市立三崎中学に通う町田圭祐は、駅伝の選手として選ばれる。全国大会へのキップをかけた県大会に陸上部は参加したのだが、敗退してしまう。今大会には、同じ陸上部のライバル山岸良太は出場していなかった。
山岸は、両膝を故障して回復途中であった。無理を押して出場しないものだと思われたが、陸上部の顧問・村岡先生が「田中の父親が末期癌で、どうしても田中を出場させてやりたい。だから、山岸は今回、膝の故障が原因でということで駅伝出場は辞退するということにしてくれ」と山岸に言っていたことを、山岸本人から町田は聞かされ、憤る。
その後、山岸は陸上部の名門校・青海学院に推薦入学し、町田も一般入学するのだった。町田も陸上部に入り、陸上競技を続けるつもりであったが、ひき逃げ事故に遭い、骨折して走ることができずにいた。
そんな中、同じ中学に通っていた同級生・宮本正也に声をかけられる。宮本は、放送部に入部することを決めており、脚本家志望の彼は、ラジオドラマ制作などに脚本家として携わりたいと考えていた。
宮本は、町田の声に惚れ込み、一緒に放送部に入ることを誘う。町田は躊躇っていたが、陸上部に入ることを諦めていたため、一緒に放送部に入部することになるのだった。
男子生徒がいなかったため、すぐに映像作品に出演することになる。だが、先輩の一人がダメ出しに「もうやめる」と言い出し、代わりの女子生徒を探す必要があった。そこで町田は、同じクラスの久米咲楽を誘うのだった。
咲楽は、アニメオタクで同じ中学校だった女子にイジメられていた。そのことがきっかけで、スマホを持つのすら怖くなってしまい、携帯電話を持っていなかった。咲楽は、元から放送部に入りたかったこともあり、宮本の誘いを快諾し、放送部に入部するのだった。
宮本は、JBKの放送コンテストのラジオドラマ部門に応募するため、そのラジオドラマの脚本を書く。彼の作品『ケンガイ』は、咲楽のイジメ体験を元に書かれたストーリーであった。町田が主演し、完成した作品はコンテストの地区予選にエントリーされる。
『ケンガイ』は、地区予選を突破し、全国での選考へと勝ち進むことになる。そんな中、町田は咲楽をイジメる女子生徒と話すことになり、『ケンガイ』に背中を押されたこともあり、そこで咲楽をイジメるようなまねはやめるように言う。そこで加勢してくれたクラスメイト・堀江と宮本は友人になる。また、咲楽も勇気をもらい、スマホを持てるようになったのだった。
『ケンガイ』が全国での選考を受けている中、町田は足の再手術を行うことになり、術後は再び走れるようになった。だが、病院でかつての中学時代の同級生である田中と再会する。そして、父親はごく初期の癌であり、すでに完治していることを知るのだった。
町田は、村岡先生などに話を聞きに行き、実は山岸の推薦入学の条件として「駅伝大会に出場することは見送ること」と提示されていたことが明らかとなる。村岡先生もまた、無理が祟って足を故障してしまい、選手生命を絶たれてしまっていたのだった。そのため、田中の父親のことを口実に、村岡先生は山岸の駅伝出場選手から外したのだった。
そのことを伝えた後、山岸は町田に「もう走れるようになったのだから、陸上部に入るのか?」と質問する。だが、町田にはもうその答えが決まっていた。
町田は、準決勝で落選して残念がる山岸に会いに行く。山岸は、町田が放送分のユニフォームであるポロシャツを着ていたことから、町田が陸上部ではなく放送部で活動を続けることが分かっていた。そのことを指摘され、町田は胸を張って答えの代わりにするのだった。