山崎豊子原作ドラマ「女の勲章 第ニ夜(後編)」あらすじ・ネタバレ

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簡単なあらすじ

1) 大庭式子(松嶋菜々子)は、多忙な毎日に忙殺されながら、一方で八代銀四郎(玉木宏)が他の女と関係していることに心かき乱される。そんな中、式子は白石庸介(長塚京三)を次第に心の拠り所にするようになる。

2) 式子は、白石に言われてパリ留学を提案するが、八代は許さなかった。そこで、パリの有名デザイナー ジャン・ランベールの型紙を買い付けに行くことを条件に、パリ行きを許可される。

3) 式子の行動を知った安田兼子(浅野ゆう子)は、横槍を入れて契約をさせないよう妨害する。そこで、式子は白石を頼って、ランベールと交渉することができるようになるのだった。式子は白石に恋心を抱き、2人は関係をもつようになる。だが、それを八代は邪魔立てし、2人を引き裂こうとするのだった。

4) 式子は、東京でのファッションショーを最後に八代との関係を絶って白石との新たな関係を築こうとしていた。だが、八代は「新学校建築のための費用は、あんたの負債。弁済する必要がある」と言い、自分と離れることを許さない、と言う。式子は白石に去られ、絶望する。

5) 倫子たちに全てを託した式子は、裁ちばさみで喉を一突きにし、講堂で自殺する。八代は、式子のオフィスにあったマネキンの喉がハサミで穴を明けられているのを発見する。そこには紙片が埋められており、「あなたには勝たせない」と書かれていた。聖和服飾学院の新院長には、倫子が就任した。倫子に威勢よく檄を飛ばした後、八代は人知れず式子の死を悲しみ、むせび泣くのだった。

詳細なあらすじ

大庭式子(松嶋菜々子)は、映画『デザイナー物語』の記者会見の最中、八代銀四郎(玉木宏)は坪田かつ美(相武紗季)に「職員室で」という紙切れを渡す。かつ美は、その紙を落としてしまうのだった。

その紙を拾った式子は、職員室へと向かう。そこには、情事を始めようかとしていた八代とかつ美がいた。だが、八代は何事もなかったかのように式子のスピーチを褒める。

式子は、多忙な毎日に忙殺されながら、一方で八代への想いにかき乱される。そこで式子は、白石庸介(長塚京三)を頼るようになる。白石は、10年前に妻を亡くしていた。「夫婦の関係は、綺麗事ではない。愛情ばかりではなく、恨みを感じたり辛さを感じることもあったんです」と白石は話す。一方、八代は、大木富枝(木南晴夏)に「今度、食事でもどうです?」などと声をかける。

式子は、映画のヒットで一躍有名デザイナーとなる。白石は、「あなたのデザインには、オリジナリティが感じられた」と式子を褒める。式子は、「自信がないんです。映画のおかげで、自分の知名度も上がっています。ですが、それが本当の自分の実力なのか…」と本音を吐露する。

白石は、「それは、あなたが望んだことではないんですか?みんな、褒められたいんです。それを自分の勲章のようにぶら下げる人もいるが、その重さに押し潰されるようなことがあってはならない」などと言う。

新聞記者・曾根英生(小澤征悦)は、八代に「君は白石先生を脅威に思っているんじゃないか?先生の純粋さを脅威に思っているんだ」などと言う。

式子は、白石に「パリ留学をしてはどうですか?」と提案する。そんな中、八代は次々に新たな学校建設を提案する。ますます多忙となることに、式子は「少しぐらい休ませてくれない」などと言う。

八代は、わざと白石の悪口を言い、式子は「先生のことを悪く言うのはやめて」と反発する。そして、「パリに留学しに行きたいの」と言う。だが、八代は「こないなかきいれ時に、そんなこと許されるわけがない」と言う。

式子は、次々に難題が降って湧いてくることに、「もう、自分が何をしたいのか、何をすればいいのか分からなくなってしまったの」と弱音を吐く。八代は、「僕がいます」と言うのだが、式子は「一人にさせて」と言うのだった。八代は、白石の脅威をまざまざと感じるのだった。

八代は、白石に「うちの大庭式子から手を引いていただきたい」と言う。式子が白石に影響を与えていることについて、「ファッションは商売です。芸術ではない」と言う。白石は、八代に「なんでも商売ですか。彼女はあなたの商品ですか」などと言う。

富枝は、八代に倫子、かつ美が八代と関係を持っていることについて、「体に見合う取引してますやろか?安い取引してはりますな」などと言う。富枝は、「私なら、もっと実のあるものをとります。縫製工場とか。ただ、学校のような低予算では開くことはできませんな」などと言う。

かつ美は、デザインが褒める記事が新聞に掲載されて喜ぶ。一方、かつ美に倫子は嫉妬をする。

式子は、フランスのデザイナージャン・ランベールのカタログを食い入るように見ていた。そこで、式子は「ランベールの型紙を買ってきて、こっちでも売り出せば儲かる」と八代に提案する。

