宇佐美まこと「骨を弔う」あらすじ・ネタバレ・結末

四国の山深い田舎町である替出町。その赤根川近くの土手から、人骨と思しき骨が見つかる。だが、捜査の結果、それはプラスチックで作成された人体標本であることが判明した。

その一件は新聞記事となり、替出町に現在も住む本多豊は愕然とする。そして、小学生時代に同級生4人と「人体標本の骨を埋めに行った」という記憶がよみがえり、自分たちが埋めたのは「本物の人骨ではなかったのか」と考え始めるのだった。

豊はその事実を確かめるべく、同級生だった大澤哲平、水野京香、田口正一、そして近所に住んでいて交流のあった琴美たちに話を聞きに行く。いけ好かない理科教師を困らせるため、盗んだ人体標本の骨を「埋めに行こう」と提案した中心人物である佐藤真美子は、高校生時代に骨髄異形成症候群と診断されており、亡くなったと聞かされており、話を聞きに行くことはできなかった。

豊は、哲平とまず会い、近所に住む徳田恒夫・邦枝夫婦の家で、兄とともによくおつかいを頼まれていたこと、徳田家で「大量のシシ肉を腐らせてしまった」という異臭騒ぎが起きたことなどを思い出す。また、競輪場に勤務する原口達夫が投資での失敗による損失を埋めるべく、着服していたこと、そしてその事実が発覚する頃には原口が失踪していたことが明らかになる。

次に豊は、京香と会う。彼女は、真美子が骨を埋める際に「骨を弔う詩」を口にしていたこと、そして京香はその詩を書き記しておいたことが明かす。その後に会った正一はある日、徳田家で邦枝が血相を変えて家から飛び出てきて、中を見た真美子が邦枝に言葉をかけていたこと、翌日の遠足を真美子が休んでいたことなどが明らかになる。

断片的な記憶が組み合わさり、パズルのピースがはめ込まれていくかのようにして、過去に起こった事実が浮かび上がる。そしてついに、起こった事件の中心人物である琴美の話を聞き、ついに豊は真実へとたどり着くのだった。

琴美の家は、崎山という親戚に借金をしており、利息を払うのも大変な思いをしていた。琴美は実家の家計を少しでも助けるべく、勤務していた競輪場で少額ずつ着服をしていた。

同時に、原口もまた着服をしていた。原口は、罪の意識を感じる琴美の口止めをすべく、彼女をレイプする。そしてその後も、彼女を弄び続けていたのだった。そんな中、琴美は崎山に原口の着服について相談してしまう。結果、崎山は原口を脅迫し始めるのだった。

だが、原口に詐欺まがいの投資話を持ち掛けていたのも崎山であった。そのこともあり、原口は崎山に強い殺意を抱き、杭で撲殺した後に川へと遺体を流した。だが、崎山は事故死として処理されたのだった。誰にも事の真相が分からないと琴美は思っていたのだが、真美子は気づいていた。

その後も、原口は琴美につきまとい続けていたのだという。こうした話を聞くにつれ、豊は徳田恒夫・邦枝夫婦が琴美のことを我が子のように可愛がっていたこと、邦枝が血相を変えて家から出てきたこと、徳田家から異臭騒ぎがしたことなどから、豊は徳田恒夫が琴美のために原口を殺害したのだと考える。

その後の遺体処理について主導していたのは真美子だった。真美子はまず、遺体を寒冷紗に包んで放置し、虫たちに腐肉を処理させ、骨にしようとしていた。その際、異臭はシシ肉を腐らせ、カモフラージュしたのだった。さらには、高校の化学教師である豊の父親に話を聞き、重炭酸ナトリウム(重曹)で煮た後、苛性ソーダで骨を白くした。寒冷紗、重曹、苛性ソーダは恒夫が哲平の兄に依頼して手にしていた。

そしてその人骨を「人体標本の骨」と偽り、真美子は豊たちと埋めにいったのだった。「人体標本の骨を盗んだ」と偽っているため、真美子は盗んだ骨を土手に埋め、それが増水により発見されたのだった。

その後、豊は哲平、京香、正一たちと骨を探しに行く。正一が位置を覚えており、その場所で土を掘ると原口の骨が露出する。豊たちはその骨を発見すると、再び埋め戻すのだった。

豊は、父親にその話をすると、父親は琴美が恒夫・邦枝夫婦の実の子供であることを明かす。民生委員であった父親は、恒夫からその話を聞いたのだという。恒夫・邦枝夫婦は子供を交通事故で亡くしていた。そこで血液型が夫婦と一致しないため、同日に生まれた子供と琴美は取り違えられたことが発覚する。その事実を知った恒夫たちは、琴美に実の子供であるというその事実を伝えず、彼女のそばに引っ越してきて暮らしていたのだった。父親は原口が殺害されていたという事実に気づきながら、あえて口を閉ざしていたことが明らかになる。

その後、豊は哲平、京香、正一たちと再び再会する。そこで、ミステリー小説好きな哲平の妻・朱里が、真美子の諳んじた「骨を弔う詩」を知っていると明かす。その詩は、宇佐美まことというミステリー作家の小説に登場するのだという。

豊たちは、宇佐美まことの正体が真美子なのではないか、と考える。さらには、宇佐美まこと(うさみまこと)は佐藤真美子(さとうまみこ)のアナグラムであると判明する。そこで、編集者である朱里のつてで宇佐美本人に電話をかけると、彼女は真美子本人であると認めるのだった。



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