キャスト
・稲葉麻美:派遣社員。富田誠と交際中。
・富田誠:大手企業に勤務する会社員、稲葉麻美と交際中。スマホを落としてしまったことで一連の事件に巻き込まれる。
・武井雄哉:商社に勤務している会社員。稲葉麻美の大学の先輩であり、元カレ。
・小柳守:誠と同じ社の人事部に勤務する会社員。
・浦野善治:セキュリティ会社に勤務する会社員。
・毒島徹:神奈川県警捜査一課警部補。
・加賀谷学:神奈川県警捜査一課巡査部長。
簡単なあらすじ
1) 派遣社員のOLである稲葉麻美は、恋人である富田誠がスマホを落としてしまったことにより、「男」によって知らぬ間に個人情報や写真などを奪われてしまう。「男」は、すでに10人近くもの女性を殺害している猟奇殺人者だった。
2) 「男」はSNSを巧みに用いて、麻美に関する情報を手に入れ、さらには彼女の知人・友人たちを巻き込んで翻弄していく。フェイスブックの乗っ取りなどで、麻美はようやく自分の身に何やら得体の知れないものが近づいているのを感じるのだった。
3) スマホがランサムウェアに乗っ取られてしまい、麻美は大学の同級生で、セキュリティ会社に勤務している人物に助けを求めるのだが、都合がつかず、彼の部下だという浦野善治に相談する。浦野に相談し、問題は解決したかに思われた。
4) だが、「男」の正体は浦野であり、麻美は彼に拉致・監禁されてしまう。だが、麻美はiPhoneのSiriを用いて拘束されていながらも誠に助けを求め、iPhoneの位置情報をもとに彼女は救助され、浦野は逮捕されるのだった。
5) 浦野は警察が駆け付ける前、誠に麻美の過去を暴露していた。麻美の本名は山本美奈代であり、AV出演の過去があった。「稲葉麻美」というのは、過去の自殺したルームメイトであり、彼女が亡くなってからというもの、整形手術を受けた後に「麻美」として生きてきたのだった。
6) 麻美は入院し、誠に顔を合わせることもできず、一人で退院しようとしていた。だが、誠は彼女に「新しい戸籍で、俺と人生をやり直しませんか?」とLINEを送り、麻美は一筋の涙を流すのだった。
あらすじ
派遣社員のOLである稲葉麻美は、恋人である富田誠に電話をかける。だが、その電話は誠以外の男性が出て、麻美は驚く。その「男」はそのスマホを拾ったと言い、誠はどこかでスマホを紛失してしまっていた。
麻美は、その男性と喫茶店で待ち合わせを行い、そのスマホを受け取ろうとする。だが、そのスマホは店員に預けられており、麻美はそのスマホを受け取るのだった。だが、そのスマホを拾ったという「男」は、パスコードが単純なものであり、解除していた。さらにはスマホに保存された連絡先や写真、SNS情報などをすべて手中に収めていたのだった。
「男」は、長い黒髪の女性をターゲットにし、何人も殺害していた。その女性の一人の遺体が奥深い山中で、野生動物により掘り返され、通報された。その後、近辺には同様に埋められた女性遺体が発見され、被害者は5名となった。神奈川県警捜査一課の毒島刑事、加賀谷刑事は犯人を追う。
一方、「男」はフェイスブックを利用して、麻美の知人などになりすましてやりとりを行うのだった。誠と同じ社の人事部に勤務する会社員・小柳守になりすましてはストーカーまがいのメッセージを送ったり、さらには誠の過去の「浮気写真」を送りつけたりと、麻美を翻弄する。
さらには、麻美の元カレである武井雄哉とのキス写真を麻美のアカウントを乗っ取ってばらまくなど、次第にエスカレートしていく。
