佐治和彦(風間トオル)は、彼女に振られてしまい、渡そうとしていたピエロのオルゴールも渡せずにいた。公園でうなだれていると、喪服を着たヒサコ(ヒロコ・グレース)を見かける。
悲しそうなヒサコに和彦は声をかける。すると、ヒサコは「お母さんが死んじゃったの」と明かす。和彦は、ヒサコを慰めようと、ピエロのオルゴールをプレゼントする。ヒサコは、「お礼に、ウサギのぬいぐるみをあげる」と言い、来週にこの公園で会おう、と言うのだった。
和彦は約束したものの、そのことをすっかり忘れてしまっていた。女性と映画を観に行こうとするが、その途中、露天商(タモリ)がウサギを売っていたことで、和彦はヒサコとの約束を思い出す。慌てて和彦は公園へと向かい、そこで待っていたヒサコ似の女性に声をかける。
和彦は、その女性をヒサコの姉だと思い、一緒に食事へと出かける。楽しそうに食事をするヒサコを微笑ましく見ていると、彼女は「これが、最後の食事になるかもしれないじゃない」と無邪気に答える。
和彦は、彼女のことをすっかり気に入ってしまい、「来週、また会えないかな?」とデートに誘う。だが、彼女は「来週じゃ遅いわ。明日会えない?」などと誘う。そこから、和彦は彼女とデートを重ねる。
そんなある日、ヒロコはブティックで買い物を楽しんでいたところ、自分の顔が老化しつつあることに気が付く。その変化に愕然としたヒロコは、突然和彦に別れを告げて立ち去ってしまう。
和彦は、あまりにも突然の別れに納得できず、彼女の家を訪れる。だが、彼女は和彦に会おうとはしなかった。雨が降りしきる夜、和彦は濡れることを構わずに彼女を呼び続ける。ついにあきらめようとしたところ、彼女は和彦に自らの秘密を告白するのだった。
彼女は公園で出会った喪服の少女「ヒロコ」なのだった。彼女は、普通の人間の数十倍もの早さで成長・老化してしまうのだった。そして、ヒロコの母親もまた同様であり、自分も同じ道をたどっていることを和彦に告げる。だからこそ、自ら別れを切り出し、「綺麗な思い出のままにしておきたい」と思ったのだとヒロコは言う。
だが、和彦は「今までも、そしてこれからも変わらずに君と一緒にいる」と言い、別れようとはせず、ヒロコを強く抱きしめる。
ある日、和彦はいつものようにヒロコの手を握り、一緒に歩く。ヒロコは老化が進み、足取りもおぼつかなかった。だが以前と変わらず、和彦はヒロコの横を歩き続けるのだった。
1990年7月26日放送 脚本:武上純希