「スキップ」前半部分(ネタバレなし)
大学生の大倉幹夫(赤楚衛二)は、子供の頃に家にある封印された扉に手をかけて、祖母に「その扉に入ったら、二度と出られなくなるよ」と叱られる。
その扉のことをすっかり忘れ、幹夫は大学生になり、サッカー部で厳しい練習に打ち込んでいた。ある朝、大学に向かう途中、自分のことを見つめている男性がいた。その男性に軽く会釈をして通り過ぎると、男性は絶望した表情を浮かべた。
幹夫は帰宅途中、朝に会ったその男性が救急車に乗せられて運ばれているのを見かける。その男性は飛び降り自殺を図ったのだという。
男性が持っていた古めかしい鍵が落ちる。その鍵は、幹夫の家にある「開かずの扉」だった。つい幹夫は祖母の言いつけを破り、その鍵で扉を開けてしまう。扉の中に入ると、中にも部屋があり、そこに入ると家にいたはずが、大学の講義室にいた。
幹夫は、3日後の未来にスキップしていた。苦しいサッカー部の合宿に参加しなくて済んだことに味をしめ、それから1週間後の試験が終わった後にスキップする。そんな幹夫は、読者モデルをしている大学のマドンナ藤野彩花(堀未央奈)に声をかけられる。そして、告白した覚えもないのに「あの告白の返事をするね…お願いします。彼女にしてください」と言われるのだった。
有頂天になった幹夫は、さらにスキップを行うのだが、そこで異変が次々に起こる。サッカー部の練習中、厳しい先輩を激しく殴り続けていたり、彩花と強引に寝たり、チンピラからカツアゲまで行っていた。
「スキップ」後半部分(ネタバレあり、結末まで)
「スキップ」している間の写真を見て、自分が今まで「兄」だと思っていた人物が自分になりかわり、様々なことを行っていたと判明する。奇妙なことに、そのことを周囲の人間たちはまるっきり気づいていなかった。
また、家に戻って兄弟で映った写真を見ると、「兄」だと思っていた人物は別人で、本当の兄は飛び降り自殺を図って入院中の男性であることが判明する。今まで「兄」だと思っていた人物は、自分がスキップを行った時に成り代わっていた人物と同じだった。
入院している実の兄が目を覚まし、兄も「スキップ」を使っていたことが明らかになる。高校で上手くいかず、一度に10年「スキップ」をしたところ、弟の幹夫も自分を兄だと分からず、「人生を乗っ取られていた、人生を盗まれた」ことに絶望して飛び降り自殺を図ったのだった。
幹夫は、兄に「扉を開けるな。おそらく、親父もあの扉を使って…」と忠告される。そのまま兄は息を引き取ってしまう。幹夫は、自宅に戻り、扉を封印しようとする。だがその時、扉の中に引き込まれ、再びスキップせざるをえなくなる。
スキップした先では、彩花と結婚しており、娘がいた。娘は開かずの扉の鍵を持っていた。10年後にスキップしてしまったと気付き、驚いた幹夫は鏡を見る。その鏡には父、兄、そして自分の人生を乗っ取った人物が映っており、幹夫は叫び声を上げる。
「スキップ」制作情報
・脚本:井上テテ
・演出:松木 創
・編成企画:渡辺恒也、狩野雄太
・プロデュース:中村亮太、関本純一
世にも奇妙な物語 ’21秋の特別編
今回の『世にも奇妙な物語』は、原作のある話がなく脚本家によるオリジナル作品のみとなっています。
よく言えばレギュラー回のような「オールド世にも奇妙な物語」の雰囲気がありました。原点回帰、といった感じでしょうか。一方で、「そのラストってどうなの?」「スペシャルの時ぐらい、最後は感動話でシメるのがいいのになぁ」と思ってしまいました。