椎名毅(成宮寛貴)は、TOHTO OCEAN BANKの融資課の課長だった。部下からは頼られていたが、内心「使えない連中ばかりだ」と思っていた。そして、彼らのことに「脳筋プロテイン」「媚び売り女」「使えないコネ入社男」などとレッテルを貼っていた。
タクシーに乗った毅は、「運賃がいつもより高いんですけど」と言いつつ降りる。「小銭稼ぎドライバー」などと運転手に対して思う。帰宅すると、「難癖つけるクレーマー」という”レッテル”が自分に貼られていることに気づく。
だが、部下に尋ねてもそんなレッテルは見えないと言われる。その後、会議で取引先の融資を打ち切ることを決定すると、一気に部下たちからの「冷血クソ人間」「偉そうなクズリーマン」「意識高い系バカ」などというレッテルが自らの体に貼り付けられていることに気づく。
毅は、飲みの席で「酷いレッテルを貼りやがって」と部下たちに怒鳴ると、レッテルは変わった。さらに、奢ると「太っ腹な先輩」などとレッテルが変わることに気づく。毅は、良いレッテルを貼ってもらうため、部下たちの面倒を見るようになり、差し入れなどを行うようになる。
そんな中、融資をしつこく頼む半田運送の半田辰夫(渡辺哲)社長に「できないものはできない!」と突っぱねる。すると、再びレッテルは悪いものに変わってしまう。仕方なく毅は、「融資します。でも、このままでは業績悪化が目に見えているので、計画を一緒に見直しましょう」と言う。
半田運送は無事に融資が行われることになる。そんな中、部下の担当していた会社の粉飾が発覚する。上司たちは、上辺だけは「守る」と言うのだが、貼ったレッテルでは毅を切り捨てようとしているのが見え見えだった。自分に貼られたレッテルも、「左遷決定」などになった。
毅は、部下を守ろうとする。部下は涙しながら感謝するが、レッテルには「騙されやすい単純バカ」と書かれていた。そこから、毅は人間が信じられなくなっていく。転職を試みるが、面接試験で人事担当者から貼られたレッテルに反応してしまい、上手くいかない。
バイトで食いつなぎながらも、レッテルで苦しめられ続けていた。そんな中、半田運送の半田辰夫社長から貼られた感謝のレッテルを毅は見つける。毅は、半田運送に出向く。そこで、辰夫の娘・愛奈(三倉茉奈)に呼び止められ、「お茶でも飲んでいってください」と言われる。
辰夫社長は、すでに亡くなっていた。必死になって会社を守ろうとしていた時には、すでに病気であったという。愛奈は、「父は感謝していました。椎名さんが会社を救ってくれた、と」と言う。だが、毅は「僕は、部下たちのレッテルが良くなることしか考えていなかった…本当にすみませんでした。僕は、酷いレッテルを貼られても仕方ない、当然の人間です。本当にすみませんでした」と謝る。
愛奈は、「そんなことありません…父さん、言ったんですよ。『この会社が潰れたら、死んでも死にきれない。椎名さんがいてくれたから助かった。椎名さんは、父さんの恩人だ』って」と感謝する。
毅は泣きながらその言葉を聞く。すると、貼られていた多くのレッテルは次々に剥がれるのだった。この日を境に、レッテルは見えなくなったという。
毅は、半田運送で働く。愛奈と結婚し、娘をもうけた。「失った多くのものもあったが、今の生活を大切にし、レッテルを気にすることもなくなった」と考える。だが、娘の望みを断り、「ケチ」というレッテルを気にした毅は、「なんでも買ってあげるよ」と言うのだった。「ケチ」というレッテルは、「パパ大好き」に変わった。