簡単なあらすじ
1) 香坂真一郎(長谷川博己)は、風見京子(富永沙織)の自殺には裏があると考え、渡部久志(安田顕)刑事たちとともに密かに捜査を続行していた。だが、三笠洋平(春風亭昇太)署長たちは、捜査終了を命じる。
2) 香坂は、ナカタエレクトロニクスのビル防犯管理担当の池沢菜穂(吉田羊)に話を聞く。そのビルでは、新たにゴーンバンク社が開発した、防犯カメラシステムが使用されていた。香坂は、池沢に出退勤記録の提出を求める。その記録と、労働基準監督署に提出された記録を照らし合わせると、齟齬が見られた。
3) 池沢は、出退勤記録や、防犯カメラ映像を改ざんしていた。池沢は京子が死亡した日、同じビル内にいたのだった。香坂は、池沢が防犯カメラシステムを中田社長に渡した、と指摘する。そのことで京子に問い詰められ、屋上から突き落としたのではないか、と池沢に話す。池沢は、一緒に屋上にいたことを認める。だが、「突き落としたのは、私じゃない」と言うのだった。
4) 香坂は、さらに池沢を追求しようとするが、会社の顧問弁護士に止められてしまう。翌日、香坂は逮捕状を請求しようとするが、捜査一課が先に請求し、池沢を逮捕してしまう。池沢は、供述を変え、「私が突き落とした」と自供したのだった。ゴーンバンク社の顧問弁護士が手を回し、病気の息子のドナーを見つけ、後々の生活まで保証すると約束し、「自分が突き落とした」と証言するよう仕向けたのだった。
詳細なあらすじ
香坂真一郎(長谷川博己)は、警視庁・捜査一課係長であったが、警視庁芝警察署に課長代理として左遷されてしまう。そこで、ゴーンバンク社社長・中田和正(桂文枝)誘拐事件には裏があると考えた香坂は、渡部久志(安田顕)とともに捜査を続ける。
中田社長は、誘拐から無事に生還し、ヒーロー扱いとなっていた。だが、誘拐犯の風見康夫(長江英和)は、服毒自殺を図り、意識不明の重体となっていた。渡部は、そのことに責任を感じ、辞表を香坂へと渡す。
香坂は、警視庁・捜査一課の捜査を妨害した、と処分を覚悟していたが「昇進試験を欠席したことへの注意」だけであり、拍子抜けする。小野田義信(香川照之)課長が「問題なし」と報告したためであったからだった。
香坂は、風見京子(富永沙織)が開発した防犯カメラシステムをゴーンバンク社に奪われて自殺したと考え、捜査を継続しようとしていた。妻に言われ、「やりたいことをやる」と決意する。
香坂は、ゴーンバンク社がシステムを盗用している可能性について、捜査二課に情報を流してはどうか、と三笠洋平(春風亭昇太)所長に進言するが、「事を荒立てるな」と注意されてしまう。
渡部刑事は、中田隆一(加藤晴彦)を尾行していた。だが、香坂はそんな渡部を止め、「所轄のやり方で闘う。我々には、足がある」と言うのだった。
香坂は、ナカタエレクトロニクスのビル防犯管理担当の池沢菜穂(吉田羊)に話を聞く。そのビルでは、新たにゴーンバンク社が開発した、防犯カメラシステムが使用されていた。そのシステムでは、顔認証システムで、登録されていない人物を即座に判定するのだという。
1ヶ月前の風見京子の映像を見ると、8階を訪れた後、屋上へ向かっていた。だが、8階以上は社長・幹部フロアになっており、防犯カメラは設置されていないのだという。香坂は、池沢に映像データと、出退勤記録の提出を求める。
山田春彦(岡田将生)は、香坂に「二課を動かすネタはなかった」と言う。香坂は、一課は二課と捜査はしないが、所轄なら二課とも捜査ができると考えていたことを渡部に話す。
出退勤記録と映像に齟齬はなく、事件当夜、ビル内の滞在者は京子のみだった。香坂は、捜査二課を動かそうと考えていた。そこで、山田に「二課を動かしてくれ」と頭を下げる。だが、山田は「お断りします。僕は捜査一課の人間なんです」と言って立ち去る。
