大学で認知科学を研究する宇佐美教授が、大学の自室で心臓発作で倒れ、死亡する。学生たちは「呪いのせいでは」などと噂しており、そのSNS投稿を青木は杉下、冠城に見せる。
興味を持った杉下は大学へと赴き、調査を開始する。その中で、まずは川村里美という助教に目をつける。彼女は、准教授の高野鞠子とともに話を聞き、「事件性は乏しい」という言葉を受け、思わず微笑んでいるようだった。
杉下は、宇佐美教授が朝、同じコーヒーショップでコーヒーを買っていることに気づき、何者かが毒物を混入した可能性を考える。司法解剖の結果、彼の体内からアズリチンが検出される。その毒性により、心臓発作が引き起こされたと考えられた。
農学部では、アズリチンが保管されており、時を同じくして何者かに盗まれていた。学生たちへの聴取で、犯人は里美と考えられた。だが、彼女にはアリバイがあり、毒物を混入することは困難と考えられた。
そんな中、宇佐美教授は「天才児の研究」であり、被験者である少女がテストによってストレスを感じている様子が見てとれた。さらに調査を進めると、別の被験者である少女・小柴葵が自殺していると判明した。
杉下は、高野鞠子准教授に対し、「あなたがコーヒーに毒物を混入した」と指摘する。構内のゴミ箱に、毒物入りの紙カップを捨てている鞠子の姿が映っており、証拠となっていた。鞠子は犯行を自供し、「大学構内でアズリチンが盗まれたと知り、闇サイトで同じ薬物を購入した。盗まれた日時には自分にはアリバイがあり、疑われないと思った」と明かす。
鞠子は、葵の自殺に責任を感じるも、宇佐美教授は研究に没頭するあまり、別の被験者がストレスを抱えていても見て見ぬふりだった。そのため、鞠子は宇佐美教授を殺害し、被験者の少女を守ろうと考えていたのだった。
その後、杉下らは里美のもとへと向かう。里美は、人並み外れた共感能力をもつ「エンパス」であり、鞠子の宇佐美教授への殺意を感じ取って苛まれていた。そのため、鞠子に宇佐美教授を殺害させ、「かたをつけ」させるため、毒物を盗み、闇サイトで購入が可能だと吹き込んだのだった。
さらに杉下は、里美を採用した猪瀬啓吾准教授のもとへと向かう。猪瀬は、里美がエンパスであると知りながら採用し、さらには鞠子が強い殺意を向ける宇佐美教授の下に助教として送り込んだのだった。
結果、鞠子は宇佐美教授を殺害するに至り、杉下は「あなたの実験は成功した」と言う。猪瀬を罪に問うことはできないが、「あなたは研究者失格だ。それだけでなく、人としても失格だ」と断罪し、研究室を去るのだった。
脚本:金井寛
監督:権野元