簡単なあらすじ
1) 「スガチー1888」こと中鴨昌行(尾上寛之)は、事件・事故現場で不謹慎な動画を撮影してネットにアップする動画クリエイターだった。だが、最近では再生回数が落ち込み、高級マンションの家賃も払えずに退去していた。
2) そんな中鴨は、「ラストワーク」という動画をアップする。その動画は、初老の男性・大屋嗣治(渡辺哲)を監禁・銃で脅してステーキを食べさせるというものだった。さらに、第二弾、三弾とアップされた動画では、大屋がクロロホルムで体の自由を奪われた後、湖に落ちる様子が撮影されていた。
3) 右京は、大屋の過去を探り、彼が映画監督志望であり、あたかもドキュメンタリーのように見せるフィクション、「フェイクドキュメンタリー」の映画を作っていたという事実を掴む。
4) 右京は、大屋が中鴨とともにフェイク動画を撮影したのだと突き止める。そして、動画で撮影した場所から、借金で捨てた家族、特に娘・祥子に向けてメッセージを送っていたのだと推理するのだった。だが、大屋は実際に湖で遺体となって発見される。大屋は末期癌であり、自らの命を利用し、世間を驚かせるフェイクドキュメンタリー動画「ラストワーク」を制作したのだった。
詳細なあらすじ
「スガチー1888」こと中鴨昌行(尾上寛之)は、動画クリエイターである。そのスガチー1888は、「ラストワーク」という動画をアップする。
動画には、拳銃を持った謎の人物に脅され、ステーキを食べる初老の男性(渡辺哲)が映っていた。フィクションか、リアルなのか判別がつかず、そこで捜査権のない特命係に「調査」の指令が下ったのだった。
青木年男(浅利陽介)は、スガチー1888こと中鴨は、元ヒキコモリだったが、事件・事故現場で不謹慎な自撮り動画を投稿して大成功を収めていたと明かす。彼は、年収1億円とも言われていたが、最近は家賃が払えずに高級マンションを退去していた。
杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、中鴨が動画を撮影していたスタジオを訪れる。だが、中鴨は最近スタジオに姿を現してはいなかった。
そんな中、中鴨はラストワークの第二弾を投稿する。動画では、初老の男性がクロロホルムをかがされ、体の自由を奪われていた。右京は、「この男性に、次はどんなことが起こるのか…」とつぶやく。
亘は、動画に映り込んだ女子高生の制服から、撮影場所の特定をしようと試みる。また、右京もラストワーク第二弾の動画に映った飲み屋をたよりに、撮影場所を訪れる。そこで、動画に映った男性に話を聞くと、初老の男性は「サガワラブンタロウ」と名乗る日雇い労働者であったのだという。だが、無銭飲食を繰り返して仲間たちのもとにいられなくなり、路上生活を続けていたのだという。
右京と亘が月本幸子(鈴木杏樹)の飲み屋にいたところ、ラストワークの第三弾が投稿される。動画では、スガワラブンタロウが山道を歩かされ、湖まで連れてかれていた。亘は、動画に映った里中運輸のトラックに注目する。
里中運輸から、「撮影場所は、事務所の駐車場ではないか」と通報があった。不法侵入により、ようやく警察は中鴨逮捕に乗り出した。
「スガワラブンタロウ」の本名は、大屋嗣治だった。その名前から、彼の娘・川地祥子のもとを訪れる。そこで、大屋が里中運輸に勤務していたものの、借金により首が回らなくなり、失踪したのだという。
右京は、中鴨の撮影した場所が、大屋にゆかりの地(路上生活していた場所、日雇い労働していた場所、里中運輸)であることに着目する。そのことを話すのだが、祥子は「もう家族ではありません。29年前、あの人は家族を捨てたんです」と言う。
動画に映っていた山梨県・丑首湖で、遺体が発見される。大屋が遺体となって発見されたのだった。中鴨は、殺人容疑で指名手配されることとなった。祥子は、父親の遺体を確認する。
右京は、ラストワークの動画を観ていた。そんな中、鑑識結果の報告書が上がってきており、死亡推定時刻は、4日前の午後3時だった。よって、殺害後に動画配信されたと考えられた。
2ヶ月前、傷害事件の起きた現場で中鴨は動画撮影を行っていた。そこで、大屋が「面白くねぇぞ!…俺は昔、映画撮ってたんだ。お前、撮りたいもん見えてんのか?」などとヤジを飛ばした。そのことに腹を立てた中鴨は、大屋を蹴りつけて逃げ出したのだという。
中鴨は、第四弾の動画を投稿する。その場所は、大屋が暮らしていたアパートだった。すぐに中鴨の位置を特定した芹沢刑事らは、中鴨を追う。
右京は、大屋が監督志望で撮影所に出入りしていたことが明らかになる。彼は、短編自主映画を撮影しており、あたかもドキュメンタリーのように見せるフィクション、「フェイクドキュメンタリー」の映画を作っていたのだという。その映画製作で借金を重ねてしまったのだった。
中鴨が海辺で撮影しているところ、右京と亘が現れる。そこは、大屋が自主映画をクランクインした場所だった。右京は、大屋の袖口についたステーキソースから、フェイクであると見抜いたのだった。第一弾にはシミがついていたのだが、第三弾、四弾ではついていなかった。屋外での第三、四弾は、陽の出ている内に撮影しなければならず、最初に撮り、その後に第一弾を撮影したのだった。
大屋は湖に沈んだ後、陸に上がった。「みんな、面白かったか?騒がせてごめん!…これが俺のラストワークだ!」などと言っており、その様子が撮影されていた。その撮影後、第一弾のステーキを食べるシーンを撮ったのだった。全て撮り終えた後、祝杯を上げて2人は分かれた。
動画が公開される予定日、大屋は中鴨にアリバイを証明する動画を撮影するよう電話した後、自殺したのだった。大屋は、全身に癌が転移していた。
大屋は、中鴨と出会い、自らの命を利用した、世間をあっと言わせる「フェイクドキュメンタリー」を作ろうと考えたのだった。
中鴨の回していたセッティング中の動画で、大屋は「娘に、今更どの面下げて会える?…カネが入ったら、俺の分、娘に渡してくれ」と言っていた。右京は、祥子に「お父さんは、あるたくらみがあった。警察をつかい、自分がどこでどのようにして29年間暮らしていたのか、そのことをあなたに伝えたかったのでしょう」と言う。そして右京は、大屋がお守り代わりに持っていた、祥子の初めての散髪した髪の毛を渡すのだった。