大学で動物行動学の講師を務める相河一輝(高橋一生)は、研究者としては秀でたいたが、社会生活を送る上で、他人に配慮したり協調することは苦手としていた。そんな彼は、20年前から住み込みの家政婦・山田妙子(戸田恵子)と一緒に暮らしていた。
一輝は、鮫島瞬(小林薫)教授の勧めもあり、授業を行うようになったのだが、学生たちはあまり一輝の授業を真剣には聴いていなかった。さらには、大学のルールを守らずにマイペースなことで、事務長の熊野久志(阿南健治)に叱られてばかりいた。
そんな一輝は、虫歯を放置し続けており、家政婦の山田には「先延ばしをするのが得意」などと言われてしまう。ついには耐えきれず、一輝は鮫島教授の紹介で、水本育実(榮倉奈々)の経営する歯科医院に受診する。
歯根部にまで病変が広がり、歯を抜くべきであると育実は説明するが、一輝は「先生には治せないってことですよね?他の先生を探します」などと失礼なことを言う。さらには、「帰ります」と宣言し、そのまま帰ってしまうのだった。
だが、痛みに耐えきれず、一輝は再び当日予約を行う。時間厳守と言われていたのだが、骨格標本の歯がデスク下に見つかり、喜んだ一輝は組み立て作業に没頭し、予約時間を忘れてしまい、連絡もしない一輝に育実はイライラを隠すことができない。育実は料理教室をキャンセルせざるを得なかった。
だが、育実はファッション雑誌に「輝く女性」として取り上げられ、気分がよくなる。そんな育実は、久しぶりに彼氏とデートするのだが、つい彼氏にも高級レストランで奢ったり、高価なネックレスを買ってつけていたことから、「俺のこと、見下してるんだろ」などと言われ、別れを切り出される。
落ち込んでいた育実の前に、一輝が現れる。昼休憩中に待合室で待っていた一輝に、育実はつい「常識ってものがないんですか」などと当たってしまう。だが、育実は謝罪し、抜歯治療を行うのだった。
一輝が、同じく通院している少年・虹一と仲よさげにしていたことから、育実はそのことを話題にし、一輝と虹一がイソップ童話の「うさぎとカメ」の話で盛り上がったことを聞く。
一輝は「先生はうさぎっぽいですね」と言う。「カメは、どうして眠っていたうさぎに声をかけなかったのか?」という自らの疑問に対して、「カメは、うさぎとの競争などどうでもよかった。前に進むことだけを楽しんでいた」と言う。さらには、うさぎは「カメを見下したかったために走っていた」と指摘するのだった。
そんな「うさぎっぽい」と言われた育実は、彼氏の言葉もあり、「私のどこがうさぎっぽいって言うんですか!」と待合室で叫んでしまうのだった。