壮望会 第一総合病院の病理診断科は、セカンドオピニオンなどに対応する診療相談外来を創設することになる。病理医・岸京一郎(長瀬智也)は、その外来を担当することになる。
だが、「患者と会わなくて良いが病理医の特権」と言って憚らない岸が我慢出来るか、疑わしかった。森井久志(野村周平)は1日ぐらい大丈夫だろうと予想するが、細木まどか(小雪)は半日持たない、と予想する。
岸は、ほどなくして外来を宮崎に任せて病理診断科に戻ってきてしまう。森井、中熊薫(北大路欣也)教授、佐田直人(津田寛治)部長は呆れてしまう。仕方なく、宮崎智尋(武井咲)は1人で外来を担当することになってしまう。見かねた中熊は、宮崎の助けに入ることにする。
診療相談外来に、須藤由美(赤間麻里子)が高校生の娘・玲奈(村上穂乃佳)を連れて相談にやって来る。玲奈は、3年間マイコプラズマ肺炎を治療しており、抗生物質が3回変えられていた。由美は、耐性菌が出現していると説明されていたが、納得できなかった。
宮崎には、その治療は妥当に思えた。薬剤耐性について説明を求められ、宮崎は困ってしまう。そこに中熊が現れ、「お母さん、さぞかしご心配でしょう。…大丈夫。次の薬は長く使えるでしょう」と告げる。そして、娘の玲奈だけを残し、母親を退室させる。
中熊は、「薬をちゃんと飲んでない理由は、お母さんなんだね。君も大変だね」と言う。玲奈は、口うるさい由美に反抗して薬を飲まずにいたのだった。勝手に抗生剤を飲んだり飲まなかったりすることが、耐性菌を出現させた理由だった。
中熊が助けてくれたことに対し、宮崎は感謝する。中熊は、宮崎に対して「患者を突き放してみるんだよ。そうすると、見えてくることがある。普段、患者に接しない病理医だから、そういうことができるのかもな。…自分なりの患者の診かたを見つければ良いんだよ」とアドバイスする。
梅木みゆき(山崎絋菜)は、息子の悠太が急病で入院して心配する。脱水症を起こしていたことで、医師から「もっと早く連れてこなきゃダメだよ」と叱られてしまう。採血中、息子は呼吸状態が悪化。チアノーゼを呈し、気管内挿管の上、人工呼吸器に繋がれ、入院することになった。
翌日、宮崎の相談外来に、みゆきが訪ねて来た。みゆきは、急病で入院した息子の診断が、次々と変わることに対し、心配していた。担当医・奈良井巧(篠井英介)は、細菌性肺炎と診断し、治療を開始する。紹介状はなかったが、みゆきは、ノートに症状や検査データを詳しく記載していた。
みゆきは、息子が急変したと告げられる。人工呼吸器の圧力に幼い息子の肺が耐え切れず、呼吸状態が悪化していた。担当医・奈良井は、「人工肺を使用したいと思います。同意していただけますね?」と、同意書にサインを求める。みゆきはサインするが、人工肺に切り替えようと抜管したところ、息子は自発呼吸を開始。SpO2も97%まで上昇した。
奈良井医師は、日和見感染症を疑い、基礎疾患としてSCID(重症複合型免疫不全症)があるのではないか、と考えていた。治療法として、造血幹細胞移植を提案され、みゆきは「言われるがまま、同意書にサインをするのはイヤなんです。自分で納得して選びたいんです」とみゆきは話す。
宮崎は、「担当医の紹介状をもらってきて下さい」と伝え、その間に、宮崎はノートを見直す。「CD3 +」と書かれていた。リンパ球のT細胞をカウントしているようだったが、数値はなく、正確な評価はできなかった。
みゆきは、息子の担当医・奈良井(篠井英介)にセカンドオピニオンのために紹介状を書いてもらうように依頼する。「どちらの先生?…壮望会には専門科の先生はいません。僕以上に、この疾患に詳しい医師はいません。医師と患者、信頼がなければ治療できませんよ」と言う。
