簡単なあらすじ
1) 公園の展望台から、建築士・奥山賢太郎(桐山漣)が飛び降りる。だが、本人は「自殺していない」と言っており、解析診断部が診断に乗り出す。志帆は、奥山は左半分が見えていないことに気づく。頭部MRIの結果、奥山は頭頂部に脳梗塞を発症していると考えられた。
2) その後、奥山は再び脳梁に脳梗塞を発症し、自分の意志に反して手が動いてしまう「他人の手症候群」を発症する。さらには、心筋梗塞を起こす。度重なる梗塞に、心房細動などの心疾患を疑うが、心エコー検査、心電図検査では否定的であった。
3) だが、志帆はなおも心疾患であると考え、マイクロバブルテストの実施を行う。結果、奥山は卵円孔開存症であると判明する。腹圧が上がることにより卵円孔は一時的に開き、血栓が飛んで梗塞を起こしていたのだった。
4) カテーテル手術により、心臓に開いた小さな穴である卵円孔を閉鎖する。奥山は順調に回復し、娘も無事に生まれた。その娘に、奥山は恩人である「志帆」と名付ける。一方、雪野は志帆の過去を嗅ぎ回り、周辺を探る中で、志帆には娘がいないことが判明する。
詳細なあらすじ
橘志帆(吉田羊)の過去を調べるため、新田雪野(相武紗季)と高杉祐樹(小林且弥)は、白州会西東京総合病院を訪れる。そこで、志帆について話を聞くと、「彼女を超える脳神経外科医はいない」と言われ、なおかつ「辞める直前も高難度の手術を成功させていた」のであり、慰留したが辞める意思は固かったのだという。
さらに、雪野たちは「北畠(高橋克典)院長なら、何かご存知ではないですか。こちらに紹介してくださったのも、彼ですし」と言われる。
公園の展望台から、建築士・奥山賢太郎(桐山漣)が飛び降りる。だが、本人は「自殺していない」と言っており、解析診断部が診断に乗り出す。
「本人の意思と裏腹な行動」を起こす疾患を、解析診断部は考え始める。既に、薬物の使用は否定され、ナルコレプシー、一過性脳虚血発作などが鑑別に挙がるが、決め手を欠いていた。さらに、志帆は、「人通りの多いデートスポットで自殺なんかするかしら?」と考える。
奥山は、「死ぬなんて考えてもいない」と改めて言う。さらに、妻・由美子(前田亜季)は妊娠しており、「来月、子供が産まれる」ことが明らかになる。
奥山は、朝食の左半分だけを残していた。志帆は、左側が見えていない、半盲の症状を呈していると考えられた。
雪野は、志帆の過去について北畠に話を聞きに行く。さらに、「なぜ、橘先生が海外にいたことを隠しているんですか?脳外科の名医として知られる橘先生が、解析診断部にいる。それと関係あるのでは?」と言う。だが、北畠は答えをはぐらかす。だが、雪野はなおも「橘先生は、本当に海外にいたんですか?」と訊ねるが、やはり北畠は「それは事実です。私がウソをつくメリット、あります?」と言う。
研修医・田丸綾香(吉岡里帆)は、奥山が飛び降りた場所を見に行く。工事中のスペースであり、一部だけ柵がなかった。「立入禁止の看板もあるし、なんで気づかなかったんだろう」と綾香は不思議に思う。
志帆は、看板の位置が「左隅にあったんじゃない?」と言い、綾香は志帆がそのことを言い当てたことに驚く。
岩倉葉子(伊藤蘭)は、自殺を疑うが、奥山は頑なに否定する。そこに志帆が現れ、「自殺じゃありません」と言う。そして、彼に絵を描いてもらう。その絵は、右半分だけ描かれており、岩倉は頭部MRI検査をオーダーする。
頭部MRI画像(T2強調画像)により、右頭頂葉に梗塞と考えられる病巣が発見された。脳梗塞により、左半盲・半空間無視の症状が現れていたのだった。立入禁止の看板が見えていなかったため、奥山は高所から落下してしまったのだった。
岩倉は脳梗塞と考え、脳保護薬やアスピリン投与を行う。24時間以内の梗塞であり、「治る可能性は十分にある」と志帆は考える。
雪野は、高杉と志帆が話しているのを見かけ、「随分、楽しそうだったけど…私に何か隠してない?」と言う。
奥山は、順調な経過を辿っているかと思われたが、急に左手が意志に反して動き出してしまう。茶碗などを投げつけ、止めようとした看護師を殴ってしまう。「他人の手症候群(エイリアンハンドシンドローム)」であると考えられた。志帆は、すぐに鎮静剤で奥山を落ち着かせる。
志帆は、由美子に最近の奥山の異変について話を訊く。奥山は、スマホの使い方が分からなくなってしまったことがあったのだという。だが、しばらくしてすぐに使い方を思い出したのだという。また、一時的に自分の名前を書くことができなくなった。
志帆は、再び頭部MRI検査をオーダーする。脳梁の一部にも新たな梗塞が現れ、「他人の手症候群」の原因と考えられた。
岩倉は、度重なる梗塞が現れていたため、心房細動を疑うが、検査結果から、不整脈はみられなかった。そんな中、奥山は胸痛を起こして急変する。心筋梗塞の疑いがあった。
さらに、由美子も腹痛を起こして倒れてしまう。切迫早産の疑いもあり、志帆はストレッチャーに乗せて運ぶ。だが、お腹の娘を心配する由美子の言葉に、志帆は過去の辛い記憶を思い出してしまい、その場で倒れ込む。
奥山には、心臓カテーテル手術(PCI)が行われ、ステント留置により一命を取り留める。由美子もまた、切迫早産は免れた。
志帆は、体調不良を訴えて自宅のソファで休んでいた。そこに娘・真央が現れ、「1人でも多くの患者さんを救うんでしょ」と言う。さらに、「見かけに騙されてるんじゃない?」と真央は言う。その言葉に、志帆は一つの診断に行き着く。
志帆は、由美子に「他人の手症候群を発症する直前、変わったことはありませんでしたか?突然緊張したり、怒ったりは?」と訊く。そこで、由美子は「そんなことはありませんでした…そういえば、庭にいた時、小さな男の子のために、風船を膨らませていました」と言う。その言葉に、志帆は「やっぱり」とつぶやく。
志帆は、マイクロバブルテストの実施を提案する。やはり、心臓に原因があると志帆は考えていた。マイクロバブルテストにより心エコー検査では見破ることができない、微細な病変を探ると、右心房から左心房へとマイクロバブルが入り込み、「卵円孔開存症」と考えられた。卵円孔開存症では、何かしらの原因で腹圧が上がると卵円孔が開き、脳梗塞、心筋梗塞の原因が起こったと考えられた。その直前、奥山は風船を膨らませていたり、咳き込むといった腹圧を上げる行動を行っていたのだった。
雪野は、アンプラッツァー閉鎖栓で卵円孔を閉鎖して治療を行う。高所から落下した直前にも、重い荷物を持って腹圧が上がっていたのだという。
奥山は順調に回復し、由美子もまた、無事に出産を行うのだった。子供の名前を、奥山は「志帆にします」と言う。
雪野は、佐々木事務長に「橘先生の住所、教えてくれませんか」と言う。岩倉を院長にしたいという佐々木に、雪野は「橘先生に何か汚点があれば、北畠先生に不利になる」と言う。佐々木はわざと席を外し、その間に雪野は医師名簿を見る。志帆の欄には、「子供 なし」と書かれていた。
志帆が、誰もいないはずの場所に話しかけているのを雪野は見かける。