「マニュアル警察」前半部分(ネタバレなし)
只野一郎(玉置浩二)は妻・かおるを殺した後、世田谷北警察署に出向く。受付で、「自首しに来ました…殺すつもりはなかったんです」と伝えると婦警がマニュアルを調べ、一郎は「その事件は、本署で取り扱っている事件でしょうか?」と質問されてしまう。
「取り扱っているも何も、つい殺したばかりです」と伝えると、「それなら6番窓口で、まずは事件の通報をしてください」と言われてしまう。「自首をしに来たのですが…」と再度言うのだが、「規則ですので」と取り合ってくれない。
6番窓口でも、「僕が女房を殺しました」と伝えるが、「誰が殺したかは聞いていません。誰が殺されたのですか?第一発見者は誰ですか?」と言われてしまう。
一郎は逮捕されず、そのことに違和感を感じながらも署内で待っていた。警察のマニュアル化された応対を見ていると、一郎は「これ、どこかでよく見たなにかに似ている…」と思う。
「刑事の勘・経験」に頼った捜査は終わりを告げ、マニュアル化された警察。そんな警察署に自首しに来た一郎は、形式的過ぎる彼らの対応に戸惑いを隠せません。
「マニュアル警察」後半部分(ネタバレあり、結末まで)
捜査課の刑事が現れ、とうとう逮捕されると思いきや、「奥様がお亡くなりになられました。これからご自宅にご同行願います」と言われてしまう。改めて一郎は「女房を殺したのは僕です。それで自首しに来ました」と伝えるが、刑事はマニュアル外の事態に明らかに動揺した様子だった。
刑事たちは一郎を「遺族」として扱い、とりあえず自宅へと連れていく。車内の中でも、「奥様は誰かに恨まれるようなことはありませんでしたか?」「奥様は最近、何か様子がおかしなことはありませんでしたか?」など、形式的な質問を続けていく。
一郎は、「最近、妻はヒステリー気味でした。実は私、最近、カナリアを飼っていたんです。大切に育てていたんですが…」と語りだす。妻・かおるはワンピースにフンをされたということで、そのカナリアを殺してしまったのだった。それでカッとなった一郎は、かおるを殺害してしまったのだった。
自供したにも関わらず、刑事はそのことを取り合ってくれない。事件現場でも、逮捕されずに刑事部長から「事件の通報が済んだら、すぐに自首受付室に行ってくれなきゃ」と手続きがまずかったのだと指摘されてしまう。
一郎は現場で「遺族」としての役割を終え、再び警察署に戻って出頭をしようとする。その途中、一郎はハンバーガーショップに立ち寄る。そこで「ハンバーガーだけでいい」と言うのに、セットメニューを勧めてくる店員のマニュアル然とした対応に腹を立てた一郎は、店員を殴りつけてしまう。そしてさらに「ハンバーガーだけでいい」と言うのだった。
自首したい一郎と、あくまでも「容疑者としてではなく遺族」として扱おうとする刑事たち。そんなマニュアル頼みの彼らへの不満を、ハンバーガーショップで一郎は爆発させてしまいます。
「マニュアル警察」制作情報
・原作:東野圭吾(『毒笑小説』収録)
・脚本:秦建日子
・演出:村上正典