岸京一郎(長瀬智也)は、朝から電話で相手を怒鳴りつけていた。岸は、宮崎智尋(武井咲)に「今日から、診断担当してもらうから」と病理診断を行うよう指示する。宮崎は「診断のチェックはどうするんですか?」と方法を尋ねるが、岸は「確認なんかしねぇよ。面倒くせぇ。…ウチの評判落とすなよ」と言い放つ。
病理診断の専門医ではない宮崎は、「そんなのあり得ません」と言うが、岸はそんな宮崎に構わず出て行ってしまう。
宮崎は、ロビーで腹痛によりうずくまっていた白根由希子(原田佳奈)、夫の智文(清水伸)に会う。気遣う宮崎に、由希子は、大腸の内視鏡検査を受けるのだと言い、宮崎はそんな彼女を案内する。夫・智文は、妻の前でよく咳をしていた。
岸は、消化器内科のカンファレンスに出席する。宮崎が遅れて会議室に入ると、岸はいつものように問題点を指摘。消化器内科医・中西篤也(中村俊介)は、臨床医には珍しく、岸の意見に最初から同意し、「患者の見た目に囚われ過ぎじゃないですかね」などと言う。
中西は、内視鏡検査を控えていた由希子の鑑別診断を岸に求める。彼は、腹痛、発熱、慢性的な下痢を呈しており、細菌性腸炎、アメーバ症、クローン病などの可能性を提示するが、岸は口をつぐむ。中西は、回盲部(小腸と大腸のつなぎ目)に病変があるとさらに指摘するが、岸は自説を述べようとはしない。
由希子の内視鏡検査が実施される。採取した組織片が、病理診断部に送られてくる。びらんや好中球浸潤などがみられるが、確定診断には至らなかった。中西はクローン病を疑うが、岸は「確定できない」と答える。中西は、「こういう時は、慎重にいく必要がありますね」と言い、検査を繰り返すことを考える。狭窄部より先に病変があるのではないかと考え、中西は2度目の大腸内視鏡検査を実施する。
岸は、全身検索の実施を提案する。だが、中西は「大腸に炎症がみられてる以上、全身検索は無駄に終わる可能性がある」と反論。さらに、中西は「内視鏡をもう一度行ってみます」と、3度目の大腸内視鏡検査を実施すると言う。そんな中西に、岸は「何もやらないよりはマシですよね…」と言う。
さすがに3度目の内視鏡ということもあり、由希子は不安になって宮崎に相談する。宮崎は、診断がつかず、検査を繰り返されることを不安がる由希子の話を聞く。そんな妻の横にやってきた夫・智文は、やはり咳をしていた。
中西は、3度目の大腸内視鏡検査を行っても病理的に確定診断が出ないこと苛立っていた。内視鏡検査で、敷石状変化や狭窄などが見られていることで、「クローン病の情況証拠は揃っている」と中西は言うが、岸は「情況証拠で確定診断はできない」と告げる。
岸は、全身検索をするように再度提案するが、中西は「…もう一度、大腸内視鏡検査を行います」と、4度目の検査を実施すると言い出す。
岸は、森井とともに「勝手に血算・生化・腫瘍マーカーなどの検査を出しちまおう」と言う。中西の「帳尻は自分で合せる」という言葉を逆手に取り、勝手に血液検査を実施する。
宮崎は、中熊薫(北大路欣也)とランチを行っていた際、岸と中西の話をする。今回の一件で、宮崎は「岸先生は、中西先生を困らせるためにやってるんじゃ…」と言うが、中熊は、「あんな風に教えたつもりはないんだけどな…アイツは、執着心が強いから」と苦笑いする。
検査技師・森井久志(野村周平)は、岸が帰宅したのを見計らって、宮崎を「今夜、空いてます?」と誘う。宮崎が居酒屋に向かうと、そこにアミノ製薬・火箱直美(松井玲奈)がいた。直美は、13回誘ってようやく一緒に飲んでくれたと喜ぶ。
その居酒屋で、客の1人が倒れる。森井は、的確に身体所見や服薬歴、既往歴、酒量などを救急隊員に告げる。
岸は、宮崎が帰ったのを見計らって宮崎の病理診断報告の確認を行っていた。そこに細木まどか(小雪)がおり、2人の様子を勘違いした宮崎は、傘を手にしてすぐに出ていこうとする。
4度目の大腸内視鏡検査が実施され、病理では確定診断がつかないにも関わらず、中西は「クローン病です」と由希子・智文夫婦に告げる。由希子は、「ようやく確定診断がつきました」と、治療が開始したことに一安心した様子だった。
岸は、病理診断の結果を報告するとともに、「これだけ内視鏡をやっても何も出てこないなら、全身検索をやっていただけないでしょうか」と提案する。だが、中西は「もうクローン病の治療を開始しました」と言う。
岸は、「それが見切り発車ということを、患者に伝えたんですか?…自分が信じていることを告げたのか?それをウソと言うんだ」と批判する。さらに、岸は、病理組織のチールネルゼン染色でわずかに陽性であることから、感染症を疑っていると告げる。
そんな中、中西に由希子が急変したと看護師からのコールがある。由希子は、腹痛が増悪し、喀血までしていた。その情報から、岸は「本人や近親者は咳をしてなかったか?」と尋ねる。宮崎は、夫が咳をしていたと伝える。岸は、由希子が夫の結核により感染した腸結核・肺結核であると診断する。
由希子はクローン病ではなく、腸結核を発症し、腹痛などの症状が現れていたのだった。だが、その時点では肺結核は発症しておらず、中西がクローン病と考え、免疫抑制剤(インフリキシマブ)を投与したことで肺結核を発症・喀血してしまったのだった。宮崎は、救急対応および止血のための緊急気管支鏡準備などの指示を行い、由希子を救う。
中西が、クローン病という診断をプライドから曲げられず、必要な検査を行わずに自分の診断に固執し続けたことが問題であると岸は指摘する。さらに、「君が医者であるかぎり、僕の言葉は絶対だ」と岸は告げる。
翌日、宮崎は病理診断科にかかってきた電話に出る。そこで、必要な検査をしようとしない医師に対し、宮崎はまるで岸のように殴りこみに行く。
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