みゆきは、宮崎に「もう、そちらには行きません。こちらの病院で治療を受けます」と告げる。「納得されたんですか?」と宮崎は訊くが、みゆきは答えなかった。
岸は、診療情報提供書を担当医に依頼。そこには、SCIDと診断名が書かれていたが、サイトカイン、CD2、CD3、CD4、CD8などの血液検査データ、胸腺CTの所見などが書かれておらず、診断には不十分であると考えられた。
宮崎は、みゆきに電話を掛けて呼び出す。診療相談外来に案内したところ、岸がいて宮崎は驚く。岸は、「奈良井先生の治療を受けるのが、正しいと思います。患者が医師の診断について理解しようとしても無理です。診断は、一つの方が良い…でも、これは奈良井先生の診断が正しかった場合です」と言う。
診療情報提供書を見て診断に疑いを持った宮崎は、「普通、これだけのデータでは、SCIDと診断しません。ですが、全ての行うべき検査を行ったのか、確認すべきだと思います」と進言するが、みゆきは「奈良井先生の機嫌を損ねたら…」と恐れる。
岸は、「まるで子供を人質にとられているようですね。そんな奈良井先生との間に、信頼関係はあるんですか?」と指摘する。さらに、「あなたが一番望んでいることはなんですか?」と問いかけ、みゆきは「悠太が元気になることです」と言う。
「助けるためには、100%の診断が必要です。あなたは運がいい。ここなら100%の診断を出しますよ」と告げ、奈良井医師に任せるだけではなく、確定診断・治療のため、行動を起こすべきであると言う。
みゆきは、宮崎・岸に悠太を委ねる。みゆきは、「奈良井先生に、必要な検査をしたのか電話をしてください」と依頼する。岸は、奈良井医師がまともに取り合わないことを予想し、「必要なのは血液検査のデータ、胸腺CTの画像だよな」と言い、検査を無断で行うように宮崎へ迫る。宮崎は、仕方なくその案を受け入れて動き出す。
宮崎は、悠太が入院する中央医療センターに出向く。そんな宮崎に、岸は電話をかけ「血液ではなく、患者を持ち帰れ」と指示。宮崎は、輸液ポンプを止め、みゆきとともに悠太を連れ出す。
さっそく血液検体を提出。胸部CTの撮影も完了した。リンパ球のデータも正常、胸腺も正常だった。SCIDは否定された。栄養管理などがしっかり行われた結果、悠太は免疫機能を快復していた。岸は、悠太が栄養失調であったと結論づける。
宮崎は、「移植の必要はありません。1週間もすれば退院できます」と言い、みゆきは安心した様子だった。「結局、悠太はなんだったんでしょうか?」と尋ねられ、宮崎は「悠太君が免疫機能が低下した理由は、栄養失調でした」と告げる。
みゆきは、児童相談所に通報されることを恐れるが、「大丈夫。何か力になれることがあるはずです」と言う。そこで、みゆきは「悠太は姉の子です」と明かす。姉は悠太の育児放棄をして行方をくらませていた。
みゆきは、母親のフリをして悠太を入院させたのだった。そんなみゆきに、宮崎は「1人でよく頑張りましたね」とみゆきに寄り添う言葉を掛ける。みゆきは溢れる涙を止めることができなかった。
みゆきは、姉に連絡をとり、2人で育児を行っていくことになった。「そんな家族のゴタゴタにまで首を突っ込んでんのか?…患者はウソをつくこともある。流されるべきではない」と岸は言うが、宮崎は「私は病理医として、患者さんが納得して治療を受けられるようにしたいんです」と言う。
放射線診断科の高栄晋太郎が、岸に呼ばれて病理診断科へやってくる。高栄は、患者に入れ込み過ぎる宮崎をしっかり教育すべきである、と岸に言う。そんな中、宮崎について岸は高栄に”ある依頼”を行おうとしていた。
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