簡単なあらすじ
1) ウィルは、別れた元妻・エデンから晩餐会への招待状を受け取り、2年ぶりに会うことにした。かつての仲間が集い、エデンは人が変わったかのように明るく振る舞っていた。
2) ウィルとエデンには、1人息子のタイがいた。だが、そのタイは誕生日会に日、不慮の事故で突然亡くなってしまう。その死を2人で乗り越えることができず、離婚してしまったのだった。
3) エデンは、現在の恋人・デイビッドとともに、メキシコでとある団体の中に入り、集団生活を行っていた。ジョセフ博士なる人物が率いるその団体で、2年間過ごしていたのだという。その団体のプロモーションビデオを見させられた晩餐会の出席者たちは、「カルト集団への勧誘か?」などという言葉を口にする。デイビッドは、メンバーはロスにも何千人といる、と言う。
4) デイビッド、エデンは晩餐会で毒入りのワインを出席者に振る舞い、毒殺しようとしていた。ジョセフ博士は、団体のメンバーに大量殺人を指示していたのだった。毒殺が失敗すると、デイビッドは拳銃で殺害しようとしてきた。
5) 元妻のエデンは自殺してしまうが、ウィルはデイビッドや他の団体メンバーからの襲撃を回避し、生き延びることができた。外に出ると、庭に赤いランタンが飾られているのに気づく。そのランタンは、見渡す限りの家の庭に飾られていた。自分たちが巻き込まれた惨劇は、どうやら多くの家で同時多発的に起こっていたようだった。
ここがポイント
冒頭から中盤まで、あまり山もなく淡々と進むので途中で観るのをやめてしまう方もいるかもしれないが、そこから怒涛の展開となる。
特に、最初の殺人からウィルが生き延びようとするシーンは、とても緊迫感がある。また、こうした凶行はこの家だけで行われたのではなく、カルト信者によりそこかしこで行われていることが仄めかされ、最後まで驚かせてくれる。
起:招待状
ウィルは、別れた元妻・エデンから晩餐会への招待状を受け取り、2年ぶりに会うことにした。現在の彼女・キラとともに、クルマでかつて暮らしていたロサンゼルスの家を目指すが、その道中でコヨーテを轢いてしまう。虫の息のコヨーテを、ウィルは殴り殺す。
キラは、ウィルがかつて暮らしていた家が豪邸であることに驚くが、「エデンの家族が金持ちなだけだ」と言う。既にかつての友人たちはチョイ以外揃っていた。
ウィルとエデンには、1人息子のタイがいた。だが、そのタイは誕生日会に日、不慮の事故で突然亡くなってしまう。「目を離さなければ・・・」とウィル、エデンは後悔していた。夫婦は深く悲しみ、エデンは自殺を図ろうとさえした。
だが、2年ぶりに見たエデンの変わりように、ウィルは驚く。エデンは、悲しみを乗り越え、人生を謳歌しているような様子だった。そんな彼女は、現在の彼氏・デイビッドとともにメキシコで2年間を過ごしたのだという。デイビッドは、ウィルがコヨーテにとどめを刺したことについて、「安楽死だよ」と、その行動を肯定する。
その一方、ウィルはエデンが抗不安薬を大量に寝室に隠し持っていることを発見する。子供の死の悲しみを乗り越え、楽になったというのはウソではないか、とウィルは考えていた。
承:不穏な空気
高級なワインが振る舞われ、出席者たちはご機嫌となっていた。その晩餐会には、エデンやデイビッドたちがメキシコで出会ったという、サディ、プルートという見知らぬ人々が参加していた。デイビッドたちは、ジョセフ博士の指導のもと、集団生活を送っていたのだという。デイビッドは、ジョセフ博士が率いる団体の動画を見せる。
その動画には、末期癌患者が亡くなる瞬間が記録されており、出席者たちは「カルト集団に勧誘しようとしているのか?」などという疑念を抱く。「カルト集団などではなく、もっと科学的な団体だ。ロスにも多くのメンバーがいる」とデイビッドは説明する。その動画をきっかけに、今までの和やかな雰囲気が変わってしまった。
場の雰囲気を変えるため、デイビッドは、ゲームを提案する。「望みを正直に口にする」という内容であったが、そこでセイディは出席者のベンと濃厚なキスをする。その様子に、クレアは不快感を示しているようだった。
さらに、プルートは「妻を殴り殺してしまい、服役していた」のだと告白する。再び、重い空気となり、クレアは耐えかねて「帰る」と言い出す。クレアはクルマで帰ろうとするが、プルートは「自分のクルマを後ろに停めたから、どかすよ」と言って出て行く。ウィルは、プルートをどこか怪しんでおり、クレアがクルマを出すところを見続けていた。プルートはクレアのクルマを止め、なにやら話しかけているようだった。だが、途中でデイビッドに話しかけられ、最後まで見ることはできなかった。
