簡単なあらすじ
1) 盲目の井上真奈美(橋本真実)のヘルパーをしていた、小松崎洋一(小林且弥)が刺殺されて自宅で発見される。小松崎が、転々と職場を変えていたということに疑問を感じた特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は捜査に乗り出す。
2) 小松崎の身辺調査で、彼は介護をしていた人物から「寄付」名目で現金を巻き上げる詐欺行為を行っていたことが明らかとなる。そして、共犯者となる人物がいることが考えられた。
3) 真奈美は、「小松崎さんからの手紙」と偽って、恋人・吉田光雄(田中幸太朗)を別荘の地下室へと導く。そこには、無水エタノールの小瓶が大量に敷き詰められており、ライターの火をつけた吉田は、引火して死亡する予定だった。ところが、右京はそのことを察知しており、未然に殺人を防いだのだった。
4) 小松崎と吉田は、共犯者であり、介護を受けた人々から「寄付する」と偽って現金を詐取していたのだった。ところが、小松崎は真奈美のことを愛してしまい、真奈美から現金を巻き上げることをやめ、吉田から真奈美を守ろうとしたのだった。その結果、小松崎は吉田ともみ合いになり、刺殺されてしまったのだった。
5) 真奈美もまた、小松崎を愛しており、復讐を遂げるため、吉田を殺害しようとしたのだった。ところが、右京はそれを未然に防ぎ、「復讐は許されるべきではありません」と諭すのだった。
詳細なあらすじ
特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、胃潰瘍で入院した小料理屋の女将・月本幸子(鈴木杏樹)を見舞う。そこで、松本貴子(池津祥子)という女性と、右手を負傷して入院している、盲目の井上真奈美(橋本真実)が言い争っているのを見かける。
さらに、捜査一課の伊丹憲一(川原和久)、芹沢慶二(山中崇史)刑事たちがやってくる。彼らは、真奈美のヘルパーだった小松崎洋一(小林且弥)という人物が自宅で刺殺されて発見されたため、事情を聴きにやってきたのだった。特に、真奈美は小松崎のことを指名することが多かったのだという。
青木年男(浅利陽介)からの情報で、被害者である小松崎が「たびたび職場を変えていた」ことが気にかかった右京は、捜査に乗り出す。小松崎の家で、貴子が使っていたのと同じ香水が発見され、右京たちは貴子に事情を聞きに行く。その香水は「Ciel Bleu」という、真奈美が自ら調合したものだった。
真奈美は、気に入った人に香水をプレゼントしていたのだというが、小松崎とは口喧嘩ばかりしていたのだという。さらに、貴子は「真奈美とは、腹違いの姉妹」であることや、「真奈美には父親の遺産が残されていた」ということが明らかとなる。小松崎の家に行った際に、彼は「真奈美は、あんたが思ってるよりずっとしたたかでよく見てる」と言ったのだという。
小松崎の身辺調査で、彼は介護をしていた人物から「寄付」名目で現金を巻き上げる詐欺行為を行っていたことが明らかとなる。さらに、小松崎は頻繁に漫画喫茶へと出かけ、別の人物とメールサイトの下書き機能を利用して共犯者とやりとりしているのでは、と推測する。だが、青木にもパスワードがわからず、やりとりの内容がわからなかった。
真奈美は、怪我をした理由について、「雪の日に東京駅へ行って、階段から落ちた」と話す。右京は、盲目で、しかも人混みを嫌う真奈美が雪の日に出かけるというのは、よほどの理由があったはずである、と睨む。
そんな中、小松崎の自宅から、真奈美、そして貴子の指紋が発見された。一課は、貴子が小松崎と共謀して遺産を狙っていた、と考える。だが、貴子は否定し、「遺産は口座に残されていなかった」と明かす。
目の見えない真奈美は、恋人の吉田光雄(田中幸太朗)に、「このメモを、小松崎さんが残してたんだけど、何か書いてある?」と言う。そこには、遺産の隠し場所として、住所が書かれていた。吉田は、その手紙に「ありがとうって書かれていたよ」とウソをつく。だが、その手紙は真奈美が自ら、音声ガイドによりパソコンのワープロソフトで書いたものだった。
吉田は、指定された場所へと向かう。そこは、真奈美が相続した別荘であり、地下室へ吉田は足を踏み入れる。だが、階段や床には瓶が敷き詰められており、吉田はそれらの瓶を割ってしまう。
暗い地下室で、吉田はライターをつける。その時点で、本来は瓶の中に入っていた無水エタノールに引火するはずだった。ところが、その中身は右京たちによって水に替えられていたのだった。
真奈美は、大量の無水エタノールを「誤って大量に注文してしまった」と右京に弁明していたが、実は吉田を殺害する目的で注文していたのだった。
小松崎と吉田は、共犯だった。小松崎がヘルパーとして近づいた後、寄付を提案。さらに恋人役の吉田が説得して後押しする、ということを繰り返していたのだった。ところが、小松崎は真奈美のことを愛してしまい、現金を巻き上げることをやめようとしていたのだった。
小松崎は、メールサイトのパスワードを「Ciel Bleu」に変更し、点字で書いた手紙を真奈美に渡した。そして、「このパスワードを持って警察に行け。遺産は、別荘の地下室に隠した」と言うのだった。
ところが、真奈美は小松崎に「せっかく暗さに慣れたのに…あなたが明るい暮らしを思い出させたの」と言い、警察に言うことを拒否する。そして、小松崎もまた、「やっとお前のおかげで抜け出せる」と言うのだった。そんな小松崎に、真奈美は香水を手渡したのだった。
小松崎、そして真奈美は互いに愛し合っていた。小松崎が書いた手紙の2枚目を縦読みすると、「あいしてます」というメッセージが隠されていた。
小松崎は、吉田に「もうこんなことはやめる」と話すのだが、もみ合いとなった末に小松崎はキッチンにあった包丁で吉田により刺されてしまう。小松崎を殺害したのは、共犯者である吉田だったのだ。
真奈美は、貴重品を入れる引き出しに香水を入れており、引き出しを開ければその香りが部屋に広がるようにしていた。それにより、吉田が家探しをしていたことが分かり、吉田が小松崎を殺害したことに気づいたのだった。
真奈美が、雪の日にも関わらず出かけたのは、別荘に罠を仕掛けるためだった。そして、「遺産の隠し場所」として罠を張った別荘の地下室の住所を示した。
ところが、右京は真奈美の狙いを読み、未然に防いだ。「復讐は許されることではありません」と言う右京に、真奈美は「あなたは、きっと冷徹な顔をした人なんでしょうね」と言う。