簡単なあらすじ
1) 北川健史(向井理)は、赤堀一郎(小澤征悦)からツカハラホームズ社長・塚原幹夫の息子である昌彦(大西利空)を誘拐する計画を持ちかけられる。健史は、実は塚原の血の繋がった息子だった。だが、母に育てられた彼は、一度も塚原に会ったことがなかった。病気の母が亡くなるまで、一度も会おうとしなかった塚原を、健史は「困らせてやろう」という思いから、誘拐事件に手を貸すことになったのだった。
2) 昌彦は、塚原と血の繋がりはなかった。そのため、昌彦は健史に「僕を誘拐しても、身代金は支払われない」と言う。健史にそのことを報告された赤堀は、「そのことは知っている。この誘拐計画を提案したのは、塚原なんだ。塚原は、血の繋がりのない昌彦が邪魔で、殺すように言ってきたんだ」と明かす。塚原は、血の繋がりのある健史を次期社長に、と思っていたのだった。
3) 赤堀が、塚原から身代金を奪いに行っている中、健史は、目をさますと手を縛られ、部屋に閉じ込められていた。そこで昌彦は、「誘拐されたのは、お兄ちゃんだったんだ」と明かす。昌彦は、健史のコーヒーに睡眠薬を入れて眠らせたのだった。
4) 塚原に邪魔にされ、次期社長の座が健史に行かないよう、昌彦は健史を誘拐・殺害しようと計画したのだった。赤堀は、昌彦の実の父親だった。昌彦は、赤堀を頼って、誘拐事件に協力してもらうよう依頼していたのだった。
5) 赤堀は、身代金を奪った後、健史を殺害する予定だった。だが、土砂崩れに巻き込まれ、赤堀は身代金を受け取れず、大怪我を負ってしまっていた。4時間待ち続けた昌彦は、赤堀が自分を裏切って逃げたと思い、健史に包丁を向ける。だが、昌彦は健史を狙って飛び込んだところ、二階から落ちて怪我を負ってしまう。
6) 健史は、昌彦にとどめを刺そうと考えるが、亡き母の「情けは人のためならず」という言葉を思い出し、昌彦を手当してやり、「お父さんは帰ってくる」と励ます。そこに、赤堀もまた、大怪我を負って監禁場所へと戻ってくる。赤堀は、健史にライフルを向ける。だが、健史は「やめて」と言って、赤堀を止めるのだった。
7) 健史は、赤堀に「これから平塚に会いに行ってくる。会社をに関わるつもりはないと、言いに行く」と言って、立ち去るのだった。
詳細なあらすじ
クリスマスの日、小学生の塚原昌彦(大西利空)は友人のクリスマスパーティーからの誘いを断る。その直後、北川健史(向井理)、そして赤堀一郎(小澤征悦)に誘拐される。
その2週間前、健史はバーテンダーとして働くバーで、赤堀と会った。赤堀は、「ツカハラホームズをクビになったんだ。塚原幹夫…社長に復讐してやるつもりだ」と話していた。
赤堀は、「俺がクビになって、女房が働きに出た。そのせいで、息子は交通事故に遭ったんだ。息子は、塚原に殺されたも同然だ」と言う。そして、「塚原には、昌彦っていう10歳の息子がいる。アイツにも、子供を失う辛さを教えてやりたい」と言うのだった。
健史は、借金の返済に苦しんでいた。そこで、誘拐により得たカネを分けるという約束で、赤堀に協力することになったのだった。
昌彦は、山の中の屋敷に連れて行かれ、赤堀はチキンやケーキを振る舞う。赤堀は、3億円を要求する予定なのだという。健史は、「殺しはしないんですよね?昌彦君」と赤堀に確認し、赤堀は「俺は子供を殺したいわけじゃない」と言う。
健史は両親について訊かれ、父親は会ったこともなく、母親・喜代(市毛良枝)は膵臓癌で他界していることを明かす。
赤堀は、塚原に電話をかける。一方、昌彦は健史に「パパからお金をとるために、僕を誘拐したんですか?パパは、僕のためにお金を払わないと思います。僕は、パパの本当の子供じゃないんです。だから、僕のためにお金を払わないと思います。ごめんなさい」と言う。
