簡単なあらすじ
1) 超一流の美術鑑定士であるヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、仕事で成功を収めていた。だがその一方で、女性との関係を持つことはなく、隠し部屋に女性の肖像画を壁一面に飾り、愛する者のいない寂しさを紛らわせていた。
2) そんな中、クレア・イベットソン(シルヴィア・フークス)という女性から、美術品の鑑定を電話で依頼される。姿を現そうとしないクレアに、ヴァージルは苛立つが、次第にミステリアスなクレアに興味を持つようになる。
3) 美しいクレアの姿を見たヴァージルは、彼女に恋心を抱くようになる。クレアは、暴漢に襲われたヴァージルを助けるために外に出て、ついに外出ができるようになる。ヴァージルは、クレアとの恋愛に夢中になり、自宅へも招待する。さらには、隠し部屋の中へと招待する。
4) ヴァージルは、最後の仕事のため、ロンドンへと向かう。帰宅したヴァージルは、隠し部屋のコレクションが根こそぎなくなっていることに気づく。そして、クレアや親しい人々にも騙されていたことを知り、裏切られたショックでヴァージルは寂しいで晩年を過ごしていた。
起:クレアとの出会い
超一流の美術鑑定士であるヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、仕事で成功を収めていた。だがその一方で、女性との関係を持つことはなく、隠し部屋に女性の肖像画を壁一面に飾り、愛する者のいない寂しさを紛らわせていた。
その絵を手に入れるため、ヴァージルは自身がオークションを行う会場に友人の画家であるビリー・ホイッスラー(ドナルド・サザーランド)を参加させ、落札させていたのだった。ビリーとは親交はあったが、「絵の才能はない」とヴァージルは本人にも言っていた。
そんな中、クレア・イベットソン(シルヴィア・フークス)という女性から鑑定の依頼を受ける。彼女は、両親が亡くなったことに伴い、両親の収集していた美術品やアンティーク家具を競売にかけて欲しい、と願っていたのだった。
ヴァージルは約束の日時に、指定場所へと出向くが、待ちぼうけを食らってしまい、激怒する。だが、クレアは「交通事故に遭って、行くことができなかった」と言い訳する。仕方なくヴァージルはクレアの邸宅へと出向くが、彼女は姿を現そうとしない。
電話で詫びるクレアだったが、その通話の音の中に、邸宅での作業音が聞こえたため、クレアは邸宅にいるのではないかと考え、出てくるように言う。ところが、クレアは頑として姿を現さず、ヴァージルは激怒して帰る。
クレアは仕方なく、「姿を見せることができない」と、自身の事情について話す。クレアは、パニック発作を患っており、広場恐怖により人前に姿を現すことができないと判明する。彼女は、ペンネームにより作家をしているのだという。
承:クレアとの恋
ヴァージルは、クレアの謎めいた様子に興味を持つ。「母親の肖像画」を見て、その美しさからヴァージルは、クレアの姿をどうしても見たいと思うようになる。ヴァージルは帰ったと見せかけて、クレアの姿を見る。彼女は美しく、ヴァージルは心を奪われる。
一方、ヴァージルは、クレアの邸宅にある地下室で歯車を拾う。年代物の値打ちのある品であると考えたヴァージルは、機械職人のロバート(ジム・スタージェス)に組み立てを依頼する。
また、多くの女性と交際するロバートに、ヴァージルは恋の相談も行う。「女性はサプライズによって驚かし続けるんだ」「初めての誕生日プレゼントは、オーソドックスなものを贈る」といったことをアドバイスされ、ヴァージルは次第にクレアとの仲を深めていく。
ヴァージルは、再びクレアの姿を見ようと、帰ったふりをして身を潜める。だが、携帯電話を落としてしまい、クレアは誰かがいるかとパニックになる。クレアが閉じこもったところで、ヴァージルは外に出るが、クレアからの助けを求める携帯電話を受け、再び戻る。