転:ウィルの疑念
夕食を食べている最中、ウィルは息子・タイが亡くなったことを思い出し、フラッシュバックに耐えかねて大きな声を出してしまう。そんな彼は、外に出て頭を冷やそうとしていた。
そこにセイディが現れ、「抱いてもいい」と言ってくる。デイビッドたちがいた団体では、フリーセックスも容認されているような状態であったのだという。だが、デイビッドはセイディの誘いを断る。
ウィルは、携帯電話のボイスメッセージを聞く。そこには、チョイがエデンの晩餐会が行われる家の近くまで、既にやってきているという内容がそこに吹き込まれていた。にも関わらず、晩餐会にチョイの姿がないことに、ウィルは不審に思う。
ウィルが食事に戻ると、ミゲルのためにバースデーケーキが用意されていた。その様子に、再びウィルは亡くなった息子のことを思い出す。そこで堪らず、「エデン、どうして息子のことを忘れられるんだ?もっと悲しむべきだ」「どうして関係ないやつらが晩餐会に参加してるんだ?」などと不満をぶちまける。
さらに、「チョイはなぜ出席していない?ボイスメッセージに、彼は近くまでやってきたのだと言っていた。なのに、なぜいないんだ?彼をどうしたんだ」と詰め寄る。ところが、そこにチョイがやってくる。彼は、「近くまで来たんだけど、仕事で急に戻らなければならなかったんだ」と言う。ウィルは、疑ったことについて、デイビッドやプルートに謝罪する。
ウィルは、息子のベッドルームを見て、気分を落ち着かせていた。そんな中、窓の外で、デイビッドがなにやら赤いランタンを高い場所に吊るしているのを見かける。ウィルは、デイビッドが見せた動画の続きを観る。そこには、「怖がらないでいい。君たちは選ばれた人間なんだ」などと、意味不明なことをジョセフ博士はメッセージとして残していた。
「もう一度、乾杯しよう」と、デイビッドはウィルを呼ぶ。出席者に、グラスが配られ、デイビッドは「よりよい世界に」などと言って乾杯しようとする。だが、ウィルはデイビッドたちの不穏な様子が気になったのか、他の出席者が持つグラスを叩き割る。
セイディは、ウィルに対して「アンタが、ぶち壊しにしたんだ!」と言って掴みかかる。ウィルは、セイディを振りほどこうとして、彼女は頭を強打して床に倒れてしまう。
結:惨劇の夜
騒然とする中、グラスのワインを飲んだジーナは、口から泡を出して死んでしまう。人々は何が起こったのかわからず、パニックに陥る。そんな中、デイビッドはジーナを介抱しようとしていたミゲルを射殺する。
プルートは、銃をデイビッドから取り上げ、チョイを射殺する。ウィルは、キラとともに逃げようとする。だが、窓には鉄格子が嵌められてしまい、出ることができない。
ウィルは、「2階に、ガレージに繋がる扉がある。そこから出よう」とキラに提案し、2階へと向かう。その途中、セイディが自らを暖炉の火掻き棒で突き刺し、死にゆく様子であるのを発見する。ウィルは、その火掻き棒を手にする。
その途中、ウィルはためらうエデンにデイビッドが「やらなければならないんだ。僕らは選ばれた人間なんだから」と話しているのを立ち聞きする。彼らが居なくなった後、ウィルたちは2階に向かう。だが、ガレージへの扉は改修で埋められてしまっていた。
そんな中、プルートが拳銃をもってやってくる。ウィルは、近づいてくるプルートの手を火掻き棒で打ち、拳銃を落とさせる。そして、火掻き棒で突き、エデンとともにプルートを倒すのだった。エデンは、落ちた拳銃で、ウィルを撃つ。ウィルは右肩を撃たれ、エデンは「ごめんなさい」と謝ると、自らの腹部を撃った。
デイビッドは、エデンの名を呼ぶ。ナイフを持つ彼に、ウィルは「エデンは死んだ」と言う。デイビッドは、悲しむどころか喜んでいた。ウィルは、拳銃に弾丸が残されていないことを承知で、デイビッドに拳銃を向ける。
そんな中、トミーがデイビッドに掴みかかる。階段から落ちながらも、トミーはデイビッドを刺殺する。その後、エデンはまだ死んでいなかったことが判明する。エデンは、瀕死の状態にあり、「タイが死んで悲しい。また、タイに会いたい・・・」と泣きながら話す。
そして、エデンは「外に連れていって」と言う。そこで彼女は息を引き取ったのだった。ウィルたちは、そこでなにやら周囲が騒がしいことに気づく。サイレンが鳴り響き、ヘリの近づく音が次々に聞こえてきていた。
庭には、赤いランタンが吊るされていた。それと同じランタンが、あちこちの家に吊るされていた。自分たちが巻き込まれた惨劇は、どうやら多くの家で同時多発的に起こっていたようだった。