簡単なあらすじ
1) 明凌学院高校で、担任の沢本愛(矢田亜希子)が古典の授業を行っている最中、生徒の春日俊介(平岡拓真)が倒れ、意識不明の重体に陥る。俊介は、青酸ソーダを飲んでいたことが明らかになる。
2) 俊介は、学校でも家庭でも問題はなく、自殺をする理由が見当たらなかった。だが、担任の沢本は、「イジメを受けていたようで、相談を受けていた」と証言する。そんな中、俊介の母親が、沢本を敵視していることが明らかとなる。沢本の母親は、虐待された娘を守るため、内縁の夫を殺害していた。俊介の母親は、「殺人犯の娘」と沢本のことを忌み嫌っていたのだった。
3) 真壁有希子(天海祐希)は、俊介が沢本に恋心を抱いていたことを知ると、沢本が俊介の母親に復讐するため、大事な息子を誘惑したと考える。真壁は、沢本を事情聴取し、「あなたのことを理解したい」と言うが、沢本は「私のことを、絶対に理解することなんかできない!」と激昂し、真相を語る。
4) 俊介が「家族旅行に行きたくない」と言い出したため、沢本は「仮病を使おう。授業中に倒れれば、お母さんも疑わないんじゃないかしら」と、倒れるふりをするよう、打ち合わせたのだった。その後、沢本は「落ち着く薬をあげる。私がいつも飲んでるの」と、青酸ソーダ入りのカプセルを渡したのだった。そのカプセルは、母親が自首する前、「これは楽に死ねる薬。苦しくて仕方がない時は、これを飲んで。でも、限界までは頑張って生きて」と渡したものだったのだ。沢本は、殺人未遂で逮捕される。
詳しいあらすじ
明凌学院高校で、担任の沢本愛(矢田亜希子)が古典の授業を行っていた。そんな中、生徒の春日俊介(平岡拓真)が倒れ、意識不明の重体に陥る。
沢本は、生徒に自習室へと行くよう指示し、救急車を呼ぶ。生徒たちの中で、春日が青酸ソーダを飲む姿を見た者はいなかった。また、春日がどのように青酸ソーダを入手したのかも不明であり、自殺する理由も不明だった。だが、沢本は「進路に悩んでいた」と言う。
真壁有希子(天海祐希)は、「生徒全員に事情聴取をすべき」と言うのだが、磐城和久(大倉孝二)は「相手は17歳、親が黙っていない」と言う。中田善次郎(大杉漣)も「被害者も17歳です」と言い、事情聴取を行うよう求める。
事情聴取が行われることになったが、沢本は「保護監督者として、私も同席します。生徒たちへの事情聴取は1人3分でお願いします」と言う。「生徒たちを守らなければなりません」と言い、沢本は頼み込む。
生徒たちの事情聴取が行われ、そこで生徒たちは口を揃えて、俊介が「毒物を飲むところは見ていない」と言う。さらに、事件の日、変わった様子はなかったのだという。また、家庭での問題もなさそうだという。
真壁は、「なんか不自然。隠してることあるんじゃないかな。今時、あんな熱心な教師、いるのかな」と言う。
俊介の母親・愛に話を聞くと、「イタリアに行くのを楽しみにしていました。やっかみを受けて、他の生徒に飲まされたのよ」と言う。さらに、「最近、塾をたまにサボっていて、少し成績が下がっているようでした」と証言する。
沢本が、春日家を訪れてくる。沢本と俊介の母親の関係は悪いようであり、母親は「あなたの顔なんか見たくもない」と言う。
俊介の母親は、「愛」という名前であり、「沢本先生と偶然同じ名前」であると言う。そして、「あの女の授業で倒れたんですよ。あの女がしっかりしていれば、こんなことにはならなかったはずです」と言う。
真壁は、沢本に「生徒の事情聴取のときに、毎回、話の腰を折ってました。生徒たちに話されたら困ることでもあるんじゃないですか」と言う。そこで沢本は、「春日君は、いじめを受けていたんです。私は相談を受けていたんですが、解決することができませんでした。もしそれが明るみに出たらと思うと言い出せませんでした」と言う。だが、イジメていた相手の名前は、報復を恐れて話さなかったのだという。
だが、小石川春夫(小日向文世)たちが生徒に話を聞くと、「先生の思い込みじゃないかな。いつも補習室に一緒にいて、春日君をひいきしてたから」と言う。また、倒れる直前に特に授業でやった内容である、『万葉集』の「相聞歌」を教えるなど、沢田はおかしかったのだという。
俊介は意識が戻ったが、会話はできなかった。
小石川は、校長に「春日君を沢田先生がひいきしていたということはありましたか?」と話を聞くと、「事情がありまして…」と言う。
真壁は、沢田に「事情聴取を」と言うが、「事情聴取は任意のはずです」と拒否する。真壁は、「会話ができない」という俊介の状態を知り、「沢本は何かを隠しているはず」と考える。さらに、沢本が俊介の部屋に上がりたがったことから、「何か部屋にあるのか」と考える。
