社会に必要な「建前」がない、つまりは”嘘がない世界”に、宇佐美正太郎(満島真之介)は暮らしていた。正太郎はリストラ候補に入れられており、彼女にも振られてしまう。
そんな帰り道、正太郎は財布を拾う。それを警官に見咎められ、「窃盗だよ」と言われて連行されそうになってしまう。「これで問題を起こしたら、リストラされてしまう」と、正太郎は警官の手を振りほどき、「公務執行妨害だ!」と、拳銃を向けられてしまう。
そこで正太郎は、「これは僕の財布です」と、ウソをつく。このことをきっかけに、正太郎は「本当じゃないこと=ウソを言えるんだ」と気づく。さらに、父親にも「大きい契約がとれたから、クビにならないよ」と言ってウソをつく。
正太郎は、友人たちにも「事実でもないことを言える」と教える。正太郎は、このことを利用し始める。高級レストランで食事をし、代金を支払わず、「もう払いましたけど」などと言ったり、ナンパでウソをついて口説く。
事実でないことを言う=ウソ(自分たちのイニシャルをとって命名)と名付け、ウソで大儲けしようと正太郎たちは考える。何の効果もない水を「飲むと幸せになる」と言って売り出す。
正太郎たちは大儲けするが、「なんで効果が現れないんだ!」と詰め寄られるが、正太郎は「効果が出るまで5年かかるんです」と言って言い逃れる。だが、少女に「どうして早く言ってくれなかったんですか?病気のお母さんは、この水を飲んでいたのに死んじゃったんです」と言われて泣かれてしまう。
正太郎は、「ウソで誰かが傷付くとは思わなかった…」と言い、少女を傷付けたことを後悔する。「俺はもう、ウソをつかない」と言い、警察に自首することを提案する。
「その前に、行きたいところがある」と、正太郎は少女の自宅を訪れる。自分も母親を病気で亡くしており、病気の母親を持つ少女の気持ちを思い、騙したことを後悔する。
暗い表情の少女に、正太郎は「君のお母さんと話をしたことがあるんだ。『サチエのことが大切なの。世界で一番大切なの。だから、遠くに行っても、いつでも見守ってるって、そう伝えて欲しい』と言っていた」と、再びウソをつく。
正太郎は警察で全てを自供し、ウソはあっという間に広まっていった。人々は建前を使いこなし、争いは減ったという。正太郎は服役し、数年後、出所した正太郎を友人たちは出迎えた。
正太郎は友人に、「俺らは関係ないって、警察に言ったんだろ?『ウソはもうつかない』って言ったのに。もうウソはつくなよ。約束だ」と言われる。約束する正太郎だったが、「人を幸せにする、人を傷付けないウソもあるんじゃないか」と1人思うのだった。
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