だが、そこでヴァージルは「自分が覗いていた」と白状する。そのことをきっかけに、クレアはヴァージルの前に姿を見せるようになった。2人で食事をし、クレアは引きこもっていた自室へと招待する。
ところが、「私よりも、美術品を愛している」とクレアはヴァージルに告げ、姿を消してしまう。心配するヴァージルは、仕事でもミスを犯すなど、クレアに振り回されてしまう。そんな中、ロバートの推理通り、隠し部屋を見つけたヴァージルは、身を潜めていたクレアを見つけ、抱きしめる。
クレアは、「事故に遭った後、意識を取り戻すと、元恋人に見捨てられていた。人を信用できなくなり、それから人に会うのが怖くなった」のだと明かす。
ヴァージルは、クレアと関係を持つようになる。クレアに夢中になったヴァージルは、ロバートに「クレアを外に出してやりたい」と考えているのだと明かす。だが、ロバートは「何かきっかけがあれば、出てくる。焦らず待っていた方がいい」とアドバイスする。
転:ヴァージルの決意
ヴァージルはクレアの邸宅を訪れようとして、3人の暴漢に襲われる。放置されたヴァージルは、クレアに助けを求め、クレアはついに家を出てヴァージルを助ける。救急搬送されるヴァージルは、助けてくれたクレアを見て、微笑んでいた。
退院したヴァージルは、クレアを自宅へと招待する。そして、ヴァージルは自身のコレクションを集めた女性の肖像画が飾られた隠し部屋へも案内する。そこでクレアは、「どんなことがあっても、ずっと一緒よ」とヴァージルを抱きしめる。
ヴァージルは、クレアの邸宅にあったコレクションの目録が完成したと報告する。そして、彼女に「一緒に住んで欲しい」と言う。クレアはその提案を受け入れる一方、コレクションを売ることをやめる、と言う。そんな彼女の言葉を受け、ヴァージルは目録を破り捨てる。そんな2人の門出を、ロバートは祝福する。
結:寂しい晩年
ヴァージルは、引退することにし、最後の仕事でロンドンへと競売のために出張する。最後のオークションに、ビリーも参加していた。最後の晴れ舞台で、ビリーも「俺の絵の才能は認めてくれなかったが、お祝いに絵画を送った」と言う。
ヴァージルは早くクレアに会いたいと考え、いそいそと自宅に戻る。だが、クレアの姿はなかった。クレアの母親を描いたという肖像画が置かれており、それを手にヴァージルは隠し部屋へと向かう。
そこで、ヴァージルは数々の女性の肖像画がなくなっていることに愕然とする。持っていた絵を落とし、ヴァージルはその裏に「親愛と感謝をこめて ビリーより」と書かれており、愕然とする。
さらに、ロバートの組み立てた機械仕掛けの人形が片隅に置かれ、ヴァージルが自分たちの企みに気づかなかったことを指摘する。
ヴァージルは、クレアの邸宅を訪れるが、既にもぬけの殻となっていた。彼は近くのバーを訪れ、驚異的な記憶力を持つ低身長症の女性に、クレアが出て行ったのかどうか尋ねる。すると、クレアは引きこもっていたどころか、何度となく邸宅から出入りしていたことが発覚する。
さらに、低身長症の女性は「あの家は、私の家なの。よく映画撮影とかで貸していて」と明かす。そして、最近まで貸していたのはロバートであったことが発覚する。
ヴァージルは、クレア、ロバート、ビリーたちに騙されていたことを悟る。だが、クレアとの恋愛を忘れられないヴァージルは、警察には届け出することができなかった。
ヴァージルは、クレアが話していたプラハのレストラン「ナイト・アンド・デイ」を訪れる。「お1人ですか?」と店員に問われ、「待ち合わせです」と答える。ヴァージルは、来るはずのないクレアを待ち続けていた。
ヴァージルは、クレアのいない喪失感、騙されたのだという事実にショックを受け、無気力となってしまう。そんな彼は病院へと入院し、リハビリを受けていた。訪れる者はかつての部下1人のみで、寂しい晩年を過ごすこととなった。
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