簡単なあらすじ
1) 巻真紀(松たか子)の夫・幹生(宮藤官九郎)は、真紀のヴァイオリンを盗もうとした来杉有朱(吉岡里帆)と別荘で出くわす。ヴァイオリンを取り返そうとした幹生は、有朱と揉み合いになり、彼女はベランダから落下する。
2) 幹生は、有朱を殺してしまったと思い、通報すべきか迷う。そんな中、真紀が帰ってくるのだった。真紀は、幹生と再会できたことを喜ぶ。だが、幹生に「コンビニ強盗をした」「人を殺した」と聞かされ、「一緒に逃げよう」と言う。だが、幹生は「真紀ちゃんに甘えることはできない」と、バンに有朱を乗せて、「一緒にダムに沈んでくる」と言う。
3) だが、有朱は死んではおらず、幹生がダムを見ていた隙をついて、バンで逃げ出す。真紀は、幹生とともに東京へ戻り、夫婦生活をやり直そうとする。だが、幹生は離婚した上で警察へ出頭すると言う。
4) 真紀は、幹生とともに役所に離婚届を提出しに行き、そして警察署へと向かう幹生を見送る。そして、カルテットのメンバーたちのもとへと戻るのだった。真紀は、幹生が貸してくれた詩集を暖炉の火にくべるのだった。そんな真紀に、すずめは「一緒に演奏しましょう」と言う。
詳細なあらすじ
来杉有朱(吉岡里帆)は、家森諭高(高橋一生)とともにサル探しをしていた。そこで有朱は、巻真紀(松たか子)や別府司(松田龍平)の楽器が高価であると知る。
有朱は、楽器を盗むために、別荘へと向かう。一方、真紀の夫・幹生(宮藤官九郎)は、世吹すずめ(満島ひかり)とともいた。そんな中、物音に気づいた幹生は、階下におりると、そこに盗みに入った有朱がいた。
幹生が、真紀のヴァイオリンを取り返すため、有朱と揉み合いになる。その中で、有朱はベランダから落下する。110番しようとするも、幹生は携帯を落としてしまい、通報を諦める。
そうこうしている内に、真紀が別荘へ帰ってきた。真紀は、幹生に会うと、ついつい嬉しくなってしまうのだった。
別府は、会社の倉庫に閉じ込められてしまっていた。また、家森は有朱がクルマを運転してしまっており、取り残されていた。
幹生は、「すずめちゃんが通報しようとしたから縛った…浜松で、コンビニ強盗した。お金なくなっちゃって」と言う。真紀は、「警察に行こう。一緒に行くから…幹生が帰ってくるの待ってるから」と言う。
さらに、幹生は「人も殺しちゃった」と言う。そこで、有朱と揉み合う内に落下させて死亡させたことを明かす。
幹生は、「離婚届、まだ出してないよね?」という。そこで真紀は、「誰かに見られた?…逃げよう。逃げて、誰もいないところで一緒に暮らそう」と提案する。
幹生は、「離婚届、出そう。真紀ちゃんは、自分の人生を送った方がいい」と提案するのだが、真紀は「こんな人生、要らない。2人でいよう」と言う。
真紀は、寝袋に有朱の遺体を入れて「一緒に運ぼう」と言う。すずめに「今はほどけない。別府君や家森さんが帰ってくるまで、待ってて」と言う。
有朱は意識を取り戻した。だが、真紀と幹生に気づいて、再び目を閉じた。真紀は、別荘を名残惜しそそうに見ていた。そんな中、幹生は「この辺、ダムとかあるかな?俺、この人と一緒に沈んでくる。警察が来たら、愛人と逃げたとか、適当に言っておいて」と言って、1人で有朱とともにクルマで走って行ってしまう。真紀は、もう一台のクルマで幹生を追う。
鏡子(もたいまさこ)が別荘にやってきて、すずめは「娘さん、生きてます」と言う。そして、鏡子の乗っていたタクシーに飛び乗って、真紀や幹生を探す。
幹生は、ダムへと向かう。ダムを見下ろす幹生だったが、有朱は寝袋から出てドーナッツホールのバンを運転する。途中、真紀と出会った有朱は、何事もなかったかのようにバンを返し、クルマを交換する。そして、家森のもとへ向かい、「ずっと私、サル探してましたよね」と言う。
幹生は、警察官に声をかけて出頭しようとする。だが、そこに真紀が現れ、「待った?」と声をかける。そして、「東京へ帰ろう」と言うのだった。
真紀は、幹生のために食事を用意しようと、コンビニに寄る。バンを見かけたすずめは、真紀に「別荘に戻ろう」と言う。だが、真紀は「ちょっと…」と言う。すずめは、「犯人隠避罪?合ってる?」と言う。
「カルテットは?どうすんの?」と問いかけるすずめに、真紀は「夫婦だから」と言う。そして、「彼のことが好きなんだよ。変わらないまま、好きなんだよ」と言い、真紀は幹生とともに立ち去る。
幹生と真紀は、我が家へと戻る。一方、すずめは別荘に戻り、家森がお茶漬けを食べる中、チェロを弾く。そして、真紀が別れ際に「抱かれたいの」とつぶやいたことを思い出していた。
真紀と幹生は、自宅で食事をとる。おでんを食べながら、真紀は、家森、すずめ、別府のことを話す。そして、真紀は「欠点で繋がってるの」とカルテットメンバーのことを話す。
幹生は、「おでん食べたら、本郷警察署に行ってくる…その前に、役所で離婚届を出そう」と言う。そして、「ごめんなさい。勝手にいなくなって、心配かけて」と謝る。だが、真紀は「謝られるようなことはしてない。…それに私は、直接言われたわけじゃないから」と言う。
幹生は、「真紀ちゃんのこと、ずっと考えてた。忘れたことはなかった。2年間、一緒にいたし。ここにずっといた。いい思い出、いっぱいある。いつも、今も大事に思ってる。だから…幸せになって欲しいと思ってる。感謝してる、ありがとう」と言う。
真紀は、「こちらこそ、ありがとう。結婚して2年…3年間、ずっと幸せだったよ。好きだったよ」と言う。
2人は、互いの結婚指輪を外す。そして、2人で役所に離婚届を提出する。その後、本郷警察署へと向かう。幹生は真紀をハグしようとするが、真紀はその手を握るだけだった。真紀は、幹生の背中を見送る。
真紀は、別府が倉庫に閉じ込められていたことを思い出して向かう。レストラン・ノクターンで、有朱は平然と働いていた。
真紀は、別荘での生活に戻る。真紀は、旧姓の「早乙女真紀」に戻ったことを話す。だが、変わらず「真紀」と呼んで欲しいと言うのだった。
真紀は、幹生が貸した詩集を眺めていた。すずめに「結婚する前に、彼がくれた詩集。私にはあんまりよく分からなかった。彼の勧める映画も、面白くなかった…こんな面白くないものを勧めるなんて、よく分からなくて、面白かった」と言う。
そして、その詩集を暖炉の中へと投げ入れる。すずめは、真紀に「ちょっと…やりますか」と、演奏しようと誘う。