簡単なあらすじ
1) オランダのアムステルダムで開かれた「シャハルタ共和国開国記念展」で、ルパン三世は水晶を盗み出そうとしていた。その水晶こそ、シャハルタの宝物庫への鍵とされているのだった。
2) だが、空賊たちによって宝は奪われ、ルパンはバッグを奪い返す。ところが、水晶は入ってはおらず、赤ん坊のラームがそのバッグには入っていた(後に、ラームが水晶を飲み込んでしまっていたことが判明)。
3) シャハルタはかつて王政であったが、多国籍企業「ワールド・リソース・サービス」の手引きにより、クーデターが起こされ、王族は殺害された。その生き残りであるシオンを傀儡の総理大臣とし、ワールド・リソース・サービスの重役コーシャル・ヴァン・シュテンヴァルトはシャハルタの資源であるヘリウムガスを売りさばいて巨万の利益を得ていた。
4) コーシャルは、ルパンから奪った地図、水晶で宝物庫へとたどり着く。だが、金に目がくらんで王たちを殺害したシャハルタ人に恨みを持つシオンは、宝物庫を爆破しようとする。ルパンは、そんなシオンを思いとどまらせるが、コーシャルはシオンを射殺する。コーシャルは銭形警部に逮捕され、前王の遺児・ラーシャが女王となり、空賊たちは近衛兵として返り咲く。ルパンは、宝物庫からワインのコルク抜きだけを盗み出していた。
起:ユティカとの出会い
オランダ・アムステルダムで、「シャハルタ共和国開国記念展」が開催されていた。巨大な飛行船の上で開かれたその展覧会では、多くの宝物が持ち寄られており、ルパン三世は展示されていた水晶を狙っていた。
だが、その一方で空族団もお宝を狙っており、飛行船に次々と乗り込む。警備員を倒し、バナードは逃げ出そうとする。だがそこに警備員に扮したルパンが現れ、バッグを奪い返す。空賊ユティカと揉み合いになった後、ルパンはバッグを抱えて飛行船から落下する。
だが、ルパンが奪ったバッグには、赤ん坊・ラームが入っており、子守をするはめになる。バッグの中には、シャハルタの古い紋章が刻印された箱が入っていた。だが、中に水晶は入っていなかった。
承:空賊団
多国籍企業「ワールド・リソース・サービス」の重役コーシャル・ヴァン・シュテンヴァルトは、銭形警部を呼び出す。そこで、シャハルタの総理大臣シオン・アーデル・ビクロビュートは、赤ん坊・ラームをルパンに盗まれた、と言い、秘密裏に連れ戻して欲しい、と言う。
ルパンは、ラームを連れて世界中の有名なお宝を奪い始める。すると、ラームを追ってユティカが再び現れ、ラームを奪う。そこでルパンは、水晶はどこだ、と問われるが、「箱は空で水晶は入っていなかった」と言う。
ユティカを尾行して、ルパンと次元が空賊のアジトにやってくる。そこで、ラームは死んだ空賊の仲間の子供であることが明らかとなる。
ルパンは頭領のジーヴァに、「シャハルタの秘宝」を狙っていると明かす。そこで、ジーヴァに「どうして自国・シャハルタの船を襲ったのか?」と訊ねる。さらに、4つの宝が秘宝の鍵になっている、とルパンは指摘する。
ジーヴァたち空賊は、元国王に仕える近衛兵だった。そして、「自国の誇りを取り戻す」と言う。シャハルタは現在、「ワールド・リソース・サービス」によって経済支配されており、ヘリウムなどの天然資源を我が物顔で奪っているのだという。
転:シャハルタへ
アジトにバナードに命じられたコーシャルの手下が現れ、空賊たちを殺害し始める。秘宝4つの内の2つは奪われてしまう。バナードがジーヴァを裏切り、アジトへと手引きしたのだった。
ジーヴァは、「ユティカを助けてやって欲しい。ギャラは正真正銘、シャハルタのお宝だ」とルパンに託し、妻・カーミラとともにアジトを爆破して足止めを行う。
ルパンは、ユティカとともにシャハルタへと向かう。自然豊かなシャハルタは工場の稼働によって破壊され、川も汚染されていた。
コーシャルは、シャハルタ宝物庫の宝を手にし次第、売りさばこうとしていた。一方、ユティカはシャハルタの城で、自分と瓜二つなラーシャと出会う。2人は一卵性双生児の姉妹(ユティカが姉)、そして前シャハルタ王の子供だった。
銭形は、シャハルタの城に硝煙のニオイのする人物が出入りしていることを訝しむ。そして、武器庫を見かけた銭形は、「調べて欲しいことがある」と電話で依頼する。
コーシャルは、ユティカが生きていては、「王朝を復活しようなどとする者が出てきてしまう」と言い、ユティカを殺害しようとする。だが、ルパンは宝物庫の地図と引き換えに、ユティカを取り返そうとする。だが、シオンはルパンを撃つ。ルパンは一度は倒れながらも、ユティカを連れて逃げ出す。
銭形は、ルパンとユティカを救って立ち去る。ユティカは、薬草を使ってルパンを治療する。銭形は、シオンの素性を調査し始めていた。シオンは、王位継承権第三位の王族であると判明する。
ルパンとユティカ、ラーム、次元は険しい山道を通って、シャハルタの宝物庫へと向かう。だがその道中、コーシャルの手下が現れ、ピンチを迎える。だが、生きていたジーヴァたちに助けられる。
ラームは水晶を飲んでしまっていたのだった。ラームが排便をしたところ、ルパンは水晶を手に入れる。一方、コーシャルの私設部隊が現れ、次元と五右衛門は殺し屋・ヴィラーと対峙する。
結:シャハルタの魂
宝物庫への道は、水晶がなくては分からないようになっていた。コーシャルが立ち止まる中、ルパンは水晶を持って現れる。だが、ヴィラーの催眠により理性を失った峰不二子がルパンに襲いかかり、コーシャルは水晶を手に入れる。
そして、窪みに水晶をはめ込むことで、宝物庫への道が開かれた。宝物庫には、クリスタルや美術品が多数存在しており、コーシャルは歓喜の声を上げる。だが、シオンはコーシャルの脚を撃ち、「あさましい男だ。くだらない」とつぶやく。
宝物庫は気球により浮かび上がる。ルパンは、航空技術の数々が「シャハルタの魂」であるという。だがそこで、シオンは「カネに目がくらんで、王族を殺害したのもシャハルタ人だ」と言う。そして、シャハルタ人の心の拠り所にしている宝物庫を、自らの手で壊す、とシオンは言う。だが、ルパンは「くだらねぇ…そんなことをしてどうする」と言う。
宝物庫もろとも自爆しようとするシオンに、ルパンは「一人じゃないだろ、お前さんは」と言い、思いとどまらせる。だが、そんなシオンをコーシャルは射殺するのだった。コーシャルは地割れによって落下しそうになるが、銭形は助け、逮捕するのだった。
シオンは、最期にユティカやラーシャに「私がシャハルタの絶望なら、君たちは希望だ」とつぶやいて息を引き取る。
コーシャルの逮捕、シオン死亡により、ラーシャは女王になる。そして、空賊たちは近衛兵となったのだった。
ルパンは、「じい様の手帳にも書いてあった」という、宝物庫からワインのコルク抜きを盗み出していた。次元は、「あんなに苦労してそれだけかよ」と呆れる。銭形がやってきて、ルパンたちは逃げ出す。