんな聴いて。夢男なんかウソなの。夢男なんか見てない。想像して描いただけ。みんな、目を覚まして」と言う。信じていなかったマナブも、「夢男を受け入れたら楽になった。彼は救世主かもしれない」などと言い出す。
教授は、「これを望んでいた。こんな世界なら、夢男に塗り替えてもらった方がいい」などと言う。ミドリは葬儀会場から抜け出すと、凶暴化した人々がそこにはいた。ミドリは、「全部ウソなんです。夢男なんかいないんです…みんな、目をさまして!」と叫ぶ。
ミドリは、人々の顔が「夢男」の顔になっていることに驚く。警官に助けを求めたミドリは、拳銃を向けられる。発砲音とともに、ミドリは目をさます。朝食をとっていると、ミドリは母親に夢の話をする。だが、その母親も夢男の顔をしていた。
母親は、「怖いでしょ?ちゃんと怖がればいいの。怖いって言えば、怖いって認めればいいの。認めなさい」と言う。ミドリは、「これは夢」と言ってマンションの部屋を出る。そして、「夢なら死なない」と思って飛び降りる。
だが、夢から覚めることはなく、「これ…現実?」と思う。ミドリは入院した後、退院する。自分の右腕には赤いヒモが巻きつけられ、世界は荒廃したままだった。
街の中で、ミドリは夢男に声をかける。「あなたが私を求めたんじゃないですか。世界は、いつだってあなたたちの思い通りです。…これから楽しみですね」と言って笑うのだった。
エンディングの数字「5495」
番組のエンディングで右下に表示された「5495」という数字は、番組公式HPにある「【閲覧注意】社会実験サイト公開中」のリンクでその数字を打ち込むと、夢男のムービーが流れる。
ちなみに、五十音の表に照らし合わせると、54はナ行の4番目で「ね」、95はラ行の5番目で「ろ」であり、「ねろ(寝ろ)」となる。
世にも奇妙な物語 ’17春の特別編(2017年4月29日放送)
脚本:いながききよたか