逸見栄子(黒木メイサ)は、恋人から昇進祝いで時計をプレゼントされる。使っていた時計を落として、割ってしまったため、絶妙なタイミングでのプレゼントに驚く。
「サイズを直すために、時計屋に行った方がいいよ」と言われ、栄子は時計店を訪れる。そこで偶然、高校時代の友人・川島朱美(藤井美菜)に出会う。栄子と朱美は、成人式以来初めて会った。しかも、時計を直しにきた理由、恋人の名字「篠塚」、彼氏とつきあい始めた日まで同じであることが明らかになり、驚く。
そんな二人は、バーに行ってマスターに話をする。マスターは「シンクロニシティという現象かもしれません」と言う。そこでマスターは、イギリスで年代は異なるものの、女性が殺害され、同一日に容疑者の名前が同じという事件が起きたことを明かす。
そこで、その日が8月7日であり、過去にあった辛いできごとを思い出す。2人は、高校時代にテニス部に入っていた。合宿に行った先で、イジメを受けていたエリナという生徒が自殺したのだった。その日がちょうど、8月7日だったのだ。
「単なる偶然とは思えない…エリナの呪いかしら」と言う。バーで突然電気が消え、栄子は驚く。だが、それは誕生日を祝うための演出だった。
その帰り道、高校時代の教師に偶然出会う。タクシーに先に乗り込もうとした教師は、栄子たちに声をかける。その教師は、2人のクラスの担任であり、エリナが自殺した日にも2人に事情を聞いていた。
教師は、一緒に乗って行かないか、と言う。タクシーの中で、教師は「偶然だな…俺は、ずっとお前たちに聞きたかったことがあったんだ。俺は、どうしてもエリナの自殺の原因を知りたかった。それで、ずっと調べてたんだ。卒業生の1人が打ち明けてくれたよ。お前らテニス部の連中がイジメていたんだろ?あの日も、お前たちが落とし穴に入れようとした」と言う。
栄子たちは、「違うんです。私たちも落とし穴を作らなければ、先輩たちにイジメの標的にされるから…」と言い訳しようとするが、教師は「お前たちがイジメに加担したことは変わりない。俺は、エリナと付き合っていたんだ。彼女が卒業したら結婚することも、両親たちに話をして、約束していたんだ…お前たちを俺はずっと探していたんだ」と言い、ナイフを取り出す。それは、エリナが手首を切って自殺するために使ったナイフだった。
朱美は、運転手にすぐクルマを停めるように言う。停車し、栄子たちは逃げ出そうとするが、「違うんだ。俺は、お前たちを殺す気はない」と言う。エリナの両親は、「エリナの自殺に、イジメは関係ないんです。エリナは、先生の子を宿していたんです。産みたいけど、どうしたらいいか分からないと悩んで、それで自殺を…」と明かしたのだという。
教師は、2人を長年苦しめていた良心の呵責を解いてやろうとしていただけだった。「俺は、自分の罪を一日たりとも忘れずに生きていこうと思う」と言う。
栄子と朱美は、タクシーに再び乗る。タクシーの運転手は、「シンクロニシティには、幸運をもたらす偶然もあるんですね」と言う。そして、自分の娘が幼くして亡くなってしまったことを明かす。
そして、「私の妻も、娘の命日と重なったんです。それに、奇妙な偶然がちょうど今日、重なりました。私の娘は、森の中で倒れ、意識を失ってしまった。雨に打たれ、肺炎を起こして亡くなってしまった」と言う。
「どうして、娘が森の中で倒れてしまったと思います?…落とし穴ですよ」と言い、栄子たちの掘った落とし穴に足をとられ、その中で意識を失って倒れていたことを明かす。
運転手は、「私は、妻と娘の命日と同じ日に、死ぬつもりだったんです。その日に、あなたたちに会うことができた…いやぁ、これぞ幸運のシンクロニシティ。これで、思い残すことなく家族のもとに行けます」と言い、対向車に向かってスピードを上げて行くのだった。