「ふっかつのじゅもん」前半部分(ネタバレなし)
中岡賢一(桐谷健太)は、息子の祐樹(笹木祐良)と実家の片付けを行っていた。妻の美紀(野波麻帆)とは不仲であり、実家には来ていなかった。
祐樹は、ファミコンと『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』を見つけ、一緒にあった「ふっかつのじゅもん」を入力してみる。すると、その場に同年代の子供「良介(石田星空)」が現れ、一緒にドラクエIIを始める。見かけた賢一は良介に「ケンジ」とあだ名で呼ばれて違和感を覚えるが、祐樹の友達だと思って片付けを続ける。
良介が「用事があるから」と帰った後、賢一とは祐樹は買い物にでかける。その途中、川で人だかりができており、「子供が流されているのを見た」という人がいるため、捜索が行われているのだった。
賢一はそのことが心に残り、小学校の卒業アルバムなどを調べ、良介が「小学5年の時に川で流されて死亡した親友」であることが分かるのだった。
賢一は、祐樹に「ふっかつのじゅもんを入れたら良介が現れた」と聞いて、試してみる。すると、昨日のように良介がそこには現われるのだった。賢一は、一緒にドラクエIIをプレイし、「ゲームをクリアしたら、なぜ良介が現れたか分かるかもしれない」と思う。
ドラクエIIで全滅させられたところ、良介は「帰る」と言い出す。なぜか焦っているような良介を、「川で溺死させまい」とする賢一は必死で止める。だが、良介は「今日行かないとダメなんだ!」と言って、川へ向かってしまう。
賢一が良介を止めようとすると、祐樹は「手から消えていく」ような感覚があった。だが、賢一は良介を川に行かせまいと必死で聞いていなかった。
良介は、川を飛び石に乗って渡り、小さな鳥居におまじないをしようとしていた。そのおまじないのことを教えたのは、賢一だった。だが、飛び石を渡りきって鳥居のところまで行くのは賢一にはできず、それは運動も勉強もできて人気者の良介に対する、見栄や羨望混じりの嘘だった。その嘘がきっかけで良介が死んでしまったことを賢一は悔やんでいた。
良介は、引っ越ししてしまう美紀(現在の賢一の妻)に告白をしようとしていた。それに間に合うために、良介は焦って川へ向かおうとしていたのだった。良介を止めようとすると、祐樹が消えようとしていた。それに気をとられて、良介を止められずに川へ落ちてしまう。
「ふっかつのじゅもん」の後半部分(ネタバレあり、結末まで)
家に戻ると、美紀が実家に来ていた。賢一は、美紀に良介のことを聞く。美紀は、「あの子に会って話がしたいって言われて…でも、その後、川に落ちて溺れたんだってね」と思い出す。
賢一は、「良介を救おうとすると、祐樹が消えてしまう。このまま忘れてしまった方がいいかもしれない…」と思いつつも、ファミコンを起動してもう一度、良介を救おうとする。
ついにシドーを倒し、賢一は「これで心置きなく美紀に告白できるな。だから今日はまっすぐ家に帰るんだ」というのだが、良介は「自信がない…」と言って、川へ向かってしまう。
溺れる良介を賢一は助ける。そして、「おまじないは嘘だったんだ」と告白する。賢一は、「勉強も運動もなんでもできる良介が羨ましくて…それで嘘をついてしまって、ごめんなさい」と良介に謝る。良介は、賢一を笑って許す。
賢一は家に戻り、祐樹がいるのを確認すると安堵し、泣きながら抱きしめる。その様子を見た美紀は、そんな賢一を見て微笑む。
その晩、賢一は美紀と良介のことを話す。賢一が良介を助けたことによって、川に落ちて死亡したという過去が変わっていたことを知り、安心する。片付けを続けていると、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が出てきた。このソフトでの会話が盛り上がり、賢一と美紀は意気投合して交際することになったのだった。
一緒にプレイすることになったが、『ドラクエIII』を起動すると「おきのどくですが ぼうけんのしょ1は きえてしまいました」と表示され、賢一と美紀は顔を見合わせ、「どなたですか?」と互いに言う。二人の記憶も消えてしまったようだった。
「ふっかつのじゅもん」制作情報
・脚本:畠山隼一
・演出:石川淳一
・編成企画:渡辺恒也、狩野雄太
・プロデュース:中村亮太、関本純一
世にも奇妙な物語 ’21秋の特別編
今回の『世にも奇妙な物語』は、原作のある話がなく脚本家によるオリジナル作品のみとなっています。
よく言えばレギュラー回のような「オールド世にも奇妙な物語」の雰囲気がありました。原点回帰、といった感じでしょうか。一方で、「そのラストってどうなの?」「スペシャルの時ぐらい、最後は感動話でシメるのがいいのになぁ」と思ってしまいました。