中山七里「ヒポクラテスの誓い 加害者と被害者」あらすじ・ネタバレ

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浦和医大の研修医・栂野真琴は、法医学教室で研修を行っていた。そんなある日、9歳の少女・篠田凪沙から、「解剖をお願いしたい」と電話を受ける。彼女の父親は、女性を撥ねて死亡させてしまったのだという。

だが、父親・篠田雄作は安全運転を日頃から気をつけており、事故を起こしたとは考えにくい、と凪沙は主張するのだった。その話を聞いた法医学教室准教授キャシー・ペンドルトンは、依頼をした少女のもとへと向かう。

凪沙は、事件現場である大和田公園入口に母親とともにいた。父・雄作が逮捕されてしまったことを知り、罪を晴らすために、浦和医大法医学教室に依頼を行ったのだった。

被害者は、家事手伝い・栗田益美だった。彼女は、結婚を控えており、自殺するという理由が見当たらなかったのだという。事件の加害者である篠田は、「急に自転車が車道に飛び出してきて、避けられなかった」と話しているのだという。自転車がブレーキをかけようとしていたという痕は見当たらなかった。

郷田警察医は、被害者の腹が膨れていたことから、内臓破裂により死亡したと断定していた。だが、古手川刑事やキャシーたちは、解剖を実施すべきだと考える。彼らは、被害者の両親に会いに行き、「解剖をさせていただきたい」と申し出るが、「娘をこれ以上傷つけたくない」と言い、解剖を拒否する。

だが、法医学教室・光崎藤次郎教授は、「遺体をここに運んでこい」と古手川刑事に言うのだった。古手川刑事は、真琴とともに両親のもとへと再び向かい、「千葉大にAiセンターがあります。Aiなら、画像診断のみで、遺体を傷つけることはないです。ですが、不審な点があったら、解剖に回されます」と言い、両親を説得する。

ところが、古手川刑事は遺体を受け取ると、その足で浦和医大の法医学教室へと向かう。郷田警察医は、古手川刑事の行動を不審に思い、「私の検視に疑いを持っているのか、侮辱だ」と言う。

光崎教授は、郷田警察医に一緒に解剖を見るように提案し、解剖が始まる。腹部は膨満していたが、出血量は少なかった。被害者は肥満傾向にあったためであると光崎教授は考え、内臓破裂が死因ではない、と指摘する。

さらに、頭部の解剖を行う。脳実質は損傷を受けていなかったが、出血が見られていた。光崎教授は、くも膜下出血が起こった可能性を指摘し、証明するために、腰椎穿刺を実施し、髄液を採取する。そこに出血がみられれば、くも膜下出血が証明される。

被害者の栗田益美は、くも膜下出血を起こしており、事故に遭った瞬間は、意識がなかった可能性がある。その事実が明らかになり、加害者の篠田は不起訴となる。彼の娘の凪沙は、真琴に感謝するのだった。

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