簡単なあらすじ
1) ニュースキャスターや政府関係者などが殺害される事件が起こる。犯人は、塩谷和範(柏原崇)という男だった。5年前、塩谷の後輩・木佐原渡(細山田隆人)は、エルドビア共和国で誘拐された。政府は身代金支払いを拒否し、木佐原は殺害された。退避勧告が出されていたこともあり、マスコミは「自己責任」と木佐原をバッシングした。そのことに怒りを覚えた塩谷は、連続殺人事件を起こしていたのだった。
2) 塩谷は大規模な東京マラソン大会を狙い、テロを起こそうと目論む。右京は塩谷を追い詰めるが、塩谷は自ら命を絶ってしまう。事件は解決かと思われたが、木佐原の父・芳信(西田敏行)もまた、塩谷と共謀しており、拳銃で人質をとるが、逮捕される。
3) 芳信は、裁判で外務省のひた隠しにする『Sファイル』の存在を明らかにしようと考えていた。だが、芳信は末期癌で余命わずかであった。そのため、外務省は検察に働きかけ、送検見送り・余罪での逮捕を繰り返して時間稼ぎを行う。
4) 衆議院議員・片山雛子(木村佳乃)は、『Sファイル』の存在・内容を明らかにし、「退避勧告は拉致の後であった」と公表する。政府は、批判を回避するため、事実とは異なる情報を発表していたのだった。芳信は、息子だけが責められる状況変えることに成功し、喜ぶのだった。
詳細なあらすじ
人気キャスターだった男性が、絞殺されて遺体となって発見される。遺体は、電波塔に吊るされており、現場には「f6」という謎のメッセージが残されていた。
一方、警視庁特命係・杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、「赤いカナリア」と名乗る過激派から、手紙爆弾を送りつけられた衆議院議員・片山雛子(木村佳乃)の護衛を行っていた。そんな中、雛子は乗車中に襲撃を受け、右京たちは雛子を守る。その現場にも、「d4」なる謎のメッセージが残されていた。
右京たちは、2つの事件に関連性を見出す。陣川公平(原田龍二)は、SNSサイト「人民法廷」を発見し、そこで行われた擬似裁判で「死刑」判決を受けた人物が処刑されているのではないか、と考える。
チェス好きな右京は、「f6」「d4」は、チェスの棋譜を記す時の記号であると気づく。そのため、これらの記号の前に、「e4」(白側の一手目)というメッセージが置かれた殺人事件が発生しているのではないか、と考える。右京の考えた通りのような殺人が起きていた。
右京は、塩谷に対してメールを送る。チェスの対局を行ったところ、その駒の配置は、東京ビッグシティマラソンのコースに似ており、次はそこで何か事件が発生するのではないか、と睨む。
一方、事件の被害者となった人々を訪ねていた女性・守村 やよい(本仮屋ユイカ)がいると判明する。やよいは、一連の事件に塩谷和範(柏原崇)という男が関与していると考え、調べていたのだった。
そして、こうした事件が起こった背後に、5年前の「エルドビア共和国誘拐事件」が関係している、とやよいは話す。当時、エルドビアで難民救済活動を行っていた木佐原渡(細山田隆人)は、ゲリラに身代金目的で誘拐されてしまう。日本政府に対し、身代金要求がなされるが、政府は拒否。結果、木佐原は殺害されてしまう。
木佐原は、「退去勧告が出ていながら、エルドビアに留まったのは自己責任」とバッシングを強く受けた。そのこともあり、やよいは木佐原の妹であり、「木佐原康江」という名前であったが、「守村やよい」に改名したのだった。
エルドビアへは元々、塩谷が行く予定であった。ところが、塩谷は就職が決まったため、木佐原が行くこととなった。誘拐事件が起こり、塩谷は木佐原が自分の身代わりに殺害されたと思うようになった。なおかつ、木佐原を責めたマスコミ・政府関係者たちを許せなかった塩谷は、彼らを殺害することにしたのだった。
右京は、東京ビッグシティマラソン開催中、塩谷のアジトを発見する。時限爆弾は爆発するが、大きな犠牲は防ぐことができ、塩谷は逮捕前に自殺するのだった。事件は解決したかに見えたが、塩谷とともに事件を起こしていたのは、木佐原の父・芳信(西田敏行)だった。
芳信は、エルドビアでの誘拐事件には裏があり、外務省の機密文書『Sファイル』にそのことが記載されていると考えた。そこで、芳信は表彰台で拳銃を突きつけて逮捕されるも、中に銃弾は入っていなかった。芳信は、裁判にかけられたところで、『Sファイル』の公表を迫ろうと考えていたのだった。
だが、芳信は末期癌に侵されており、余命わずかだった。そのため、外務省は検察に働きかけ、送検見送り・余罪による逮捕を繰り返し、時間稼ぎをはかる。だが、片山議員はその『Sファイル』の内容を公表する。
木佐原が拉致されたのは、退避勧告が出される前であった。だが、外務省はその事実を隠蔽し、拉致が「退避勧告後」であると発表していたのだった。息子にバッシングされるいわれがないことが明らかとなり、芳信とやよいは喜ぶのであった。