簡単なあらすじ
1) 音羽台で、深夜に会社員が刺殺体で発見される。胸部を刺されており、傍らにはケーキが落ちていた。捜査が難航する中、有力な目撃者が現れる。その人物は、警視庁副総監・衣笠藤治(大杉漣)の娘・里奈(桜田ひより)であり、事情聴取が禁じられる。
2) 杉下右京(水谷豊)、冠城亘(反町隆史)は、命令に背いて里奈に接触を図る。里奈は、話をすることで徐々に事件当夜のことを思い出していく。そして、犯人の特徴について、「左手の人差し指に、絆創膏をつけていた」「右手には、ホームセンターのレジ袋をぶら下げていた」「ポケットには赤いカッターのようなものが見えた」と証言する。
3) これらの証言から、右京たちはホームセンター・DYランドの店員が犯人ではないか、と考える。里奈は、DYランドに同行を申し出るが、犯人に顔を見ていた可能性があり、右京は断る。だが、里奈は贖罪のため、DYランドへと向かってしまう。
4) 犯人は、里奈が目撃していたと気付き、カッターで脅す。そこに右京と亘が駆けつけ、里奈を救出するのだった。犯人は現行犯逮捕され、会社員殺害についても自供を行うのだった。一方、命令に背いた特命係に衣笠は怒りを覚え、「特命係は、警視庁の負の遺産だ」とつぶやく。
詳細なあらすじ
音羽台で、深夜に会社員が刺殺体で発見される。胸部を刺されており、傍らにはケーキが落ちていた。
遺留品はなく、捜査は難航していた。そんな中、有力な目撃者が現れる。その人物は、警察上層部の家族であり、中学生の少女ということが判明する。
犯人は「中肉中背の男」であると少女は言うのだが、杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、「より詳しく事情聴取すべきではないか」と考える。刑事部長の内村(片桐竜次)は、特命係に「事件と関わるな」と釘を刺す。
右京と亘は、事件現場に向かうが、そこは人通りの少ない道であった。右京は、「目撃者の少女は、どこに向かおうとしていた」と疑問に思う。事件現場付近の空き家に、中学生らしき少年少女がたむろしていると知る。
喫煙する中学生もおり、右京たちは注意する。その上で、右京は彼らが「どう出るか」と反応を見る。
参事官・中園照生(小野了)は、同期の稲葉と偶然、うどん屋で出会う。そこで音羽台の話になり、中園は、「娘の誕生日に殺されるなんてな」と聞かされる。
目撃者・である里奈(桜田ひより)は、警視庁副総監・衣笠藤治(大杉漣)であり、中園は、”うっかり”口を滑らせてしまい、右京たちは知ることとなる。里奈は、空き家にいた中学生の中にいた。
衣笠は、3年前、何度となく殺害予告を受けていた。そのことがあり、危害が及ぶのを恐れ、里奈は母親の旧姓を名乗っているのだった。右京たちは、里奈に話を聞きに行く。だが、里奈は頑なに話をすることを拒む。
右京は、「事件現場近くに、どうして行ったんですか?…近くに、空き家がありましたよね。そこに行こうとしたのは、お父様に言えなかったのでは?」と指摘する。空き家にいたことを黙っているなら、と交換条件で里奈は事情を話す。
里奈は、被害者と黒いパーカーの男が争う少し前、タバコの自販機の前で黒いパーカーの男が苛立っている様子だったのだと明かす。男の顔は分からなかったのだという。パーカーの男は、被害者に因縁をつけている様子であり、「あの時、通報すればよかったのかも」と里奈は後悔していた。
さらに、里奈は「左手の人差し指に、絆創膏をつけていた」と証言する。右手には、ホームセンターのレジ袋をぶら下げていた。さらに、ポケットには赤いカッターのようなものが見えたのだという。これらの証言から、右京たちはホームセンター・DYランドの店員が犯人ではないか、と考える。右京と亘は、伊丹憲一(川原和久)刑事に情報を伝える。
里奈は、DYランドに同行を申し出るが、犯人に顔を見ていた可能性があり、右京は断る。そして、里奈が食べなかったくず餅を土産として持たせる。
里奈は罪滅ぼしのためにDYランドへと向かってしまう。右京は、伊丹が着く前に、店内を探す。里奈は、左利きの店員を見かけ、追いかけてしまう。
バックヤードで、里奈は男を見て、犯人と同じ靴を履いていると気づく。犯人は、里奈に気づいてカッターで脅す。
そんな中、右京は里奈が落としたくず餅を発見する。バックヤードにやってきた右京と亘は、犯人を取り押さえ、現行犯逮捕する。
右京は里奈に、「間に合ったからいいようなものの、何かあったらどうするんですか!」と叱る。その上で、「空き家のことは隠し通せません。お父さんに報告が上がる前に、打ち明けた方が良いんじゃありませんか」と言う。
犯人は事情聴取を受け、「あの日は、客にネチネチ言われて…アイツ、ぶつかっても謝らないから。…大きなケーキなんか持ってるから、コイツ幸せそうだなって。そしたら、段々ムカついてきて」と言う。
亘は、中園に「これも参事官のご協力の賜物です」と言うが、中園は「俺がお前らに協力などするか」と言う。衣笠は、内村完爾(片桐竜次)に「君では、特命係は制御できないようだね」と言う。
その上で、青木年男(浅利陽介)に「組織を破壊する者は、どのようなものか分かりますか?能力があり、組織の命令に従わぬ者です」と言う。青木は、特命係の報告書を衣笠に渡す。
右京は、「もしかすると、我々は導火線に火を付けてしまったかもしれませんね」と言う。一方、衣笠は「特命係は、警視庁の負の遺産だ」とつぶやいていた。