簡単なあらすじ
1) 建築会社社長・小泉正隆(入江雅人)の自宅プールで、男の遺体が発見される。第一発見者および通報者は正隆の妻・マユミ(酒井美紀)であり、夫婦ともに「見知らぬ男」であると言う。だが、自宅から血痕が発見されたこと、オウムが「死ね」などと言っていたことから、夫婦は死体遺棄容疑でまず事情聴取を受けることになる。
2) 取り調べを依頼された緊急事案対応取調班は、夫婦をそれぞれ事情聴取する。そこで夫婦は互いをかばうかのように「私が突き飛ばして、頭を打って死んでしまいました」と言う。一見、夫婦睦まじいように感じられた。だが、離婚調停中である梶山勝利(田中哲司)は「あり得ない」と懐疑的な見方をしていた。
3) 夫婦仲は悪く、正隆は秘書・日高律子と不倫をして別れたがっており、マユミも不倫を調査を探偵に依頼していた。その探偵というのが、被害者の藤田敏樹であった。藤田は調査対象者を恐喝して、告訴されていた過去があった。一方、夫婦は証言を変え、「イシハラさんがやった」と言い出す。口裏を合わすことができないにも関わらず、どうして同じ人物がやった、と言い出したのか、と真壁有希子(天海祐希)たちは不思議に思う。他の特徴は全て一致したが、年齢が正隆は「50歳」、マユミは「37歳」と証言する。
4) イシハラ氏は実在し、現在の年齢は50歳、そして夫婦仲がよく、イシハラ氏がオウムを小泉夫婦に預けるようになった当時は37歳であることが判明する。つまり、正隆は現在の年齢、マユミは「夫婦仲がよく、イシハラ氏と交流のあった当時の年齢」を証言したのだった。
5) 律子が会社の現金を持ち逃げしようとしていたことを知り、正隆は愕然として真相を語りだす。藤田に「会社のカネ、横領してるだろ。2千万円をよこせ」と横領され、夫婦は藤田と揉み合いになった。結果、藤田は頭部を強打して死亡。夫婦は口裏をあわせたのだった。
詳しいあらすじ
建築会社社長・小泉正隆(入江雅人)の自宅プールで、男の遺体が発見される。第一発見者および通報者は正隆の妻・マユミ(酒井美紀)であり、夫婦ともに「見知らぬ男」であると言う。
捜査一課の刑事・渡辺鉄次(速水もこみち)と監物大二郎(鈴木浩介)が、マユミに事情聴取をしていると、仕事場にいたという正隆が帰宅してきた。そんな中、玄関近くの床から、ルミノール反応が見られ、さらにはペットのオウムが「死ね!」と言うのを聞いて、監物たちは夫婦に任意同行を求める。
緊急事案対応取調班は、夫婦の取り調べを依頼される。正隆は、夜10時に仕事場を出て、その後、深夜に仕事場へ戻っていることがコンビニの監視カメラ映像で明らかとなり、正隆は「道で絡まれて、突き飛ばしたら頭を打って倒れてしまった。なんとかしようと自宅に連れ帰ったのだが、すでに死亡していた」と証言を変える。
一方、妻・マユミの方は「男性は、街で声を掛けられた。ナンパされて、その後、ストーカーのように自宅まで侵入された。その時に、怖くなって突き飛ばし、死亡してしまった」と証言する。
正隆、マユミは夫婦揃って「自分がやった」と互いを庇っているように見え、一見、夫婦睦まじいように感じられた。だが、離婚調停中である梶山勝利(田中哲司)は「あり得ない」と懐疑的な見方をしていた。
そんな中、被害者の身元が判明し、探偵事務所に勤める藤田敏樹という人物であると判明する。藤田は、関西で以前にも探偵事務所に勤務していたが、告訴され、上京していた。藤田は対象者を脅迫するようなことを行っており、現在の勤務先でも「辞めてもらおうと思っていた」と明かされる。
そして、マユミは藤田を雇っていた。「面識がない」というのは明らかなウソであった。その事実を突きつけると、マユミは「ジョギング仲間のイシハラさんがやった」と言うのであった。藤田に言い寄られている際に、イシハラがやってきて、助けてくれたのだという。
イシハラ氏について正隆も知っているようであり、同じく「イシハラさんが殺した」と言うのだった。イシハラ氏の情報について、夫婦は「証券会社に勤務している男性で、右の口角のところにほくろがあった」と、示し合わせたように言う。しかし、夫婦は互いに隔離されており、口裏合せすることはできなかった。
ところが、イシハラ氏の年齢について、マユミは「37歳」、正隆は「50歳」と言っており、その点だけ大きく異なっていた。
秘書・日高律子は、正隆と不倫関係にあった。正隆からもらったと思われる、高そうな指輪をしていた。そんな律子に、小石川春夫(小日向文世)は「あなたの年齢では似合わない」などと言う。
その後、律子は小石川に会い、「イシハラさんというのは、東都証券の石原さんですか?」と実在する人物であると言う。さらに、「社長は、私に『2人だけの城を作りたい。だからこそ、あの嫁には1円たりとも渡したくない』と言っていました。この指輪は、社長にお返しください。会社は辞めます。…今後、どうするかはまだ分かりません」と言って涙ながらに立ち去る。だが、律子は嘘泣きであり、監物たちは律子の尾行を行う。
石原氏に会いに行くと、彼は以前、小泉夫妻がマンションに住んでいた時の近隣住民であることが明らかになる。そして、オウムのピーコの前の飼い主だった。石原氏の家は放火で焼けてしまい、ピーコを飼い続けることができず、それ以降、小泉夫婦が飼うことになったのだった。
当時の石原氏の年齢は、37歳であった。そして、現在の年齢は50歳。このことから、石原氏の年齢について夫婦に差がある理由は、そこにあると真壁は考える。
その後、ピーコの飼い主として、夫婦を同席させて事情聴取を行う。一方、小石川たちは、海外へと向かおうとしていた律子を捕らえる。律子は、会社の現金を奪い、100万円の現金、そして1,000万円相当の貴金属に換えて出国しようとしていたのだった。
正隆は、黙秘しようとしていたが、律子が自分を裏切って逃亡しようとしていたことを知り、愕然とする。さらに、正隆が律子との新たな生活のため、1億2千万円を横領していたことを突きつける。
正隆はついに、真相を語り始める。藤田は、不倫調査の中、正隆の横領に気づいて、「2千万円よこせ」と恐喝してきたのだった。夫婦と藤田は揉み合いになり、ついには壁に激突して藤田は死亡してしまったのだった。
普段仲が悪く、ケンカのたびに「死ね」などと罵りあう2人は協力し、口裏をあわせることにしたのだった。正隆が会社へと向かったのは、裏金を隠すためだったのだ。
正隆は、「最後の共同作業になったな」などとつぶやく。
真壁は取り調べを行った資料に、「オウムは見ていた」とラベルを貼るのだった。
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