健史は、昌彦の話を赤堀に報告する。だが、赤堀は「大丈夫だ」と言い、昌彦の話を知っていると明かす。昌彦は、塚原の連れ子だった。塚原は、妻が亡くなった後、隠すこともなく昌彦を邪魔者扱いするようになったのだった。
そして、塚原自身がこの誘拐事件を計画し、「邪魔者」を始末するつもりだったのだった。赤堀はさらに、「あんたも、昌彦がいるんじゃツカハラホームズを継ぐのに困るんじゃないのか?」と言う。健史は、塚原の血を分けた息子だったのだった。
健史は、母・喜代が病床で「あんたも、父親に会いたかったでしょ?」と言っていた。さらに、「この年になって思うの。情けは人のためならずって」と話していたことを健史は思い出すのだった。
赤堀は、「殺しも俺がやる。あんたは、昌彦を見張ってくれていれさえすればいい」と健史はに言うのだった。
昌彦は、「僕、殺されちゃうんですか?」と健史に言う。健史は、「そんなわけないだろ」と言う。
赤堀は、山道でクルマを走らせていた。土砂崩れを起こしている道にも関わらず、危険を顧みずに赤堀はその道を進む。
健史は、目を覚ますと後ろ手に手を縛られており、部屋に閉じ込められていた。昌彦がコーヒーに入れた眠り薬で眠らせて、縛ったのだった。昌彦は、赤堀に電話をかけるが、繋がらなかった。昌彦は、健史に「邪魔なんだよ、お前」と言う。
塚原は、血の繋がった息子・健史がいることを調べていた。そして、ツカハラホームズを継がせるつもりだという。
「会社を継いで、パパと一緒に暮らせると思ったんでしょ?だから、僕を誘拐したんでしょ」と言う。だが、健史は「塚原を懲らしめようと思ったんだ。アイツは、母さんが死んでも、一度も関わろうとしなかったんだ」と言う。
さらに、昌彦は赤堀が実は実の父親であることを明かす。そして、昌彦は赤堀に「助けて欲しいことがあるんだ」と言った。健史を誘拐する計画を立てたのも、昌彦だった。赤堀が受け取りに行ったのは健史の身代金であり、なおかつ健史を殺害する予定なのだという。
昌彦は、3億円を受け取ったはずの赤堀に電話をかけ続けた。だが、赤堀は電話に出ず、「アイツ、とんずらしたんじゃねぇだろうな」などと昌彦は苛立っていた。
健史は、ドアに体当たりを続け、ついに部屋の外へと出ることに成功する。だが、そこで昌彦が包丁を握りしめていた。昌彦は、健史に襲いかかる。「またあの男に捨てられた…お兄さんを殺して、僕も死ぬ」と言う。
だが、昌彦は勢い余って2階から落下し、大怪我を追う。昌彦は、包丁を持つ健史に「僕を殺して」と言う。「この子がいたら、ツカハラホームズを継ぐのに困るだろ」という赤堀の言葉が脳裏をよぎるが、その一方で健史は母の「情けは人のためならず」という言葉を思い出す。
赤堀は、土砂崩れに巻き込まれ、重傷を負っていた。だが、「昌彦、待っていろ。約束を果たすぞ」と言うのだった。
健史は、昌彦の手当をする。そこで昌彦は、「昨日、クリスマスイブだったんだよね。クリスマスなんて、楽しい思い出一つもなかった」と言う。だが、健史は「お父さんは、君のことを本当に愛している。お父さんは必ず帰ってくる」と言うのだった。
そこに、赤堀が帰ってきた。赤堀は、クリスマスツリーの入っていた箱に、ライフルを入れていた。怪我をした昌彦の姿を見て、赤堀は健史に「お前がやったのか!」と言う。だが、昌彦は「待って。お兄さんは、僕を救ってくれた。だから撃たないで。…この人も、塚原に苦しめられた人なんだ。だから、お願い、パパ」と言う。
赤堀は銃を捨て、昌彦を抱きしめる。健史は、「塚原のところに行ってくる。会社と関わる気はないって、ちゃんと伝えてくるよ。俺にもともと、父親はいない。いたのは、母親だけだ」と言って立ち去る。
家を出ると、土砂降りの雨はやんでいた。道を歩き出した健史は、母親の「情けは人のためならず…人には親切にしなさい。そしたらそれが、必ず自分に返ってくるからという意味」という言葉を思い出していた。
原作: