ネイルサロンで働く智世は、カメラマンの夫・和典の実家で暮らすこととなった。義母・静子との生活に文句はなかったが、次第に、悪夢を見るようになっていた。
その悪夢というのは、「火事が起きているような状況で、最後には燃えた柱が背中に落ちてきて自分が死ぬ」というものだった。そのことを静子に伝えると、「私も同じ夢を見ていた」と明かすのだった。
静子も今の家で義理の両親と同居していた際、その夢を見始めるようになり、次第に体調不良を感じるようになった。原因不明の高熱に悩まされ、ついには後遺症で片足が不自由になってしまったのだという。
静子たちは、陣内という祈祷師にお祓いをしてもらうも、その祈禱師は「引っ越しをしたほうがいい」と勧めるのだった。そのため、静子も同意し、不動産屋に買い手を紹介してもらうこととしたのだった。
ところが、試しに住んでもらった家族でも同様の悪夢を見る女性が現れてしまう。さらには別の買い手家族が現れるも、カメラマンの和典が撮った記念写真に、「心霊写真のような白い靄」が現れ、やはり買うことはなかった。次第に悪夢にも「人影が現れる」変化が生じた頃、ついに智世は死亡してしまう。
ライターの榊は、和典が自分より稼ぎのいい智世に劣等感を感じていたことに着目する。そして、母親と同様に悪夢を見る智世が仕事を辞めるのではないか、と期待していたと推察する。
榊は、家の購入を考えていた家族を遠ざけた写真も、和典が「あえて心霊写真のように加工したのではないか」と考えるのだった。