半地下で暮らすキム一家、その家長であるギテクは、大豪邸に暮らすIT社長であるパク・ドンイクを刺殺する。
パク家の地下に、こっそりと住んでいたオ・グンセが突如パーティーに乱入し、パク・ドンイクの妻であるヨンギョを刺し、ギテクは彼女を救命しようとしていたこともあり、急に豹変した印象を受けるため、「なぜ?」と思う方もおられると思う。
その理由として「ニオイ」がキーワードとしてあると思われる。
「半地下」のニオイ
パク家の長男であるダソンは、キム一家から「同じニオイ」がすることを指摘する。家族であるとパク家に知られてしまうとまずいため、ギテクたちはその言葉に動揺する。
息子のギウは自宅に戻り、「洗濯機を別に回す」ことを提案するのだが、ギテクの妻・チュンスクは「半地下のにおい」であり、「ここを出る」ことで消えるのではと言う。
ギテクの体臭
ドンイクは、ギテクがテーブル下に潜んでいるとは気づかず、「あのニオイがする…キム運転手のスメル。古い切り干し大根…それも違う、煮洗いした布巾のニオイに近い」と顔をしかめて言う。
さらに、「キム運転手は、言葉や行動が度を越す瀬戸際だけど、絶対に越さない。それがいい、認めるよ。でも ニオイが度を越しやがる。車の後ろの席まで…地下鉄の中のニオイとも似てる、乗客特有のニオイがある」とギテクの体臭について話をする。
ギテクは悲しく寂しい表情をして、自らのシャツのニオイをたしかめる。この「ニオイ」こそが半地下の家族、そしてパク一家とは決定的に違うことを示しているかのようである。
ドンイクにニオイについての話を聞かされた妻・ヨンギョは、ギテクの運転する車に乗った際、顔をしかめる。ギテクは、また自身の体臭が気になる描写がある。
オ・グンセのニオイ
オ・グンセは、ギテクの妻にバーベキュー棒で刺されて死亡する。ちょうどグンセの遺体の下に車のキーがあったため、ドンイクはグンセの体臭に顔をしかめながら、足で遺体をどかしながら鍵をとろうとする。
自分も同じ側であるグンセが、「体臭への嫌悪感」を示されながら足蹴にされているのを見て、ギテクは突発的にドンイクを刺殺してしまう。
上記のような「ニオイ」が一つのキーワードとなり、最終的にはグンセに自らを重ねて怒りとなってギテクはドンイクを刺したのだと思われる。
なお、もう一つのキーワードとしては「格差」があり、ギテクの息子もまた、パーティーに参加する資格を得ながら「みんな優雅だな。急に集まったのにクールで、凄く自然だ…ダヘ、俺は似合う?似合ってるか?ここに」と、いくら身分を偽ろうとも感じずにはいられない格差を、パーティーに集う人々を見て自覚するのだった。