真壁は、古典の問題集に「木曜日5時補習室に」「先生のことが好き」「私も」という文字があることに気づく。そのことを知った俊介の母親は、「だから殺人犯の娘はイヤだって言ったのよ」と叫ぶ。
沢本の母親は、内縁の夫を殺害した。夫が娘を虐待していたことから、母親は夫を殺害したのだった。
その事実を、弁護士である俊介の父親は知っていた。そして、その夫を問い詰め、俊介の母・愛は沢本の母親が犯した罪を知る。そのことを校長にも抗議し、事あるごとに批判するようになったのだった。
沢本は、辞職願を提出する。「春日君をあのような状態にしてしまった、その責任をとります」と沢本は真壁に言う。だが、真壁は「お陰様で、真相にたどり着けました。お話を聞きたかったら、ぜひ事情聴取に応じてください」と言う。そして、挑発するかのように、相聞歌のことを口にするのだった。
沢本は、俊介の入院する病室を部屋の外から覗いて立ち去った。その翌日、沢本は聴取に応じるのだった。
中田は、梶山勝利(田中哲司)に「真壁さんをこの件から外してください。彼女は、相手を傷つける可能性がある」と言うが、梶山はあくまでも真壁を担当にする。
真壁は、俊介の病室を訪れ、「沢本さんが退職されることになりました」と報告する。すると、俊介は明らかに動揺した表情を浮かべる。
沢本の事情聴取が行われる。そこで真壁は、俊介の古典の問題集を見せる。「今時めずらしい肉筆の恋文」と言う。だが、沢本は「春日君は、将来、小説家を目指していたんです。そこで、疑似での恋人同士のやりとりをして欲しい」と言う。
中田と真壁は、わざと喧嘩するかのようなやりとりを行い、中田は沢本の味方をするふりをする。「沢本先生、本当のことを言ってもらえませんか?春日君と一体、何があったんですか?」と訊ねる。
「これ以上、先生が苦しまないように、真実を」と中田は言い続けるが、真壁は「授業の一環です」と言い続ける。そんな沢本に、中田は「まだそんなことを言ってるのか!真実を伝えるのが教師の役割じゃないのか!」と激昂してその場を立ち去る。
真壁は、「すみませんね…ちょっと落ち着きましょう」と言う。そして、「今のやりとりを見ていて、ようやく分かりました。あなたは、話さないんじゃなくて、話せないんじゃないでしょうか」と言う。
さらに、「仮説を話します。それに答えは求めません」と言う。沢本は、母親の罪のことでで、春日の母親は執拗に批判してきた。溜まりに溜まった怒りのため、沢本は俊介を誘惑した。憎い女の大事なものを奪おうとしたのだった。
だが、舞い上がった俊介に恐ろしくなった沢本は、別れを告げる。だが、俊介は「会ってくれないなら、みんなにバラす。淫行だぞ」と脅すようになる。
真壁は、「あなたは、大変な思いをしたんですね…あなたのことを理解したいんです」と言う。だが、沢本は「あなたには、絶対に分からない!あなたなんかには…」と言う。
そこで沢本は、「あの子ね、旅行に行きたくないって言ったの…そこで、『仮病を使えばいい。みんなの前で倒れれば、お母さんも信じる』と言った」と話す。
相聞歌で、俊介を当てたのが合図だった。その合図で、沢本は倒れたふりをしたのだった。生徒たちを自習室に行かせた後、沢本は「これを飲むと落ち着く。私がいつも飲んでる薬なの」と、青酸ソーダ入りのカプセルを渡した…と沢本は明かす。
青酸ソーダ入りのカプセルは、母親が自首する直前に渡したものだった。「母ちゃんのことで耐えきれないほどの苦しみを感じるようだったら、この薬を飲みなさい。でも、限界まではどうにか生きて」と渡したのだった。
「どうして真相を教えてくれたの?」と訊ねる真壁に、沢本は「どうしても這い上がれない、絶望の淵にいる人間がいるって、思い知らせたかったのよ!」と言うのだった。
なぜ殺人を犯そうとしたか、その動機については、「今回ばかりは耐えきれなかった…」と言う。沢本は、俊介の母親に「同じ名前でも、あなたと私は全然違うの」と言われたと明かす。
真壁は、「勝手に絶望なんかしないで。春日俊介君、回復する見込みがあるそうよ。ただ、何も話したくなくて、口を閉ざしているのかもしれないって…あなたは、罪を償って俊介君に謝ることがまだできる」と言うのだった。
沢本は、殺人未遂容疑で逮捕されることになった。そして、真壁は、中田が「不遇の人間は、敵が味方になることや、味方が敵になることに弱い。私がまず、味方から敵になるので、真壁さんには、敵から味方になってもらいたい」と言っていたことを明かすのだった。
真壁は、沢本の事情聴取の資料について、「ふたりの愛」とタイトルを告げる。
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