岸京一郎(長瀬智也)は、アミノ製薬のMR・火箱直美(松井玲奈)から、新薬AM105の治験への協力を依頼される。岸はあっさりと了承し、火箱は驚く。
AM105の治験が、壮望会 第一総合病院で開始される。AM105とエルロチニブ併用による治療を切望していた末期膵癌患者・松田幸司(小出恵介)は、治療が開始される。松田の担当医・稲垣大道(平山祐介)と宮崎智尋(武井咲)の前で、松田は治療について話を聞く。
岸は、細木まどか(小雪)から森井久志(野村周平)が新東京医療センターの救命部で技師として働いていると知らされる。「どうよ?森井君を奪われた気分は?」と訊くが、岸は無言だった。
松田が、火箱に好意を持っているようであったので、宮崎は松田に連絡をとって、2人を引き合わせる。仲睦まじい様子に、宮崎は微笑ましく思う。
岸は、火箱から預かったAM105の症例報告書を読んでいた。すると、森井の働く新東京医療センターでの末期膵癌症例で、「退院後、再来院せず」という記載があったことに気づく。岸は、森井に依頼して患者のことを調べてもらう。患者は、AM105によって腫瘍が消えたことになっていたが、退院後は受診していなかった。森井は、その患者が救急搬送されてきて、亡くなったのを救急外来で見ていた。
中熊薫(北大路欣也)教授は、「アミノ製薬、何かをやっているぞ」と、怪しい点について指摘する。岸は、火箱を呼んで、症例報告書が改竄されているのではないか、と言う。「有害事象があまりにも少ない」という点についても怪しい、と岸は指摘する。
火箱はそれらの指摘を否定するが、岸が「この患者が退院後2日で急性膵炎による多臓器不全で亡くなっているのに?」と指摘すると、顔色を変えて「すぐに調べます」と、亡くなった患者について調べに行く。火箱は、患者遺族のもとを訪れるが、副作用で亡くなったという認識はなかった。
火箱はAM105の副作用を疑い、「投与を待ってもらえませんか?」と言う。だが、治療を続けると松田は頑として聞かない。「アンタまでダメになったら、AM105が葬られてしまうんだよ!」と激昂する。「AM105が使えず、助けられる患者まで助けられなくなってしまう」と火箱は説得するが、松田は「再調査を待ってはいられない。俺は、1ヶ月も待っては居られないんだ」と言う。
火箱は、間瀬辰人(髙嶋政宏)部長に問いただす。すると、間瀬はあっさりと改竄の事実を認める。「どうして不利な情報を載せなきゃいけないんだ?」とあっけらかんと言う間瀬に、火箱は言葉を失う。
火箱は、その足で岸のもとを訪れる。「松田さんを説得するのを手伝ってください」と言うが、岸は「俺の仕事じゃない」と断る。火箱は、「私には兄がいました。22歳という若さで、肺癌で亡くなりました。…今も私は兄の死から抜け出せないでいるんです。気づいたら、薬学部に進み、AM105を世に出すために頑張ってきました…でも、今はどうしていいか分からない」と言う。岸は火箱に、「じゃあ、協力してください」と言う。
宮崎は、松田に治験から下りるように再度説得する。だが、松田は「俺は治験から下りない」と言う。松田は、宮崎に頼んで火箱の電話番号を聞き出す。彼は火箱をデートに誘う。一緒に花見を行い、そこで松田は「今日、MRIをとったら、腫瘍の大きさ半分になってたんですよ」と報告し、火箱は喜ぶ。だが、「副作用が出ているようで、背中が痛むんです…」と、松田は苦しみだす。
松田の主治医・稲垣は、岸に「腫瘍の大きさは小さくなっているが、膵臓の機能低下が止まらないんだ」と告げる。急性膵炎に一歩手前の状況であり、稲垣は、火箱とのデートも止めたが、松田は無理を押して外出したのだった。7日間で2割弱の患者が死亡する可能性があり、松田は危険な状態にあった。
そんな中、アミノ製薬・間瀬部長がやってくる。岸は、「AM105で、副作用が起きる仕組みや理由は分かってないんでしょ?」と言い、間瀬は「分かりません。体内での薬物動態は全て把握することは困難です」と言う。
間瀬は、「岸先生には、貴重な患者を治験に当ててくださいました。亡くなったら、剖検して膵臓組織のブロックを寄贈してください」と言う。岸はその申し出を承諾するが、治験報告の改竄は断固として拒否する。
松田は、不幸な生い立ちもあり、「運の悪さに負けたくなかったんだ」と、AM105を使用し続けた理由を語る。そして、「でも、AM105を使わなければ、君に会えなかった。君に会えて良かった」と言う。そんな松田に、火箱はキスをする。
間瀬は、「彼を治験対象から外そう」と言う。副作用が出ているため、治験を製薬会社側の判断で、外そうとしているのだった。そんな勝手な判断に、宮崎は間瀬に抗議する。
松田は亡くなり、宮崎は遺体を呆然と見下ろしていた。剖検が行われることになり、宮崎は「私にやらせてください」と解剖を申し出る。膵体部の腫瘍は直視では分からないほどに縮小していたが、膵臓は壊死性膵炎を起こしていた。
宮崎は、中熊教授に呼ばれた「がん治療における臨床症例検討会」と出向く。そこには、まどかと森井、間瀬や火箱もいた。中熊教授の名前が呼ばれるが、登壇したのは岸だった。
「演題は、進行膵癌に対する化学療法です」と岸は言い、AM105の副作用で亡くなった松田の症例を報告する。岸は、間瀬の前で「アミノ製薬から、治験報告書から削除するよう求められた。それを拒否すると、その患者の治験から手を引くと一方的に通告された。…副作用を隠蔽した、これは犯罪的行為だ」と断罪する。
さらに、その他の薬剤でも隠蔽行為が行われたと告げる。そのことを岸に教えたのは、火箱だった。
かつて、森井は岸に「どんな医師になりたいんだ?」と訊かれた、その答えがはっかり分かった。「僕は、医師になりたいんじゃない。患者の命を救うため、100%の仕事がしたいんだと分かりました」と岸に告げると、岸は「戻ってきてくれないかな?」と、森井に検査技師として戻るよう依頼する。
会場の外に出ると、そこには満開の桜が咲き誇っていた。森井は第一総合病院に戻ると、岸は相変わらず臨床医に電話で「君が医者でいる限り、僕の言葉は絶対だ」と言っていた。
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