香坂は、「本当にビルの中に人はいなかったんでしょうか」と疑問に思う。池沢の卓上カレンダーに「27時」「30時」と記録保存時間が書かれており、さらには簡易まくらなどが置かれていたことから、「日常的に遅くまで残業していたはずです」と指摘する。
捜査二課がゴーンバンク社の捜査で動き出したことから、記者が小野田に取材を申し入れしてきた。記者は、ゴーンバンク社には、警察OBが数多く天下りしていることを指摘した上で、「二課が動きだしているようですが」と小野田の耳に入れる。
ナカタエレクトロニクスは、長時間残業が問題視され、労働基準監督署が入っていたことが明らかとなり、香坂は労基に出退勤記録を提出するよう求める。
労基のデータを調べると、3月17日には滞在者が「2名」と書かれていた。池沢は、そのもう1名の存在を隠蔽していたのだった。その人物とは、池沢自身であった。香坂は、京子は自殺ではなく、殺されたのではないか、と考える。
渡部と香坂は、池沢の調査を行うが、証拠はなかった。渡部は、偽証罪での立件を提案するが、香坂は二の足を踏む。三笠署長は、捜査終了を命じるが、そこに山田が現れる。山田は、「捜査二課からの情報を持ってきました。香坂課長補佐に、捜査協力を求めます」と言う。
捜査二課は、防犯カメラシステムの盗用だけではなく、ゴーンバンク社が情報を流し、一部投資家が株でインサイダー取引を行っている可能性がある、という情報を掴んでいた。その株価上昇で、池沢もまた利益を得ていた。
香坂は、池沢の前に現れる。香坂は、「既に社長と別れていた京子さんが、ビルに現れた。なぜストーカーとも考えられる彼女を野放しにしていたんですか?」と疑問を呈する。さらに、労基の出退勤記録を参照すると、池沢がビル内に残っていたことになっている、と指摘する。
香坂は、中田社長が京子たちの開発したシステムを奪うため、京子に近づいた、と指摘する。ところが、京子は父親を裏切ることはなく、システムを手渡さなかった。そこで中田社長は、風見テックに勤務していた池沢に近づいたのだった。
池沢には、病気の息子がおり、海外での臓器移植を必要としていた。1億円にもなる治療費を得るため、池沢は中田社長にシステムを渡した。そのことに気づいた京子は、池沢を問い詰めたのだった。結果、屋上から池沢は、京子を突き落としたのではないか、と香坂は指摘する。
池沢は、「証拠もない。憶測でしょ」と言う。だが、香坂は監視カメラ映像に加工された疑いがある、と指摘する。映像では京子だけが映っていたが、実は隣に池沢がいた。その池沢の姿は、消されていたのだった。そんなことができるのは、システム開発者である池沢だけだった。
犯人は池沢である、と香坂は指摘し、問い詰める。だが、池沢は「突き落としたのは私じゃない。屋上には、別の人物がいた」と明かすのだった。香坂は、さらに真相を聞き出そうとするが、そこに中田社長や、顧問弁護士が現れ、池沢への取り調べを中止させるのだった。
香坂は、三笠署長に逮捕状を請求する許可をもらう。だが、三笠署長は、「一歩遅かった」と言う。警視庁捜査一課が既に逮捕状を請求し、池沢を逮捕していたのだった。香坂は、山田に掴みかかるが、山田は「敵は味方のふりをする、でしたっけ?所轄は捜査一課のために働くのは当然でしょう」などと言う。
池沢は逮捕されるが、供述を変えてしまう。「私が突き落とした」と自供したのだった。ゴーンバンク社の顧問弁護士が手を回し、病気の息子のドナーを見つけ、後々の生活まで保証すると約束し、「自分が突き落とした」と証言するよう仕向けたのだった。
香坂は、山田に「お前を信じた俺がバカだった」と言う。山田は、「捜査一課長の手柄を差し出すためには、なんだってやる…俺は、捜査一課長にならなければならないんだ」と言う。そんな山田に、香坂は「俺は、警察組織を変える。変えるためには、上に行かなければならないんだ。お前とは別の方法で捜査一課長になってみせる」と宣言するのだった。