簡単なあらすじ
1) 詐欺師の平井貞男(風間杜夫)は、地域住民の悩み相談に乗る「青空らくだの会」という団体を隠れ蓑に、美人局で相談者から金をせしめていた。カモにした男・古内シゲハルに、ATMで現金を下ろさせようとしたその道中、ひったくり犯の男がバッグを奪うのを見かける。
2) 平井は、被害女性が故郷の母親と似ていたことから、ロードバイクに乗るひったくり犯を押し倒す。平井は、犯人が確保されるのを待たず、名乗りもせずに走り出す。カモの古内に逃げられてしまったからだ。その様子は、青木年男(浅利陽介)によって動画撮影されており、SNSで瞬く間に拡散される。
3) 杉下右京(水谷豊)は、平井が詐欺師であると気づき、カモの男を追って走り出したと推理する。そして、青木を利用して美人局の現場を押さえ、平井を逮捕する。
4) 一方、古内は女性連続殺人の犯人としてマークされていた。そして、平井の共犯の女に奪われたネックレスを取り返そうとして、平井の自宅に忍び込み、逮捕される。彼はサバイバルナイフを所持しており、右京は平井に「もし、こうして事情聴取されていなかったら、あなたは殺害されていたかもしれない。”出来心”で良いことをした結果、神様が救ってくださったのかもしれませんよ」と言う。
詳細なあらすじ
マンションの一室で、女性が男性により、ネクタイで絞殺されていた。一方、杉下右京(水谷豊)は、青木年男(浅利陽介)とチェスに興じていた。
詐欺師の平井貞男(風間杜夫)は、地域住民の悩み相談に乗る「青空らくだの会」という団体を隠れ蓑に、美人局で相談者から金をせしめていた。平井は、いつものように男性(古内シゲハル)を騙して「寄付」をさせるため、一緒にコンビニのATMへと向かう。
青木は、冠城亘(反町隆史)に飲みに行く約束を破られたため、右京と一緒に飲みに行こうとする。その2人の前の間に、ロードバイクでひったくりを行う男が現れる。
平井は、ひったくりの男を突き飛ばして、バッグを取り返す。その最中、罠にかけようとしていた古内が逃げ出したため、平井は追跡する。だが、逃げられてしまう。仲間の女に、逃げた男のことを聞くと、「女性との距離のとり方が分からない。プレゼントを突き返された」のだという。平井は、「何かやましいことがあるのか、あの男」と考える。
青木は、ひったくりの一部始終を撮影しており、SNSに投稿する。結果、平井は「消えたヒーロー」として話題となった。
マンションで絞殺された女性が発見され、伊丹憲一(川原和久)刑事は捜査を始める。以前にも同様の事件が起きており、連続殺人であると考える。
右京は、消えたヒーローを探し始める。その中で、ひったくりのあった場所の近辺で、右京は、平井に出会う。右京は、「新規出店を考えておりまして、近辺住民の方に聴き込みを行っています」と言い、平井と話を行う。
ひったくりの被害者である女性は、「しめでくれぇ」と言っており、方言で山形出身であると考えられた。また、平井は水がかかって、「やばち!」と叫んでいたことから、平井もまた山形出身であると考えられた。だが、平井は「横浜生まれ、横須賀育ち」と語っており、右京は平井のことを怪しむ。
右京は、「消えたヒーロー」が平井ではないかと考える。また、平井は「ロードバイクのスピード規制をすべき」と話していたが、ひったくりがロードバイクに乗っていたことは公表されていなかった。
らくだの会に、古内が忍び込んでいた。古内は、平井と共犯の女を見つけると、ネックレスを奪い取ろうと襲いかかる。平井は古内を止めようとして、懐中電灯で殴られてしまう。カモにした男に仕返しをされたと考え、平井は「そろそろ、ここも潮時か。引っ越そうか」と言う。
伊丹刑事たちは、連続殺人の被害女性たちに共通点を見出す。コンビニの防犯カメラで、被害女性たちの近くに同一人物と考えられる男が映っていた。伊丹刑事たちは、コンビニに映っていた男をマークし始める。その男は、平井がカモにしようとしていた男だった。
右京は、平井に話をさらに聞こうとするが、警察関係者と発覚してしまったのではないか、と気づく。そこで、亘は「警戒されない、うってつけのヤツがいます」と言う。亘は、青木に「らくだの会」へと相談に行かせる。
平井の共犯の女は、青木を誘惑し、再び美人局で罠にハメようとする。「犯した罪を贖うために、寄付をお願いします」と言う。そこで、右京が現れ「今の行為は、恐喝罪です」と言う。さらに、亘は「本当の妻でなければ、詐欺罪です」と言う。青木は、「おとり捜査」に知らぬ間に参加させられていたことを知り、「汚いぞ!警察!」と叫ぶ。
平井は事情聴取を受けるが、「皆さん、自発的に寄付をしてくださる」と右京に言う。右京は、ひったくり事件の映像を見せる。「これ、あなたじゃないですか?」と指摘する。「なぜ、黙って姿を消してしまったのですか?」と訊くが、平井は「良い行いをする時は、それを人には知られてはならないんです」と言う。
右京は、「あなたは映像の中で、誰かを追いかけてその場から姿を消してしまったのではないですか?カモにしていた男とか」と指摘する。
平井の家に、再び古内が侵入する。古内は、ナイフを持っていた。「今日こそ、取り返してやる…」とつぶやくが、そこに平井の共犯の女はいなかった。
古内は、住居侵入で逮捕される。伊丹刑事は、古内が女性連続殺人の犯人であると睨んでいた。古内は、面識のない女性を見かけ、部屋に忍び込んだ。そこでネックレスを見せて交際を申し込んだが、断られてしまう。そして、被害女性を殺害したのだった。
古内は、そのネックレスを平井の共犯の女に見せた。すると、彼女に「運の悪いものは捨ててしまいましょう」と言われ、取り上げられたのだった。
「消えたヒーロー」として話題となり、美人局の件が明らかになると、自分の殺人も明らかとなってしまうと考え、古内はネックレスを取り返しにやってきたのだった。
平井は、「あのひったくり犯の被害者、おふくろに似てたんだ」という。「魔が差したんだ。やりなれないことはするべきじゃないな」と言う。だが、右京は、「もしこの場で事情聴取されていなかったら、昨晩、古内に殺されていたかもしれない。彼は、サバイバルナイフを所持していたんです」と言う。