簡単なあらすじ
1) 2054年、犯罪予防局が設立され、まだ起こっていない凶悪事件に対して、予知による犯人逮捕が行われていた。犯罪予防局に勤務するジョン・アンダートン(トム・クルーズ)刑事は、犯罪を未然に防ぐために働いていた。そんな中、自分自身が犯人となるという予知が行われ、逃亡犯となってしまう。
2) ジョンは、調査を行う中で、予知を行う「プリコグ」の内の1人であるアガサ(サマンサ・モートン)が映像を見せた「アン・ライブリー」という女性が溺死させられた事件を再調査したことが原因で、自分は罠にかけられたことに気づく。
3) アン・ライブリーは、アガサの母親だった。アンが、薬物依存から立ち直り、アガサと一緒に暮らそうとしていた。だが、予知能力の高いアガサを欠いてしまっては、システムが立ち行かないと考えたラマー・バージェス局長(マックス・フォン・シドー)は、アンを殺害したのだった。そして、アンの事件を再調査し始めたジョンを罠にかけた。
4) ジョンは、アガサが予知したものの、削除されてしまったアン殺害の映像により、バージェス局長の罪が明らかとなる。犯罪予防局は解体され、アガサたちは自由の身となった。そして、ジョンは妻・ララ(キャスリン・モリス)とよりを戻し、妻は子供を宿すのだった。
起:予知
2054年、犯罪予防局が設立され、まだ起こっていない凶悪事件に対して、予知による犯人逮捕が行われていた。予知は、「プリコグ」という3人の予知能力者によって行われていた。彼らの予知は確実に当たり、ワシントンD.C.における計画殺人の発生率はほぼ0件になっていた。
起こるのは、怒りに任せて突発的に起こるような計画性のない殺人だけとなり、その事件の犯人を犯罪予防局の刑事たちは、未然に逮捕していた。
犯罪予防局に勤務するジョン・アンダートン(トム・クルーズ)刑事は、6年前にプールで一緒に遊んでいたところ、息子が行方不明になってしまった。そのことをきっかけに、「犯罪を防ぐ」ということにのめりこんでいく。だが、息子が姿を消してしまったこと、妻・ララ(キャスリン・モリス)と別居中ということもあり、彼は寂しさを埋めるかのように、ドラッグに依存していた。
犯罪予防局のシステムが全国導入されるようになることに先立って、司法省のダニー・ウィットワー(コリン・ファレル)調査官が犯罪予防局の調査に入る。ラマー・バージェス局長(マックス・フォン・シドー)は、ジョンに「全国導入を控えているんだ。ウィットワーから目を離すな」と命じる。
ウィットワーの要請で、普段は立ち入らない「聖域」と呼ばれるプリコグたちのいる場所にジョンは入る。そこで、プリコグの1人であるアガサ(サマンサ・モートン)が、ジョンに「あれを見て」と映像を見せ、訴えかける。その映像は、被害者が溺死させられるという殺人事件のものだった。
承:削除された映像
ジョンは、映像を見た事件を調べ始める。殺害されそうになり、犯罪予知局によって助けられたのは、アン・ライブリーという女性であった。だが、予知局によって命を救われるも、事件後にその女性は行方不明になっているのだという。ジョンは、アガサの予知映像を観ようとしたが、その映像は削除されていた。ジョンは、バージェス局長にその件を報告する。
珍しく、計画殺人が起こるとプレコグは予知した。ジョンは、その映像を見て驚く。その事件の犯人は、ジョン自身だったのだ。被害者はリオ・クロウであるが、ジョンはその男に見覚えがなかった。
ジョンは、拘束されそうになるが、追跡をかわす。ウィットワーが「映像を改ざんしたのではないか」と思い、改ざんが可能なのかどうかを調べるため、ジョンはシステムの考案者とされるアイリス・ハイネマン(ロイス・スミス)に会いに行く。
そこでハイネマンは、
1) もともと、麻薬「ニューロイン」の中毒患者から生まれた子供の治療を行っていた。子供たちは、悪夢を見ており、その悪夢は未来に起こる事件の映像であることに気づいた。
2) 予知システムは、偶然の産物で生み出されたものであり、彼らの見る映像を映し出せるようにしたものである。
3) 3人の予知能力にはばらつきがあり、それぞれの映像に相違があることもある。その際には、3人の内で少数派となる映像(マイノリティ・リポート)は破棄される。その映像を見るためには、そのプリコグの頭にアクセスする必要がある。
