あらすじ(結末まで・ネタバレあり)
ディック・ロング、ジーク・オルセン、アール・ホワイトは、大音量のロック音楽を奏でたり、花火を打ち上げたり、お互いにイタズラをしたりして遊んでいる。その晩、ディックが重傷を負い、ジークとアールによって救急病院の前に置き去りにされる。なぜ負傷したのかは不明である。
アールはとジークはそれぞれ、アリバイ工作を行い、ディックが負傷した際に一緒にいなかったかのように装う。ジークは、妻に娘のシンシアを学校へ送っていくよう頼まれる。シンシアは、父・ジークが他人の財布を持っていることに気付く。そして、ジークは車の後部座席がディックの血液で血まみれになっており、その場しのぎでシートで覆うのだった。
リヒター医師は、病院前で横たわるディックを発見し、地元警察に電話をかける。ディックは直腸からの酷い出血で死亡しており、性犯罪が関係しているのではないかと疑っていた。
ジークはガソリンスタンドに立ち寄り、そこでシンシアはダドリー巡査と話をする。そこで、シンシアは父親が届けるべき他人の財布(これはディックの財布である)を持っていることを明かしてしまう。また、シンシアの服には、ディックの血液が付着していてジークは必死で誤魔化す。
ジークはアールを呼び出し、話し合いを行う。その結果、2人は車を「盗まれた」ということにして、川に捨てて立ち去ることにする。
警察署では、スペンサー保安官がダドリー巡査に殺人事件の捜査に協力してもらう。そんな中、ジークの妻・リディアは、「車を盗まれた」と夫から聞かされ、通報してしまう。結果、ジークのもとにスペンサー保安官がダドリー巡査が話を聞きにやってくる。
だが、シンシアの話で、リディアは車が盗まれていないと勘づく。リディアはジークを問い詰め、結果、ジークはディックが死亡した経緯を打ち明けるのだった。
ディックは、馬のコメットと獣姦をしており、その結果として死亡したのだった。そのことを告げると、リディアは嫌気がさし、ジークに家から出て行くよう言うのだった。
検死結果からディックが獣姦の末に死亡したと判明する。ダドリー巡査は、ジークの家に向かう。一方、ジークはディックの浮気を疑うディックの妻・ジェーンに説明を求められて窮していた。結果、ジークはその場から逃げだす。
ジークは馬小屋へ行き、馬のコメットを自由にする。そして、ダドリー巡査に逮捕されるのだった。
翌朝、ダドリー巡査は車が捨てられた現場に向かい、そこでスペンサー保安官はジークを自由にしたと明かす。ダドリーは信じられないが、スペンサー保安官は「この告発は、シンシア、ジェーン、リディアの生活を台無しにするだけに終わってしまう」と言う。
ジークは、シンシアに会うため、ピアノの発表会終わりを待ち伏せする。だが、そこをリディアに見咎められ、もう目の前に現れないで欲しいという。
その夜、ジークはアールの待つモーテルを訪れる。これからどうすべきか悩むジークに、アールは肩をすくめ、何か思いつくだろうと言ってギターで”How You Remind Me”を弾き始めるのだった。
解説
本作のダニエル・シャイナート監督は、本作のテーマがドラマ『ブレイキング・バッド』と重なる部分が多いと語っている。
(『ブレイキング・バッド』の主人公)ウォルターは、大切な家族を守りたいがゆえに家族に言えない悪事を働いてしまうけど、守るどころか家族まで巻き込んでしまう。
「人に言えない秘密が周りにどんなの影響を与えるか」というテーマは同じなんだ。ジークもウォルターと同じように、家族のためにディックの死をひた隠しにする。だけど、やっぱり周囲を巻き込んで、事は悪い方向に進んでいくんだ。
まぁ、ディックの死を隠したい理由は、家族を守るためだけじゃないけどね
『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』監督インタビュー到着|傑作からの影響、オマージュ明かす | シネマズ PLUS
また、映画『ハングオーバー!』にも共通するテーマがあり、
この作品は、大好きな『ハングオーバー!』への僕なりのアンサーでもあるんだ。
共通点は、いつまでたっても精神的には子供のままの大人たちが羽目を外してやらかしてしまう。結託して秘密を守る。秘密を抱えた代償や心理的影響、それが大ごとに発展していく様、この作品ではよりリアルにドラマティックに描いたつもりだよ。
と語っている。