「まる子と会える町」前半部分(ネタバレなし)
楠本一郎(西田敏行)は、部長から「早期退職」か「解雇」の二択を突きつけられてしまう。35年勤め上げた会社であったが、不況で一郎はあっさりとリストラされてしまう。
妻・サトミはすでに他界しており、仏壇に一郎は「俺、会社をクビになっちゃったよ」と報告する。『ちびまる子ちゃん』を見ながら弁当を食べる一郎は、「家族か…」とつぶやく。
寂しくなった一郎は、娘・ヤスコに電話をする。リストラされたことを告げると、ヤスコは「一緒に暮らすなんて無理よ」と、聞いてもいないのに一方的に告げる。
ハローワークに出向くも、PCスキルもなく、高齢であるためなかなか就職先はない。電話に乗っていると、みんな携帯電話に夢中で「みんな自分のことばかり考えている時代だ…俺は取り残されてしまった」と考えていると、一郎は居眠りしていた。
気づくとそこは終点で、車両には誰も乗っていなかった。一郎は「しみず駅」で降りると、まるでタイムスリップしたような感覚を覚える。
妻にも先立たれ、職も失ってしまった一郎。そんな彼が行き着いたのは、不思議な「しみず」という町でした。
「まる子と会える町」後半部分(ネタバレあり、結末まで)
夕方になり、一人で町を歩いていると、まる子に呼び止められる。一郎はハローワークで渡された資料をベンチに置き忘れてしまっていたのだった。まる子から資料を渡され、一郎はクビになって落ち込んでいることを明かす。
腹が鳴り、まる子は「ウチにご飯を食べにおいでよ」と誘う。一郎がまる子の家に行くと、その様子がアニメになっており、孫娘のユイが見ていた。一方、ヤスコは一郎のことを案じて電話をかけるが、一郎は出なかった。
一郎は、まる子の一家とともに暮らしたいと思うのだが、まる子は「おじさんには帰る場所があるんだよ。ちゃんと待ってる人がいるから」と言う。
まる子に見送られて帰る一郎…だが、気づくと居眠りをしていた電車の席に戻っていた。家に帰ろうとすると、心配したヤスコ夫婦がユイを連れてやってきていた。そこで、娘婿に「一緒に暮らしませんか?」と提案される。
家族団らんで食事をしていると、『ちびまる子ちゃん』が始まる。ユイがジュースをこぼしてしまい、ヤスコたちが席を立つと、まる子は一郎に「おじさん、会いたくなったら私はいつでもここにいるよ」と語りかけるのだった。
寂しい老後を送ると思いきや、家族と暮らせるようになった一郎。『ちびまる子ちゃん』とのアニメコラボ作品ですが、西田敏行さんの好演で良作となっています。
「まる子と会える町」制作情報
・脚本:正岡謙一郎
・演出:小林義則