簡単なあらすじ
1) 東江絹(高月彩良)は、ベストセラー小説『ガールの法則』の漫画化を担当するが、原稿を安井昇(安田顕)に「全部、ボツ」と言われてしまう。映画化で主人公を担当するアイドルがツインテールであるため、髪型を全て変えろ、と安井は指示する。
2) 東江は、必死になって原稿の修正作業を行う。だが、髪型を変えると衣装が合わず、構図も考え直さなければならなかった。東江が「これでいいのだろうか…」という迷いや、締切りに追い詰められる中、安井は東江のことを気遣う様子もない。
3) 安井の態度に腹を立てた黒沢心(黒木華)は、抗議を行う。だが、そんな安井にも心のように熱い編集者だった時代があったと五百旗頭敬(オダギリジョー)は話す。『バイブス』の前身、『FLOW』が廃刊となり、安井は数字至上主義で、売れる作品を出すことだけに集中するようになったのだった。
4) 東江は、安井と次作について打ち合わせをするが、彼女はその提案を断る。東江は、心に「また作品を見てください」と頼み、心は快諾する。
起:ツブシの安井
東江絹(高月彩良)は、ベストセラー小説『ガールの法則』の漫画化を担当するが、原稿を安井昇(安田顕)に「全部、ボツ」と言われてしまう。
『ガールの法則』は映画化も予定されており、主人公を演じるアイドルがツインテールであったため、「主人公の髪型、黒髪のツインテールに変えてください」と事務所から言われたためだった。東江は、主人公の髪型を全て変えざるを得なかった。
心は、書店と営業部の忘年会に参加する。他社の出版社では、安井は、新人漫画家などを使い捨てにするかのように利用し、「ツブシの安井」などという異名で呼ばれていた。そんな安井に、東江を奪われた黒沢心(黒木華)は憤る。だが、担当ではないため、何もすることができなかった。
元旦、心は東江から電話を受ける。東江は、「セリフを変えようと思うんですが、入稿の時に変えられますか?」と質問する。安井は、「平日18時半以降と休日は対応しない」と宣言しており、東江は誰にも相談できないまま、1人で奮闘していたのだった。
そんな東江を気遣い、心は東江の家を訪れる。心の姿を見て、東江はホッとして泣き出してしまう。「髪型だけを変えようと思っても、髪型を変えると衣装や構図のバランスがとれなくて…」と、原稿に納得がいかないという。だが、心は「今は、ベストを尽くしましょう。漫画家になるという夢を叶えましょう」と言う。
承:追い詰められた東江
年明け、東江を放って海外旅行に出ていた安井を責める。だが、原稿は完成しており、安井は「何か問題ある?」と言う。
だが、そんな安井にも、私生活を犠牲にしてまで漫画家に尽くし、担当している雑誌に漫画を描いてもらうという時代があった。加藤了という漫画家の仕事場に土日も訪れ、顔を売って信頼を得た。結果、加藤は安井の雑誌で描くと決めるのだった。
東江、中田伯(永山絢斗)の作品はともに『バイブス』に掲載される。中田の作品は、あまりに個性的な絵でネットで話題となる。中田は「他の人の漫画と見比べたら、自分の絵が下手でショックでした…」と言い、心は絵の勉強のために模写を行うようにアドバイスする。中田は、「三蔵山(小日向文世)先生のアシスタントを毎日やらせてもらいたい」と申し出る。
東江は、安井と打ち合わせを行う。安井はネームにあまりダメ出しもせず、OKを出す。「これで良かったんでしょうか…」と悩む東江に、安井は「あなた個人の感情なんかどうでも良い。世間の評判も上々。それで十分でしょ」と言う。東江は、食事もろくに摂れず、ストレスで吐き気を感じるようになってしまっていた。そんな中でも、東江は原稿締切りを守り続けていた。
中田は、三蔵山の仕事場に行き、女性の担当について訊かれ、「黒沢さんは女神です。僕を見つけてくれた」と言う。三蔵山は、「漫画家は編集者の道具となってはいけない」と言う。そして、心に「あなたは何のために働いていますか?」と訊く。その言葉で、心は「安井さんは何のために仕事をしているんだろう?」と思う。
転:安井の過去
和田靖樹(松重豊)は、雑誌の部数を伸ばすため、編集者たちに実名でツイッターを始めるように言う。さらに、漫画離れした世代を呼び戻すため、昔の漫画の電子化を考えていた。そこには、昔の漫画雑誌『FLOW』が廃刊となった苦い思い出があったからだった。
心は、コミックの表紙に東江の絵が使われていないことを安井に抗議する。だが、「アイドルの写真を使った表紙の方が売れる」と安井は反論する。話の最中、安井は定時に帰ってしまう。
卒倒しそうになる心に、五百旗頭敬(オダギリジョー)は「前はそんなことなかったんだけどな…」と言う。雑誌『FLOW』が廃刊となりそうになった時、安井たち編集者は廃刊を阻止すべく、採算がとれるように必死に努力した。
その最中、漫画家・加藤が、廃刊のことを他誌の編集者から聞かされてしまう。「なぜ黙っていたんだ!」と加藤は激怒し、安井に対して「もうアンタのことは信用できない。編集者から外れてもらう…アンタは会社に守られ、何のリスクもとらない。でも、俺はアシスタントを路頭に迷わせるわけにはいかないんだ!」と言う。
そんな最中、安井は妻から「別れましょう。仕事ばかりして…あなたの人生には、仕事しかない」と言われ、離婚届を突きつけられてしまう。
廃刊が決定し、その決定を下した役員が軽口を叩く。そんな役員に、安井は食ってかかる。和田たちが必死になって安井を止めた。その一件があった後、安井は『バイブス』の編集者となる。そこで安井は、数字至上主義となったのだった。
結:東江の決意
安井は離婚を回避していた。妻には「私が言うのはなんだけど、もっと仕事をしてもいいのよ」と言われる。だが、安井は「…してるよ。やり方を変えて」と言う。
安井は東江に、次のベストセラー小説を提示し、漫画化をやろうと提案する。だが、東江は「私、漫画を嫌いになりたくないんです。これからも漫画を好きでいたい。だから、安井さんとの仕事はもうお断りします」と言う。
東江は心に会い、「また自分の漫画を描きます。そしたら、私の作品をまた見てもらえますか?…私、黒沢さんの手を離したことを後悔してて」と言う。そんな東江に、心は「離した手は、また繋げば良いんです」と、笑顔で東江の手をとる。
他の編集者たちは安井を忌み嫌う中、和田編集長は、安井に「お前が確実に稼いでくれるおかげで、他の作品で冒険できる」と感謝するのだった。
価格:596円 |