簡単なあらすじ
1) 探偵・高徳愛香(武井咲)は、編集者・日岡美咲(紺野まひる)とともに、人気ミステリー作家・厄神春柾(大和田伸也)の別荘に向かう。厄神が、「探偵に取材したい」とのことで、愛香は招かれたのだった。だが、その道中、落石で道が塞がれて先に進むことができなかった。
2) 貴族探偵(相葉雅紀)がその場に現れ、石は、何者かによって落とされた形跡があったことから、「文句を言いに行こう」と誘う。その石のあった屋敷は、厄神の別荘だった。貴族探偵が厄神の書斎に入ると、そこには厄神の撲殺遺体が横たわっていた。
3) 別荘に出入りできた人物が容疑者であり、その容疑者は4人、編集者の美咲、松尾早織(豊田エリー)、滝野光敏(丸山智己)、厄神の妻である令子(横山めぐみ)であると考えられた。愛香は、死亡推定時刻と、落石時間のそれぞれにしかアリバイのない美咲、早織が共犯であると推理するが、貴族探偵はその推理に異論を唱える。
4) 使用人の田中(中山美穂)は、貴族探偵に命じられ、推理を披露する。犯人は不倫関係にあった滝野と令子であり、浮気現場を見られて修羅場となり、令子が厄神を撲殺してしまったのだった。その現場は本宅であり、ベッドごと遺体を別荘に運び、殺害場所が別荘であると偽装したのだった。
5) ところが、ベッドによって仕事場の勝手口は塞がってしまった。さらにはキッチンの勝手口はクルマでふさがってしまっており、これでは「勝手口から出入りしている」と知られる厄神の話とは違ってしまう。そのため、石をどかしてクルマをその位置に止めようと考えたのだった。さらには、ドローンを使ってクルマ止めを外し、落石させるというトリックにより、アリバイを成立させた。
詳細なあらすじ
探偵・高徳愛香(武井咲)は、編集者・日岡美咲(紺野まひる)とともに、人気ミステリー作家・厄神春柾(大和田伸也)の別荘に向かう。厄神が、「探偵に取材したい」とのことで、愛香は招かれたのだった。
その道中、巨大な落石で、道が塞がれてしまう。愛香は、発煙筒を片手に、対向車のために危険を知らせに行く。そして、警察に連絡するのだった。愛香がクルマに戻ると、美咲がクルマにおらず、貴族探偵(相葉雅紀)とお茶をしていた。
美咲に、貴族探偵は事件を解決したことを告げるが、愛香は「自分で解決していないくせに」などと言う。そんな中、執事の佐藤(滝藤賢一)は、「あの落石には、人の手が加えられた跡があります」と指摘する。
貴族探偵は、「上の屋敷の庭から落とされたものか。ここは一つ、文句を言いにいきましょう」と言う。その屋敷は、厄神のものだった。厄神は、「富士山信仰」に執心しており、富士山がよく見える別荘に急遽引っ越したのだという。
貴族探偵は、インターホンを押すのだが、厄神は出てこなかった。鍵はかかっておらず、貴族探偵は勝手に家に入ってしまう。厄神は、ドローンが趣味であり、何台も所有していた。
貴族探偵は、厄神の仕事場である書斎にも勝手に入ってしまう。そこで、厄神の遺体を発見する。厄神は、トロフィーで頭部を殴打されて、殺害されていた。
厄神の大ファンである田中(中山美穂)は、泣き出してしまう。その横で、愛香は推理を始める。部屋に争った形跡はなく、顔見知りの犯行と考えられた。
愛香は、貴族探偵に「今回は、田中さんが推理当番ですか?…私が、さすがに田中さんに負けるわけないじゃないですか」と言うが、貴族探偵は「使用人への侮辱は、私への侮辱だ。次は許しませんよ」などと言う。
石は、ジャッキで浮かせた後、厄神の軽トラックで押したと考えられた。次に、美咲は厄神が裏の勝手口に厄神の靴を発見し、彼がそこから出入りしていると考えられた。
千代田ブックス編集者の松尾早織(豊田エリー)が現れる。早織は、早くきてしまったため、1時間森を散策していたのだという。厄神は人見知りが激しく、厄神の別荘に出入りできるのは、美咲、早織、そして同じくMK書房編集者の滝野光敏(丸山智己)だけだ、と早織は話す。
鼻形雷雨(生瀬勝久)刑事が捜査に現れる。管轄外だが、貴族探偵をサポートするために上司から指示されたのだった。
厄神は、妻の令子(横山めぐみ)に「今日は遅くなると」と告げた後、別荘へとやってきた。死亡推定時刻は、朝の5時から7時、凶器はトロフィーと考えられた。
厄神の妻・令子、編集者の滝野が到着する。滝野は、企画打ち合わせで朝4時に行う予定だった。だが、早織の締め切りが遅れており、厄神の自宅で待機していたのだという。
令子は、「主人は人付き合いもなく、恨まれる心当たりもありません」と言う。そして、令子は週に一度、掃除にやってくるのだという。また、落石として使われたのは、富士山から運ばれた「富士の石」であるという。
