「過去からの日記」前半部分(ネタバレなし)
小説家の山岡貴志(西島秀俊)は、デビュー作『あこがれ』から3年、新作を書くことができずにいた。そのため、肉体労働で汗を流す日々を過ごしていた。
そんな中、自分の本が他の本と一緒に古本屋でまとめ売りされているのを見かけ、買って帰るのだった。その本の束の中には、1冊の日記が入っており、「8月31日、今日も何もいいことがなかった」と書かれていた。
そこで山岡は、「俺も同じ」と書く。すると次に「俺って誰ですか? 勝手に人の日記にいたずらしないでください」と書き足されるのだった。そこから山岡は、日記帳の持ち主である17歳の北嶋ゆりえ(蒼井優)との奇妙な「交換日記」が始まるのだった。
山岡は2004年に小説家として「書くべきものが見つからず」に苦しむ日々を過ごし、ゆりえは2001年時点で重い病で入院して辛く苦しい日々を過ごしており、1年と命がもたないかもしれないと言われていた。
「過去からの日記」後半部分(ネタバレあり、結末まで)
山岡は、ゆりえが入院しているという病院を訪れる。そこにある白いベンチが目にとまり、そこで日時を指定して「3年後の3時、このベンチで君を待っている」と日記に記す。
山岡は友人の口利きで入社させてもらえるという面接を蹴り、病院へと向かう。だが、そこにゆりえの姿はなかった。彼女はもうすでにこの世にはいなかったのだった。
だが、山岡は「20歳になった君を見たよ。凄く元気そうだ」と嘘を書く。書いている最中に涙が溢れてしまい、文字が滲んでいることからゆりえはすぐに嘘だと分かるのだが、喜んでいる振りをする。
山岡はゆりえとのやりとりから、ついに「書くべきもの」を見つけ、ゆりえとの交換日記を元に『過去からの日記』というタイトルで新作小説を書き上げることができたのだった。
山岡はそれからも病院の白いベンチに座り、ゆりえのことを思う日々を過ごしていた。そんなある日、日記帳を持つ女性が近づいてくる。彼女はゆりえであり、「信じてたよ、ずっと」と言って微笑む。
「過去からの日記」制作情報
・原案:高橋徹郎
・脚本:大野敏哉
・演出:土方政人