八代は、式子のパリ行きを許す代わりに、外注ではなく自社工場で自社製品を作ることを提案する。そして、その工場の責任者に富枝を推すのだった。

八代は、式子のパリ渡航費用を三和織物に協賛してもらおうと考えていた。そして、倫子に、野本敬太(駿河太郎)へとその件を依頼させるのだった。倫子は、渋々頼みに行くのだが、野本は「君の頼みは何でもきく」と言うのだった。

野本は、「君が、僕から心が離れているのは知っていた。君は厚顔無恥だ。でも、君の頼みをきくのはこれが最後だ」と言って立ち去る。倫子は、「ごめんなさい。許して」と言う。だが、「私が好きなのは、仕事なの…そのためなら、何を捨ててもいいの」などと言うのだった。野本は、「そうか…じゃあ、成功を祈る」と言うのだった。

式子は、倫子の喫煙を注意する。すると、倫子は「先生は、お幸せですね。一番身近な敵にも気づかないんですから」などと言う。その後、式子は工場の所有者が「大木富枝」になっていることに驚く。

式子が問いただすと、富枝は「銀四郎さんにもらいましてん」と言う。富枝は、「私だけやあらへん。倫子さんやかつ美さんも裏で、八代さんと繋がっています」と言う。「そんな汚らしいことを」と式子は言うのだが、「汚らしい?それは先生も同じことでは?先生も、八代さんの手腕を借りて、欲しいものを手に入れてきはったやないですか」と言うのだった。

八代は、式子に三和織物が協賛してくれることを告げる。式子は、八代に富枝のことを話すことができなかった。

式子は、パリへと出発する。倫子、かつ美、富枝は式子を見送り、式子は「私がいない間、学校のことをお願いね」と言う。曽根は、「何か困ったことがあったら、白石さんを頼ったらいい。パリに学会で行っている」と告げられる。

かつ美は、安田兼子(浅野ゆう子)に、式子がランベールに会いにパリへと行っていることを明かす。安田は、日東貿易の常務に電話をかけ、「デザイナーのランベールのことで耳寄りな情報があるの」と言う。

三和織物の駐在員・園田が、式子の世話係を引き受けることになった。一緒に式子はランベールに会いに行く。だが、日東貿易が先に3年契約を結ぶと知らされ、式子は門前払いされてしまう。

式子は落ち込み、白石のもとへと向かう。そこで、日東貿易に先んじられてしまい、ランベールに会えなかったことを相談するんどあった。白石は、ランベールをよく知る画家を通じて、式子のことを伝えておく、と約束する。八代は、白石がパリにいると聞き、危機感や嫉妬心を抱く。

式子は、ランベールと会うことができるようになり、彼の作品を見ることができて感動する。式子は、白石に感謝するのだった。式子は、白石とともにパリの街を歩く。式子は、「先生といるときだけ、本当の自分になれる気がするんです」と言う。だが、白石は「今のあなたの気持ちは、初めての異国で味わう感傷です。一時の誤った感情で自分を見誤ってはいけませんよ」と言って立ち去る。

そんな中、八代がパリにやってきて式子は驚く。「半年…3ヶ月だけでもここにいさせて、デザインの勉強をさせて」と言うが、八代は認めない。そこで式子は、「倫子さんに、かつ美さんに、富枝さん、それに私。商売のためならなんでもするの?」と言う。だが、八代は「僕の体が欲しかったら、言ってくれればすぐに差し出します。そのかわり、あんじょう働いておくれやす」などと言うのだった。

式子は、白石の部屋を訪れて彼を抱きしめる。翌朝、式子が部屋にいないことに八代は気づく。そして、白石の部屋へと向かうのだった。八代の姿を見かけた式子は、慌てて部屋を出て身を隠す。

式子は、白石に「少し先生との自由な時間が欲しいんです」と言う。行動をともにする中、式子は白石に「先生の奥さんは、どんな方だったんですか?」と質問する。白石は、「妻は学生と心中したんです。私が研究論文に没頭している中、妻は学生と情死したんです。幼い妻には、言葉や態度で示さねば分からなかったんです。その時の妻の孤独や、私の至らなさを考えると、胸が押し潰されそうになる…もう、あなたのことも愛さないと決めていたんです」と言う。

式子は、「私が好きになったのは、先生お一人です。盗み合ったり、奪い合ったりするのではなく、こんなに温かい気持ちになれたのは、先生お一人です」と言うのだった。

だが、白石はロンドンへ発つことになった。式子は、「お供させてください」と言う。だが、八代が現れて「そうはいかしまへんで」と言う。

白石は、「僕が悪いんだ…彼女を連れ回して、申し訳ありませんでした」と謝罪する。八代は、式子に帰国して働くように言うが、式子は留学を望む。八代が式子に横柄な口をきくことを疑問に思う白石に、八代は式子との関係を仄めかす。白石は、式子と八代の関係を知り、ショックを受けて立ち去る。