スマホもランサムウェアによりロックされてしまい、麻美はセキュリティ会社に勤務する会社員・浦野善治に相談する。浦野は、セキュリティ会社に勤務している大学の同期の部下だった。浦野は、「ランサムウェアを仕掛けてきた犯人を、撃退する方法がある」と言い、麻美は彼を信頼し、委ねることにするのだった。
毒島刑事たちは、遺体の埋められた山中近くの高速道路のNシステムやレンタカー会社を調べ、犯人が波多野淳史名義の免許証を使用していることが明らかとなる。だが、実際の波多野は別人であり、犯人は偽造免許証を使用しているのだった。
さらには、被害者の1人の身元が判明し、彼女が勤務していたのが風俗店であったことから、犯人は風俗を利用していると考え、虱潰しに探していく。結果、元店長が「店でトラブルを起こした男に間違いない」と証言し、宮本まゆという女性が突然失踪したことが判明する。
奇妙なことに、宮本まゆの携帯電話は現在も繋がり、留守番電話に切り替わるのだという。犯人は、被害者が生きていると思わせるために、被害者の携帯電話を使い、親族たちに定期的なメール連絡をしていたのだった。結果、失踪届などが出されていなかった。
毒島刑事は、上司に「宮本まゆの携帯電話の位置情報のため、裁判所に申し立てをしてください」と依頼するのだが、上司は躊躇する。そんな中、犯人についての通報が麻美の彼・誠からあるのだった。
麻美は、浦野にバーで会い、そこで睡眠薬を飲まされて拉致されてしまう。浦野こそが犯人であったのだった。浦野は、麻美を監禁・拘束した後、「遺体を埋める穴を掘ってくる」と言いおいて出かける。その間に、麻美は自分のボストンバッグが監禁部屋にあることに気づき、Siriに呼びかけて誠へ電話をかけ、助けを求めるのだった。
浦野が穴を掘った後に戻ってきたところ、助けにやってきた誠は浦野を背後からバットで殴りつけ、捕らえる。浦野は、麻美のスマホの位置情報をたどってやってきたのだった。
麻美の拘束具の鍵のありかを浦野に問い詰めるのだが、浦野は「パソコンの動画を再生してみて欲しい」と浦野に言う。誠はその動画を再生すると、それはAVであり、整形手術前の麻美が出演していた。
麻美の本名は、山本美奈代であり、「稲葉麻美」というのはかつて自殺したルームメイトだった。美奈代(現在の麻美)は、生活費に困ってAVに出演し、事務所の不手際で個人情報が流出してしまい、結果、誹謗中傷や嫌がらせに遭って悩んでいた。
一方、ルームメイトの麻美(稲葉麻美 本人)は、勤務していた会社でパワハラ・セクハラに遭い、うつ病で退職していた。結果、麻美は電車に飛び込んで自殺したのだが、彼女は「美奈代」として遺書を書いていた。麻美は、美奈代に「私になりかわって、これから生きていったらどう?」と勧めているかのようであり、美奈代はそのとおりにし、稲葉麻美として生きてきたのだった。
美奈代は元々似ていることもあり、麻美に似せて整形手術を受け、麻美本人と瓜二つとなった。「麻美」(本当は美奈代)の過去を知り、誠は呆然となる。浦野は、「自分を逃がせば、彼女の過去は黙っている」と交渉を持ちかけ、誠はその条件を飲むのだった。
ところが浦野は裏切り、浦野を殴りつけて気絶させる。とどめを刺そうとしていたところ、そこに誠が通報していたことで毒島刑事らが駆け付ける。浦野は麻美を人質にとるのだが、加賀谷刑事との連携で毒島刑事は浦野を捕らえる。だが、「浦野」というのも偽名であり、彼は本名を言おうとはしなかった。
麻美は入院し、誠に顔を合わせることもできず、一人で退院しようとしていた。だが、誠は彼女に「新しい戸籍で、俺と人生をやり直しませんか?」とLINEを送り、麻美は一筋の涙を流すのだった。