杉下右京は、オフィス街でリクガメが歩いているのを見かける。そのカメに導かれるようにしてついていくと、そこにはホームレスの男性がテント内で倒れていた。頭部からは出血しており、近くには頭を打ち付けたと考えられる、コンクリートブロックがあった。
男性は救急搬送され、一命をとりとめる。だが、身元も不明であり、杉下はホームレスが誰なのかを探し始める。テント内には、毎朝新聞が置かれ、毎週水曜日のものだけが保管されていた。
右京は、男性が短歌のコーナーに応募していたと見て、新聞社に問い合わせる。「読み人知らず」という投稿者がおり、その人物が被害者男性と考えられた。投稿者は以前にも「うさぎ」という名前で投稿しており、その住所から、被害者は「鮫島博文」という人物であると判明する。
鮫島は、元国交省の役人であり、談合事件のキーマンとされていた。談合事件が騒動となった際、関わった建設会社の担当者は自殺し、鮫島は失踪していた。そんな中、鮫島は病院で目を覚ますが、記憶喪失であるという。「犯人は、自分を殺すつもりだった」とだけ証言し、右京たちは犯人探しを続ける。
鮫島の同期には、谷川と杉原がおり、2人は次官の座をかけて争っていた。右京は、鮫島の短歌が「暗号」になっていると気づく。57577の最初の文字を数字に置き換えると、それは鮫島の所在地の郵便番号になっていた。
右京と冠城は、谷川と杉原を呼び出し、2人の前で推理を聞かせる。谷川は、自殺させられそうになっていた鮫島を助け、失踪で手を打たせた。その後、鮫島は谷川にだけ居場所を知らせるべく、新聞の短歌のコーナーに投稿し続けていた。
一方、反主流派の杉原もまた、短歌のコーナーで鮫島の居場所に気づいた。そこで、現政権のアキレス腱となる鮫島を担ぎ出そうとし、もみ合った結果、鮫島は頭を打ち付けて倒れたのだった。杉原は、カメを撫でていた際、頭を急に引っ込まれて、指を挟んでしまっていた。結果、怪我をして甲羅に皮膚片と血液が付着していた。その物証もあり、杉原は逮捕される。
鮫島は、記憶喪失などではなく、この好機を待っていた。杉原逮捕というタイミングで、鮫島は検察庁に出頭し、談合についての洗いざらいの真実を話して現政権にとどめを刺すつもりであるという。
脚本:森下直
監督:橋本一