1週間後、式子は帰国したランベールの型紙を使用した服のファッションショーを開く。式子は、富枝の目から見ても「死神に取り憑かれているよう」と、異常に映るほど熱心にデザインの仕事へ打ち込んでいた。富江は、八代に真珠の作り方を話す。「真珠を作ったら、母貝はポイ。八代さんのやり方とそっくりですわ。時々、先生が気の毒に思える」と言うのだった。

式子は、白石に電話をかけ続けたが、白石はその電話に出ることはなかった。式子は、直接白石の研究室へと出向く。落ち着いた様子の白石に、式子は「私との関係をなかったことにしたいのですか?」と問う。白石は、「激情に任せてずるずると関係を続けるようなことはすべきではない。パリでの屈辱は忘れられません」と言う。

だが、式子は「ランベールのファッションショーが終わったら、私は身一つであなたのもとへと参ります」と言うのだった。

式子は、八代に「私と別れて欲しいの」と切り出す。「あなたとの関係は、男と女の関係はとっくに切れてる。でも、一緒に仕事をしている限り、そうは見てくれない…白石先生にも」と言う。八代は、袂を分かつために2,000万円を要求するのだった。「働いてきた分の見返りが欲しい」と言う。式子は、「無理だと思ってそんなことを言うのね」と言う。

鼻歌を歌ってデザインをするかつ美に、式子は「私にとってデザインは、いつでも真剣勝負だった」と言う。かつ美は、「そうですか?私にとってデザインは楽しいものなんです。その楽しい気持ちで作った服で、みんなにも楽しくなって欲しいんです」と言う。式子は、「あなたのような人が、新しい時代を作っていくのね」とつぶやく。

式子は、上女中のキヨに「好きな人ができたの」と言う。そして、「私はもう、勲章なんかいらない。あの人に、私を受け入れてもらえれば」と言うのだった。

式子は、東京でのファッションショーを成功させ、自らデザインした服に翡翠のネックレスをつけ、割れんばかりの拍手で迎えられるのだった。

式子は、ファッションショーを終えて白石のもとへと向かう。「これで終わりです。これで何もかも。銀四郎さんとの関係を切って、先生のもとへと参ります」と言う。だが、そこに八代が現れ、「そうはさせまへん」と言うのだった。

式子は、大阪や京都、東京の学校、土地を譲渡する、と八代に言うが、八代は「債務や担保がある学校や土地ばかりをもらってもしかたない」と言うのだった。さらには、法律上は式子に債務返済の義務がある、と八代は指摘する。

八代は、式子を自由にしないということがはっきりと分かった白石は、潔く身を引く。取り残された式子は、打ちひしがれるしかなかった。

八代は、「あの人は、あなたに見合う器ではなかったということですわ。僕のものでずっといることです」と言う。式子は、「他の女とあなたを4分の1ずつ分け合うことで満足しろですって?そんなの、死んでるのも同じことよ!」と言う。だが、八代は「あんたが他の女と同等?そんなわけありしまへん。そうやなかったら、必死に取り返そうなんてするわけない」と言うのだった。

式子は、職場の自室に戻ると、マネキンに自らの服を着させ、翡翠のネックレスをかける。式子はハサミを手に取り、マネキンの首に突き立てる。

翌日、大阪のファッションショーを開催することになる。式子は、倫子・かつ美・富枝に一人ずつ話をして、「ファッションショーの成功は、あなたたちにかかってる。…それじゃあ、みなさん。今夜に備えて準備を始めて」と言うのだった。

式子は、3人が去った後にマネキンの首元に深々と刺さったハサミを抜く。

ファッションショーのリハーサル1時間前になっても、式子は現れなかった。そこで、甲子園警察から電話がかかってくる。式子は、裁ちばさみで喉を一突きにしており、講堂で倒れていたのだった。

八代は、霊安室で式子に別れを告げた後、慌ただしくファッションショーの準備に終われる倫子たちのもとへと向かう。八代は、「ランベールの亡霊に取り憑かれ、ショーを成功させるために仕事をし過ぎて亡くなった。追悼ショーの日程も入れて記事にしてくれ」と曽根に言う。曽根は、「先生の死すら仕事にするのか?」と言う。

八代は、式子のオフィスを訪れ、「借金の話、あんな嘘を本気にしはって…」とつぶやく。八代は、マネキンの穴の中に、紙片が入れられているのを発見する。その紙には、「あなたには勝たせない」と書かれていた。

聖和服飾学院・新院長には、倫子が就任することになった。「気張らなあきまへん」と八代は言う。倫子が去った後、倫子の死を伝える記事を前に、八代は涙を堪えることができなかった。必死で声を押し殺し、八代は泣くのだった。

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