簡単なあらすじ
1) 冠城亘(反町隆史)と杉下右京(水谷豊)は、それぞれ別の人物から「工藤春馬」という人物を探して欲しいと依頼される。工藤は、自らブレンドした自家製シガーを作っており、その香りに魅了された2人は、またシガーを分けてもらうため、工藤を探していたのだった。
2) 傷害致死事件の被疑者「野中樹生」の遺体が、山梨県の山中で発見される。野中のそばには、工藤が吸っていたのと同じブレンドのリトルシガーが発見される。そのシガーにブレンドされていた紅茶の葉、コーヒー豆の顧客名簿を突き合わせ、工藤の本名は「石田裕太」であると判明する。右京と亘が石田に会いに行くと、石田は自殺する。
3) 野中が死亡した毒物と、石田が自殺するために用いた毒物は同一であると判明する。さらに、桜子の義父・緒方が転落死した事件にも、野中が吸っていたタバコと同じ銘柄の吸い殻があったことが判明する。
4) 右京は、桜子の義父・緒方の吸い殻にも、毒物が染み込ませてあったのではないか、と推理する。桜子は、緒方から激しい暴力を受けていた。桜子は、当時付き合っていた野中に殺害を依頼。野中は、80万円で毒入りタバコを緒方に渡すよう羽賀に依頼したのだった。その後、野中は傷害致死事件を起こし、羽賀・桜子に逃亡資金を用立ててもらうよう依頼した。その様子を見ていた石田は、友人たちである羽賀・桜子を守るため、野中に接触。意気投合した2人は話し合い、野中は石田の見守る中、毒入りタバコで自殺したのだった。
5) 一方、石田も友人である羽賀・桜子を守るため、姿を消した。そして、右京たちがやってきて、自ら口を封じるため、自殺したのだった。羽賀・桜子は緒方殺害について任意同行を求められ、その前に右京が再現した石田の自家製シガーを愉しむのだった。
詳細なあらすじ
冠城亘(反町隆史)は、特命係に異動するも、事件もなくヒマを持て余していた。杉下右京(水谷豊)は、「人に会う約束がありますので」と外出する。一方、伊丹憲一(川原和久)たちは、捜査一課が1年前から追っていた傷害致死事件の被疑者の遺体が山梨県の山中で発見され、確認しに向かうのだという。
右京は、小料理屋の女将・月本幸子(鈴木杏樹)の紹介で、羽賀(音尾琢真)という男に会い、「工藤春馬という男を捜してほしい」と言う。一方、冠城亘(反町隆史)も桜子(大谷みつほ)という女性から、「工藤春馬という男を捜してほしい」という依頼を受けていた。
羽賀も桜子も、工藤の自家製シガーの香りに惹かれ、知り合ったのだという。「その香りに、心を奪われた」という2人は、週に1度会って、シガーを分けてもらっていた。それだけの関係であったが、「もう一度、あの香りを味わいたい」と、羽賀と桜子は人探しを依頼したのだった。
捜査一課の刑事が確認した遺体は、「野中樹生」という男のものだった。野中は、桜子が吸っていた珍しい銘柄のタバコを吸っていた。そして、傍らにはリトルシガーの吸い殻が発見された。
右京と亘は、同じ人物を追っているとお互いに気づき、一緒に人探しを始める。青木年男(浅利陽介)は、「捜査一課が発見した遺体のそばに、リトルシガーの吸い殻があった」と明かす。
青木は、野中の資料を渡す。野中は、「お前はこんなところにいちゃいけない」という口癖があったのだという。また、野中は、ヤミ金を営む半グレ集団の男を殴り殺した。報復を恐れ、野中は逃亡したのだという。
右京と亘は、野中の写真を羽賀、桜子に見せる。両者とも、地元が近いため、野中のことを知っていた。そして、野中が吸っていたため、同じ銘柄のタバコを2人は吸うようになったのだった。そして、2人とも「チェーンスモーカー」だった。そこで右京は、「工藤さんのシガーを吸えたなら、それを最後の1本にする」と約束してもらう。
青木は、リトルシガーの吸い殻を持参してくる。吸い殻からは、野中のDNAは発見されなかった。吸い殻を分解すると、工藤がブレンドしたものと同様であると判明する。また、その吸い殻には、コーヒー豆、紅茶の茶葉がブレンドされていた。
紅茶の茶葉購入者の顧客名簿、コーヒー豆購入者の顧客名簿を突き合わせ、共通している石田裕太という男を見つけ出す。桜子、羽賀に確認すると、「工藤」という男は、石田裕太で間違いないという。
石田は、風俗店の運転手だった。自宅に向かうと、石田は酷い咳をしており、右京が止めるのも聞かずにシガーを吸う。石田は、急に苦しみだして倒れ込む。彼は、毒物をシガーに染み込ませていたのだった。また、野中の死因も同様の毒物だった。さらに、野中の遺体付近にあったシガーから検出されたDNAは、石田のものと判明した。捜査一課は、「捜査をやめろ」と迫る。石田は、野中と同様に「こんなところにいちゃいけない」という言葉を口癖にしていた。
桜子の過去を探ると、義理の父親・緒方が事故現場で転落死していた。緒方が死亡した現場付近に落ちていた吸い殻の銘柄と、野中の吸っていた銘柄は同一のものと判明する。緒方は、「若い男にもらったようだ」と元同僚は言う。
石田と野中には、共通点があった。野中は傷害致死事件を起こし、石田が持っていたケースは桜子、ライターは羽賀がプレゼントしたものだった。
緒方の転落死事件で発見された吸い殻からは、毒物が検出されるだろう、と右京は言う。羽賀は、毒物を混ぜたタバコを緒方に渡したのだと言う。桜子は、緒方から激しい暴力を受けていた。そのため、恋人である野中に緒方殺害を依頼したのだった。野中は、80万円で羽賀に殺人を依頼したのだった。
その後、野中は傷害致死事件を起こし、逃亡資金を用立ててもらいたい、と羽賀・桜子に依頼したのだった。石田は、羽賀・桜子を守るため、野中に接触したのだった。そして、野中は石田の見守る中、自ら死を選んだのだった。また、石田も友人である羽賀・桜子を守るため、自ら2人の前から姿を消した。
右京は、「私達に工藤(石田)さんを探すよう依頼すれば、過去の事件に触れることになるかもしれない。それなのに、依頼したのはなぜですか?」と訊ねる。羽賀と桜子は、「このシガーバー、来月閉店するんです。その前に、3人であのシガーを楽しみたかった」と言うのだった。
右京と亘は、石田のリトルシガーを再現したものを2人に渡し、吸わせるのだった。