と告げる。ジョンは、アガサの脳内に残されたデータを見ようと考える。だが、犯罪予防局に近づくには、眼球を移植する必要があった。そこで、ジョンは闇医者に依頼し、他人の眼球を移植するのだった。
転:予知システムの穴
自らの眼球で犯罪予防局のロックを解除しつつ、ジョンはプリコグに近づく。アガサを連れ出し、ジョンはアガサの脳内にある「マイノリティ・リポート」を探るが、犯人はジョンであることに変わりなかった。そんな中、アガサは再びアン・ライブリーの溺死事件の映像を見せ、何かを訴えかけているかのようだった。
調査の中で、ジョンはクロウがいる部屋を見つける。アガサは「帰ろう」としきりに言うのだったが、ジョンは唯一の手がかりであるクロウに会いに行く。その部屋には、子供たちの写真がベッド上に散らばっていた。その中で、ジョンは息子ショーンの写真を見つける。
クロウは、ショーンを絞殺したと自供する。そんな彼に、ジョンは拳銃をつきつけるも、「逮捕する」と言うのだった。だが、ショーンは「殺してくれないと、家族に金が残せないんだ」と言い、無理やり、ジョンに発砲させるのだった。
ジョンは、アガサとともにその部屋から逃亡する。ウィットワーはその部屋の様子を見て、「証拠が多すぎる」と、不自然に思う。子供の写真をベッド上に散らばらせていたことに疑問を覚えたウィットワーは、アガサの脳内にあったアン・ライブリーの溺死事件の映像を見て、真相に辿り着く。
ウィットワーは、バージェス局長に会いに行く。そこで、ウィットワーは次のような仮説について話す。
1) アン・ライブリーの溺死事件の予知映像と、アガサの予知映像では、波の向きが異なる。つまりは、事件が起きた時刻が異なるのではないか。
2) 真犯人は、殺し屋を雇う。殺し屋にマスクをさせ、アガサを襲う直前にその人物を逮捕させる。その後、真犯人が殺し屋と同じマスクをしてアン・ライブリーを溺死させた。
3) プリコグは、「エコー」と呼ばれる、過去の事件の映像を繰り返し見ることがあった。その「エコー」は、技師によって削除される。実際には、真犯人が起こした殺人事件がエコーと判断されてしまったのだった。
4) このような手を使うことで、真犯人は、犯罪予知局に事件を察知されて未然に防がれることなく、アン・ライブリーを殺害したのだった。このように予知システムの網の目をすり抜けるような方法をとれるのは、システムをよく知るもの以外にいない。
このようなことを説明したところ、ウィットワーはバージェス局長に射殺される。アガサがいない今、その犯罪を予知する者はいなかったのだった。
結:バージェスの選択
ジョンは、ララの家にアガサとともに身を隠す。そこで、アン・ライブリーがアガサの母親であることが判明する。ジョンは、ララに「アン・ライブリーという女性の事件を調べていたため、罠にハメられてしまった」と話す。
ララは、夫・ジョンの無実を信じていた。だが、バージェス局長に相談してしまっていたため、彼が向かわせた刑事たちに、ジョンは逮捕される。
後日、ララはバージェス局長と話をしに行く。「アン・ライブリー」の名前を出しただけなのにも関わらず、バージェス局長は「よく知らないが、その溺死した女性」と口走ってしまい、ララはバージェス局長を疑う。
ララは、刑務所へと乗り込んで、ジョンの眼球を使って彼を脱獄させる。脱獄したジョンは、同僚刑事に電話をかけ、ある映像を流すように言うのだった。
バージェスは、システムの全国導入を祝うパーティ会場でスピーチを行う。その後、ジョンからの電話に出るのだった。ジョンは、バージェスの罪について話す。そして、バージェスの罪を明るみに出す映像をパーティー会場に流すのだった。
バージェスは、アン・ライブリーにアガサを奪われてしまうことを恐れた。アガサは、犯罪予知システムの核となる人物だったからである。そのため、アン・ライブリーを殺害したのだった。
バージェスは、パーティー会場を抜け出す。その先で、ジョンに出くわすのだった。ジョンは、「俺を殺害すれば、捕まる。だが、殺さなければシステムは完璧ではないことが証明される」と言う。プリコグがジョン射殺を予知し、刑事たちが急行する中、バージェスは自らの死を選ぶのだった。
予知システムは廃止され、プリコグの3人は平穏な生活を送ることができた。そして、これまでに「将来起こりうる犯罪」で捕らえられた者たちは、釈放された。
ジョンは、ララとよりを戻していた。そして、彼女は子供を妊娠していたのだった。