愛香は、容疑者は別荘に入ることができて顔見知りである美咲、早織、滝野、令子の4人。さらに、死亡推定時刻である朝5時から7時、落石のあった10時のアリバイを照らし合わせれば、自ずと犯人は絞られるのではないか、と考えていた。
容疑者のアリバイを確認すると、令子と滝野は、死亡推定時刻、落石の時間両方とも本宅にいてアリバイが成立。美咲は、死亡推定時刻のアリバイはなかったが、落石時のアリバイは成立。早織は、死亡推定時刻にアリバイが成立していたが、落石時のアリバイはなかった。
滝野は、厄神に浮気相手がいたのではないか、と明かす。「一緒にいたことにしてくれ」と滝野は何度か頼まれていたのだという。
本棚に、ブックカバーがつけられていた手帳が発見され、愛香は「犯人が分かりました」と言う。
愛香は、事件関係者を前に、推理を披露する。容疑者は4人であり、死亡推定時刻と落石時のアリバイについて話す。そこで、令子と滝野は両方にアリバイが成立しており、美咲と早織は、死亡推定時刻と落石の片方ずつにアリバイがあった。
愛香は、「落石があったのは、石を落とすことによって、美咲さんは救われた」と指摘する。つまりは、厄神を殺害したのは美咲であり、協力者である早織が石を落としたと愛香は推理したのだった。愛香は、自分がアリバイ作りに利用された、と考える。
動機については、書斎に残された日記を取り出して愛香は説明する。「誰にも気づかれず、編集女性と二股交際を楽しんでいる」と書かれていたのだという。だが、その事実に気づいた美咲と早織は、手を組んで厄神を殺害した、と愛香は話す。
だが、美咲と早織は交際は認めたが、殺人への関与は否定する。そこで貴族探偵は、「デートの約束を取り付けた。渡すわけにはいかないな…真の悪は、冤罪を生み出しているそこの女探偵さんです」と言う。
貴族探偵に命じられ、田中は推理を披露する。「今回の事件の鍵は、石を落とした目的。それは、アリバイを作るためだったのです」と言う。そして、落石によりアリバイが成立したのは、令子と滝野であると指摘する。
2人は本宅にはいたものの、本宅と別荘は1 kmほど離れており、「ドローンの操作範囲内です」と田中は話す。
厄神を殺害後、滝野はジャッキで石を浮かせた。そして、クルマを車輪止めだけで止めておき、その車輪止めとドローンをロープで結んだ。ドローンを操作し、クルマを動かして石を落としたのだった。
さらに、田中は「厄神先生は、別荘ではなく本宅で殺害された。その後、ベッドごと移動させた。そのことは、石を落とした理由にも繋がるのです」と言う。ベッドを仕事場の勝手口前に運び入れたため、その勝手口を使えなくなってしまう。だが、キッチンの勝手口は普段からその前にクルマがとめられており、両方の勝手口を使えなくしてしまう。
厄神は、普段から「勝手口を使用している」と知られるため、そのままではベッドを運び入れたことが知られてしまう。そのため、「クルマの停車位置を変えるため、石を落とせばいい」と滝野と令子は考えたのだった。
令子と滝野は、不倫関係にあった。別荘にいるものと考えられた厄神が、急に帰ってきてしまった。そこで、令子と滝野の情事現場を見られてしまったのだった。結果、修羅場となって令子は思わず厄神を殴り殺してしまった。
令子は、厄神の度重なる不倫を知っていた。にも関わらず、滝野との不倫に激怒した厄神のことを、令子は許せなかったのだった。
だが、貴族探偵は「あなたはご主人のことを愛していた。だからこそ、迷信深いご主人のため、ベッドが北枕にならないようにしてあげたのですね」と言う。
滝野は、「俺は殺していない」と言うが、貴族探偵は「いつからこの国はゲスの住処になってしまったのだ。君には天罰が下る。明確な意思を持つ者による罰だ」と言う。
愛香は、美咲に謝罪する。だが、美咲は「もう、いいですよ。不倫をしていたのは確かですし」と言う。
貴族探偵は、愛香に「負けを認めた相手に、とどめを刺すのは騎士道に反する」と言う。そして、美咲や早織とデートしに行く、と立ち去る。
愛香は、貴族探偵が何もしていないように見えて、実はドローンを運ぶことができる限界の重量などを調べていたり、ベッドを運び入れることができるか調べていたことに気づく。
愛香は、帰宅すると師匠・喜多見切子(井川遥)にまた貴族探偵に負けたことを謝罪する。だが、喜多見はいつの間にか姿を消す。すでに実在しないと考えられる喜多見だったが、愛香が田中にもらったチョコレートが、いつの間にか一つ消えていた。